カリフォルニア州知事としての任期最後の日、アーノルド・シュワルツェネッガー知事は1人の未成年者へ減刑を発表しました。売春を目的とした性的な児童人身売買の犠牲者でありながら、同州で一番重い刑に処されていた少女サラ・クルザン(Sara Kruzan)への減刑です。彼女は16歳の時、「仮釈放のない終身刑」を宣告されました。今回のシュワルツェネッガー知事の恩赦により、彼女は、仮釈放を申請できる可能性を手に入れたのです。

処女サラのケースに最初に光を当てたのがヒューマン・ライツ・ウォッチでした。未成年犯罪者に対する仮釈放のない終身刑判決の実態を明らかにしようと作成した短編映像で、彼女のケースを取り上げたのです。あまりに重過ぎる刑罰に服している未成年犯罪者を救おうと、ヒューマン・ライツ・ウォッチと他NGOが協力して行なっているキャンペーンの成果のひとつが少女サラのケースです。

サラは11歳の時、31歳の男と出会いました。彼によって、サラは売春婦としての生涯を送ることになってしまったのです。そして13歳の時、サラはその男に強姦されました。そして、その年には、その男のもとで、売春婦として街に立たされるようになったのです。そして16歳の時、サラはその男を殺害するに至ったのです。彼女は仮釈放のない終身刑及び4年の懲役刑に処されました。

米国には、刑務所で死を迎えるよう宣告された未成年犯罪者が2,500名以上もいます。少女サラはその1人に過ぎません。罪を犯したのが未成年時でありながら、そのような過酷な懲役刑に服している人は、米国を除いて世界中のどこにも存在しません。

2005年以来、ヒューマン・ライツ・ウォッチは米国での未成年犯罪者に対する仮釈放のない終身刑の実態を調査・記録してきました。アムネスティー・インターナショナルとともに発表した報告書「残りの人生(The Rest of Their Lives)」は、多くの注目を集め、この問題を人権の観点から捉え直した初の報告書となりました。その報告書、そして、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアドボカシー(政策提言/ロビイング)活動が、青少年に対する過重な刑罰を廃止しようとする運動の第一歩を後押ししたのです。

カリフォルニア州では、州全域にわたり、団体や個人が連携して、未成年犯罪者への仮釈放のない終身刑の廃止に向けたキャンペーンが盛り上がりを見せています。私たちヒューマン・ライツ・ウォッチは、その先頭に立ってきました。このキャンペーンには、様々な個人や団体が加わっています。例えば、少年犯罪の専門家、犯罪被害者、若者たち、元検察官、宗教団体はもちろん、未成年犯罪者への仮釈放のない終身刑の廃止を目指してカリフォルニアで活動する国際人権法専門家などが含まれています。さらに、我々は、現在終身刑で服役中の若者たち数百名に第2のチャンスを与えるべく活動する、75以上のカリフォルニアの団体と数千名の個人を繋いだネットワークとも連動し、活動は益々広がりを見せています。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、報告書に引き続き、少女サラの事例に関するビデオ「死んだら家に帰して」を作成・公表しました。このビデオは瞬く間に広がり、メディアや市民の間で大きな反響を呼びました。ユーチューブで30万回以上視聴されるとともに、その他のウェブサイトでも取り上げられました。それ以来サラのケースを支援するために、数十名もの人びとが自らもビデオを作成しました。そして、弁護士たちが集まり、無料でサラのケースを引き受けてくれました。そして、弁護団の精力的活動と、少女サラの判決は余りにひどいと行動を起こした多くの人びとの努力が実り、シュワルツェネッガー知事は終身刑を懲役25年に減刑する決定を下したのです。この減刑は、少女時代に搾取され虐待された若い女性に、自由を得るチャンスを与えるものとなるでしょう。