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 ヒューマン・ライツ・ウォッチの「アリソン・デフォージュ人権活動家賞」は、他者の尊厳と人権を守るために自らの命を懸ける人々の勇気を称えるものです。ヒューマン・ライツ・ウォッチはそのような勇気ある活動家と協力して、人々が暴力と差別そして弾圧から自由な生活を送れる世界を築いていくことを目標としています。

ジャーナリストそして人権活動家であるシヘム・ベンセドリン氏は、20年以上にわたってチュニジアでの人権侵害を明らかにし、表現の自由を守るために活動してきました。2011年初頭まで、23年以上権力を独占し続けたベンアリ前大統領の独裁体制のもとで、彼女は投獄、組織的中傷、財産の没収や破壊等に遭い、自分の子どもたちを含む身近な人々に対する迫害に耐え続けてきました。

1998年、彼女は自らの危険も顧みず、チュニジアの人権状況を活発に監視し公表する団体である、「チュニジア自由国民会議(National Council for Liberties in Tunisia)」(以下CNLT)を共同設立しました。ベンアリ前大統領が倒れるまで、政府はCNLTを法的に認知することを拒否していました。さらに、彼女は「報道・出版・創作の自由の監視所(Observatory for Freedom of the Press, Publishing, and Creation)」(OLPEC)と、政府当局が閉鎖を試み度々強制捜査に入った、独立系ニュース・ウェブサイトとラジオ局である「カリマ(Kalima)」の共同設立者でもあります。

ベンアリ前政権からの絶え間なく続く嫌がらせや警察による監視に遭いながらも、ベンセドリン氏は、チュニジアでの人権侵害に対する関心を高めようと、国際メディアからの数々のインタビューに応じてきました。2001年には、海外テレビ局からのインタビューで、拷問、汚職、司法における独立性の欠如を厳しく批判した後、チュニジア警察からの暴行に遭うと共に、2ヶ月間投獄されました。

身の安全に対する脅威が高まり、当局からの圧力が強まる中、2009年にベンセドリン氏は亡命のため祖国を去りました。そして、ベンアリ前大統領追放後の2011年1月、彼女はチュニスに戻り、現在「メディア監視アラブ・ワーキング・グループ(The Arab Working Group of Media Monitoring)」の代表として活躍しています。このワーキング・グループは表現の自由に関する問題に取り組み、アラブ諸国での選挙(2009年のチュニジアを含む)を、同国メディアが如何に報道したのかについて報告書を発表しました。また、彼女はCNLTのスポークス・パーソンも務めています。

ベンセドリン氏の勇気、そしてチュニジアでの人権侵害を明らかにしてその改善を粘り強く進めていく姿勢に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは心から敬意を表します。