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(ロンドン)-「2011年3月以来、チベット族11人が、相次いで抗議の焼身自殺を図った。中国政府は抗議行動の原因となっている諸問題を解決すべきである」と、本日アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは共同書簡の中で述べた。

中国の胡錦濤国家主席に宛てた11月3日付け書簡の中で、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは中国政府に対し、チベット高原での人権侵害の実態を包括的に検証するとともに、人権侵害を引き起こしている法規制や政治上の規制を撤廃するよう求めた。

アムネスティ・インターナショナルのサリル・シェティ事務局長は、「中国政府は、チベット族の基本的自由を侵害する弾圧政策に終止符を打たなければならない。チベット族の要求に耳を傾けずに中国政府当局が強硬策に終始しているため、逆に、人びとの間に政府への憤りが広がる結果となっている。チベット族が自らの宗教や文化を教授する権利は尊重されなければならない」と指摘する。

アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは「焼身自殺は、基本的自由への制約に対する抗議であるとともに、数多くの仏僧院に対する懲罰的治安対策への抗議行動とみられる」と述べた。中国政府当局の取り締まりにもかかわらず、チベット族による焼身自殺は続いている。

政府治安部隊は抗議活動に対し、大量逮捕や投獄、場合によっては殺害さえも視野に入れた措置で対応してきた。たとえば、重要寺院「キルティ僧院」からは僧侶約300人が拘束された。当局は逮捕の理由を「愛国教育」のため、としている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの代表ケネス・ロスは、「長年にわたるチベット族の権利への制約が、更なる混乱と自暴自棄な行動の原因だ。中国政府は今こそチベット族の抗議に耳を傾け、その政策を根本から見直すべきだ」と指摘した。

3月以降、四川省でチベット族僧侶と元僧侶9人と、チベット族尼僧2人が焼身自殺をはかり、内6人が死亡したとみられる。最近では11月3日に、パルデン・チョエツォという35歳のタウ尼僧院の尼僧が、自らに火を放ち死亡した。

中国政府は、焼身抗議後に連行された個人を含め、拘禁されているすべての人びとの所在を明らかにすべきである、とアムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

中国政府が、チベット族僧侶や尼僧に対し強制的な「愛国」教育や「法今教育」の一環として、政治指導を強制している点についても、上記2団体は批判。多くのチベット族が、表現の自由と信仰の自由を侵害するとして、この措置に対し特に強く抗議している。

上記2団体は、中国政府に対し、複数の宗教施設の内外に治安部隊が大量配備されている現状に対し、これを削減するよう求めた。

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