(ブリュッセル)-国際刑事裁判所(以下ICC)が、コンゴの武装勢力指導者トマス・ルバンガが行った子ども兵士の徴兵と動員に対して、2012年7月10日に禁固14年の刑を言い渡したことは、この犯罪の重大性について重要なメッセージを発している、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

裁判はルバンガの共犯者であるボスコ・ンタガンダの逮捕、及び彼の率いる武装勢力が行った殺人やレイプを含む犯罪を訴追することの緊急性を浮き彫りにしている。ンタガンダは未だにコンゴ民主共和国東部で子どもを強制的に徴兵し続けている。

「ルバンガに対する禁固14年の実刑判決は、子ども兵士の徴兵と動員が重大な戦争犯罪で、罰せられることを示している」とヒューマン・ライツ・ウォッチの国際司法アドボカシー局長、ゲラルディン・マッティオリ-ゼルツナーは語った。「ICCは世界中の軍指揮官に対し、子どもを戦争に送り込むと長期に渡り獄中で過ごすことになる、と通告しているのだ。」

ルバンガは、おびただしい数の重大な人権侵害に関与したとされている、コンゴ愛国者同盟(以下UPC)の元指導者であり、2002年と2003年にコンゴ東部のイトゥリ地方において、子ども兵士の徴兵、入隊、動員を行った容疑に対し、2012年3月14日にICCの第一審裁判部で有罪判決を下されていた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ICC検察局に対し、イトゥリ地方で彼の部隊が行った民族的動機に基づく殺戮、拷問、略奪、大規模なレイプを含む、様々な犯罪の範囲を反映し、幅広い容疑で起訴するよう強く求めてきた。

(ICCが科す初めての刑罰である)ルバンガへの刑の言い渡しの際、裁判長のエイドリアン・フルフォード氏は、子ども兵士の徴兵及び動員は、「紛れもなく国際社会全体に影響を及ぼす、重大な犯罪である」と明言した。彼は、「子どもの脆弱性は、戦争行為に伴う様々な危険から、厳重に子どもが守られる必要があることを意味している」と指摘した。フルフォード氏は、暴力にさらされ、家族から引き離され、教育の機会を奪われた子ども兵士の精神的トラウマについて、裁判の際に専門家が行った証言を引用している。

フルフォード裁判官は、法廷は今回の刑の言い渡しに至るまでに他の多くの要因を検討したと述べた。これらの要因には、訴訟当事者から提出された、被告人の「不法行為の質とその実行の際に取られた手段」、「関与の度合いと意思」、及び被告人の年齢、教育、個人的身上など、いくつかの罪を加重あるいは減刑する要素が含まれていた。ICCを創設したローマ規定の下、裁判官たちは刑を決定する権限を有している。

法廷は検察側から提出された、刑の加重要素を一切受け付けなかった。15歳未満の少女兵に対する性的暴力も、検察側が、そのような犯罪の横行とそれに対するルバンガの責任を立証しなかったため、刑への加重要素として検討することを認めなかった。法廷は、検察側がルバンガを性的暴力の容疑で起訴しなかったことを、強い言辞で指摘している。

ルバンガの裁判の際、検察側は弁護側に証拠を開示せず、更に法廷による他の情報の開示命令に従わなかったために、裁判手続きが2度延期された。減刑要因として法廷は、これらの「とりわけ煩わしい状況が多々あったにも拘らず」、ルバンガは礼儀正しく協力的であったことを挙げた。法廷はルバンガが経済的に貧しいことを配慮して、彼に罰金を科すことを不適切と判断した。

ルバンガは15歳未満の子ども兵士徴兵容疑に対して13年、子ども兵士を入隊させた容疑に対して12年、戦闘に子ども兵士を積極的に動員した容疑に対して14年の禁固刑を下され、全体で14年の禁固となった。  

弁護側と検察側双方は、ルバンガが有罪とされた犯罪の重大性と比較して、下された刑が均衡を逸していると考えた場合、量刑を理由として控訴できる。ローマ規定に基づき、裁判官はルバンガが既に6年間拘留されている期間を刑から差し引くことを命令した。

ICCの広報部門とアウトリーチ部門は、コンゴ東部で最大の被害を受けたコミュニティーに、ルバンガに言い渡された刑について説明するため、必要なあらゆる取り組みをしなければならない。

「ローマ規程における上限の禁固30年という検察側の求刑に裁判官が従わなかったという事実は、決して子ども兵士徴兵の重大性を減ずるものではない。ルバンガへの刑は重要な前進だが、イトゥリ地方での数々の残虐行為について意義のある責任追及を行うためには、集団殺戮、拷問、レイプを広範囲にわたって実行した民兵組織に対して、武器の提供、資金供与、管理を行った、コンゴ、ルワンダ、ウガンダの当局者に対する訴追を可能にする証拠が必要になる。」と前出のマッティオリ-ゼルツナーは指摘した。

ルバンガの共犯者であるンタガンダは未だに自由の身である。ンタガンダはルバンガ率いるUPCのイトゥリ地方における軍事活動の責任者であり、2002年と2003年に子ども兵士の徴兵及び子ども兵士を戦闘で動員した容疑で、2006年以降ICCにより指名手配されている。ンタガンダはイトゥリ地方を離れた後コンゴ東部の北キブ州に移り、そこでもまた重大な人権侵害に関与し続けている。2009年に当時彼が率いていた反政府勢力を含めた和平合意の一環として、彼はコンゴ軍に将軍として迎えられた。

しかし今年3月、ンタガンダはコンゴ軍を脱走し、新たな反乱行為を開始した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、今年の4月と5月に北キブ州において、(ICCから挙げられている指名手配の容疑と全く同様の犯罪である)子ども兵士徴兵に彼が再び関与している事実について報告した。2012年5月15日、ICC検察官は、イトゥリ地方でルバンガが率いるUPCと行動を共にしていた際にンタガンダが行ったとされる殺人、略奪、レイプの容疑で、彼に対する2度目の逮捕状を申請した。ンタガンダに対して追加容疑を求めることは、ルバンガが率いる反政府組織が行った、その他の恐ろしい犯罪の被害者が望む正義の実現へ向けた重要な前進である。

6月29日に国連の専門家グループは、ルワンダ政府軍がンタガンダと彼が率いるM23と呼ばれる反乱勢力に、武器、弾薬、兵士を提供していることを詳述した添付文書付きの報告書を提出した。先週、M23はコンゴ東部のルチュルにある幾つかの町と村を支配下に治めている。

「ルワンダは、ICCでトマス・ルバンガに有罪判決が下され、彼の共犯者であるボスコ・ンタガンダに逮捕状が出されている事実を、真摯に受け止めるべきだ。ルワンダ政府は、ICCから戦争犯罪容疑で指名手配されている者に対する自軍の支援を止めさせるために直ちに行動を起こし、更にルバンガをICCで裁判に掛けるためにコンゴ政府に協力しなければならない」と前出のマッティオリ-ゼルツナーは語った。

7月1日はICCの10回目の設立記念日であった。批判者の一部は、同裁判所が10年でたった1人に有罪判決を下しただけだと指摘するが、同裁判所の訴訟事件一覧表を見れば、他の1件の裁判は結審し判決を待つのみであり、もう1件は公判中、更にもう2件がこの先数か月以内に始まる予定であり、ICCは今回の裁判に留まらない活動をしている。

ICC検察局は7つの事態について捜査を開始し、現役或いは元国家元首3人を含む28人の人びとが関与する15事件について訴訟を起こした。遅延している逮捕状が執行され、自身が有する司法権限を実行するために、ICCは世界各国からの協力を必要としている。