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マケドニア: HIV/エイズと人権の賞 市民団体が受賞

セックス・ワーカーと薬物使用者の権利のアドボカシー団体、国際エイズ会議で受賞へ

 (ウィーン) 2010年の「HIV/AIDSと人権に関する国際的アクションアワード」に、スコピエ健康を選ぶプロジェクト (Healthy Options Project Skopje: HOPS)が選ばれたと、カナダのHIV/AIDSリーガルネットワークとヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した。同賞はHIV/エイズと共に生きる人びとの人権と尊厳を保護するために卓越した活動を行った個人や団体を讃えるもの。授与は2010年7月20日、ウィーンで開催される第18回世界エイズ会議で行われる。

カナダのHIV/AIDSリーガルネットワークのエグゼクティブ・ディレクターのリチャード・エリオット氏は、「セックス・ワーカーが人権侵害に直面するのは日常茶飯事だ。たとえば、公共医療サービスの利用を拒否される差別、警察による恣意的拘禁、いやがらせ、性的・身体的暴力などがある」と述べる。「HOPSは、セックス・ワーカーが正当に扱われるよう、そして、保健・社会・法的サービスをもっと利用しやすくなるよう、多大な貢献をしてきた。この功績を讃え、賞が授与される。」

HOPSは1997年にマケドニアのスコピエで設立され、国内初の注射針交換プログラムを導入。そのほかにも、HIV/AIDSそのほかの性感染症、血液感染症の感染拡大を防止するためのさまざまな「ハームリダクション」プログラムを行ってきた。HOPSは、薬物使用者やセックス・ワーカー、その家族など、若者や社会的弱者の社会復帰を支援するプログラムも行っている。

「『スコピエ健康を選ぶプロジェクト』を代表してこの賞を受賞できることを、とても光栄に思う」と、HOPSのエグゼクティブ・ディレクター、ブラトコ・デコブ(Vlatko Dekov)氏は語る。「我々のアドボカシーが、国の政策を変えたことを誇りに思う。しかしそれ以上に、私たちの草の根のアウトリーチ活動や、(気軽に立ち寄れる)ドロップ・イン・センターが、薬物を使用しているセックス・ワーカーや社会に取り残された他の人々の元気につながったこともうれしい。マケドニアのセックス・ワーカーはより安全な行動を心がけるようになったし、互いの連帯感も生まれた。」

2008年、警察によるセックス・ワーカーの一斉検挙が行なわれた後、HOPSはビデオアドボカシーキャンペーンを展開した。マケドニア警察が、拘束したセックス・ワーカーたちに対してHIV検査及びC型肝炎検査をむりやり受けさせ、彼女たちの写真やビデオを公表したためだ。HOPSのキャンペーンは国際的な注目を集め、警察などの法執行機関との対話が開始されるきっかけとなった。警察との対話は、セックス・ワーカーに対する警察による暴力を減らし、セックスワーカーが暴力の被害を受けている場合の警察の対応を改善することが目的である。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの保健と人権局長ジョー・エイモンは「国際エイズ会議では、セックス・ワーカーに対する人権侵害に対する世界的な注目とHOPSの勇敢な活動を取り上げるフォーラムを行う」と述べる。「セックス・ワーカーに対する警察の暴力の結果、セックス・ワーカーたちは、HIVに感染しやすい一層脆弱な立場に陥る。感染防止や感染後の治療など、適切な処置は遠のいてしまう。」

「HIV/AIDSと人権に関するアクションアワード」は、カナダのHIV/AIDSリーガルネットワークとヒューマン・ライツ・ウォッチが2002年に創設。 毎年カナダと外国からそれぞれ受賞者を選ぶ。 今年、カナダからは、AIDSと人権に関し、国際的な活動を行ってきたラルフ・ユルゲンス弁護士が先月本章を受賞した。ユルゲンス弁護士は、25年にわたり、薬物使用者や受刑者などの被拘禁者の人権保護・促進のアドボカシー活動を続けてきたことが受賞の理由である。

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