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イエメン:各国政府はサレハ大統領の免責に反対すべき

問題は、米国訪問ではなくデモ隊殺害への恩赦

(ニューヨーク)-イエメンのアリ・アブドラ・サレハ大統領が治療のため米国を訪問している。このことは、イエメンでの重大犯罪に対する法の裁きの実現のための国際社会の行動の必要性を浮き彫りにしている、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。昨年6月に大統領官邸攻撃の際に受けた傷の治療を受けるため、同大統領は1月28日に米国に到着した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ局長サラ・リー・ウィットソンは「問題は、サレハ大統領が治療を受ける場所ではない。大統領とその側近が平和的なデモ参加者を殺害した罪から逃れるのを、関係各国政府が阻止するか否かにある」と述べる。「国際社会の指導者たちはイエメン国民の側に立ち、昨年起きた不法な攻撃の責任者に対する訴追を強く求めるべきだ。」

サレハ大統領の米国到着は、イエメン議会が大統領には全面恩赦、そして全側近にテロ行為以外の「政治的」犯罪容疑の訴追免責を認めた1週間後のことだった。米国政府や欧州連合、ペルシア湾岸諸国が後押ししたこの免責取引は、昨年イエメン治安部隊と親政府暴力集団が、概して平和的だったデモ隊に殺害を含む攻撃を行ったことについて、大統領と側近を訴追から守る結果に繋がりうる。昨年のデモで参加者と通行人270名が死亡した事実を、ヒューマン・ライツ・ウォッチは調査し取りまとめている。加えて何千人ものデモ参加者が、実弾により負傷した。

ジェノサイド罪、戦争犯罪、人道に対する罪、拷問他、重大な人権侵害に対する訴追に恩赦を与えることは、国際法に反する。拷問等禁止条約や1949年成立のジュネーブ条約を含む国際条約は、重大な犯罪の容疑者訴追を確保する旨を加盟国に義務づけている。近時では1月6日に、ナビ・ピレイ国連人権高等弁務官が「国際法上、重大犯罪に恩赦は与えられない」と、改めて断言した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イエメンにおけるアカウンタビリティ(責任追及・真相解明)を繰り返し求めており、サレハ大統領への恩赦の正当性に異議を申し立てている。 

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