(ワシントンD.C.)- 世界銀行は2012年5月30日、不正行為を働いた企業への制裁に関する決定を公開し、汚職対策を進める上で重要な一歩を踏み出した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた上で、同銀は人権状況が劣悪な国への貸し付けについて類似のアプローチを取るべきだと付け加えた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ国際金融機関シニア・アドボケートのジェシカ・エヴァンズは「企業の不正行為に対する措置を公表することとした世銀の判断は、世界的な汚職対策の流れにとって画期的な動きだ」と述べた。「これにより、同銀のチェック・プロセスに対する信頼が増すと共に、違反者にスポットライトがあたり、汚職行為防止効果も期待できる。」

世銀は7本の「制裁委員会」決定を公表し、同銀との取引で詐欺または汚職をはたらいた9社と1人を制裁対象とした。この制裁により、対象企業と個人は6カ月から5年の間、世銀グループが出資するオペレーションへの参加が禁じられる。世銀グループの制裁委員会とは、制裁実施の可否に争いのある事例について判断を行う行政裁決機関。世銀の報告によると、同銀は1999年からこれまでに530を越える企業と個人に対し、詐欺、汚職、通牒を行ったとして制裁を科してきた。しかし今年5月30日まで決定は非公開となっていた。

汚職対策を進める際に透明性を追求するアプローチは、世銀が活動する国の政府の全部門において、歳入、予算、支出に関する透明性の向上に役立つだろう、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

特に世銀はビルマ現政権のような政府に対し、より一層の透明性確保を求める動きに着手すべきだ。同国では、人権侵害に関与する国軍が政府支出の大半を管理し、国軍支配下の複合企業体を通じて経済活動に積極的に関与している一方で、国軍の資金は十分な情報開示や審査の対象となっていない。世銀は、政治への不関与というマンデートをもって、軍事関連の歳入や歳出に関する調査を差し控えることだと解釈してきた歴史がある。

「ビルマのように政府軍が政権を支配する国では、世銀が軍に対して公的支出のあり方に関する情報開示を行うよう求めない限り、開発が進むことはない」と前出のエヴァンスは指摘する。「軍のあり方に踏み込まずに透明性の拡大を求めても、うまくいきはしないということだ。」

世界的な透明性拡大に関する世銀のアジェンダには以下の諸点を含むべきだ。

・地元住民、ならびに広く市民社会と積極的に関与し、世銀による評価を公表して現地語に飜訳すること

・資料公開については、理事会での協議開始前に全資料を公開するとともに、理事会議事録の全文の公開すること

・各国政府との対話にあたっては、歳入と予算に関する透明性確保と実効性のある汚職対策の実施を求めること

・軍関連の口座と資金源(軍が管轄する企業や、軍の活動の資金供給源となる国有企業を含む)のすべてについて、財政上の透明性とアカウンタビリティに関する分析と勧告を行うこと