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イラン:昨年7月から拘束中の米国国民3人 釈放を

政府は長期拘禁の根拠をを示さず

(ニューヨーク) - イラン政府は、同国の国内法に違反し、起訴なしで9カ月も身柄を拘束され続けている米国国民3人を即時釈放すべきである。

シェーン・バウアー、サラ・シュルド、ジョシュ・ファタルの米国国民3人は、イラクのクルディスタン自治区にあるアハム・アワ滝周辺の山岳地帯(西側観光客に最近人気の地域)をトレッキングしていたところ、国境のイラン側に入ってしまい、2009年7月31日に身柄を拘束された。家族によると3人は長期間の独房に拘禁され、家族の面会も許可されず、イラン人弁護士や米国政府を代表する立場の外交官とのアクセスも大きく制限されている。家族は、バウアーとショルドは、緊急の治療が必要な重い病気を患っている、とも話している。

「イラン当局はこの3人の米国国民を、イランの法律が定める期限より5カ月長く拘禁している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理ジョー・ストークは述べる。「しかも、長期拘禁の理由が一切示されていない。」

イラン刑事訴訟法によれば、政府は4カ月以内に捜査を完了した上で、容疑者を起訴するか釈放するかを決定しなければならない。一般革命裁判所設置法第3条によれば、司法当局が事件の捜査段階を延長が可能なのは、申請のある場合に限られており、その際に被拘束者側が異議を申し立てることができる。

こうした規定にもかかわらず、バウアー、シュルドとファタルはテヘランのエヴィーン(エヴィン)刑務所に現在も拘禁されている。家族は3人が拘束されて以来、面会するためにイランへの入国ビザを申請しているが、まだ発給を受けていない。

家族たちは、2010年4月23日に拘束中の3人と面会したスイスの外交官から、バウアーとシュルドの健康状態が悪化していることを知らされた。米国はイランと外交関係がないために、スイスが米国から公的な委任を受けている。スイス領事による今回の面会でイラン政府が許可した面会はようやく3回となった。(前回は、10月29日)「領事関係に関するウィーン条約」(イランは1975年に批准)によれば、領事官またはその委任を受けた代表は「留置され、勾留され又は拘禁されている派遣国の国民を訪問し、当該国民と面談し及び文通し並びに当該国氏のために弁護人をあつせんする権利を有する」(第36条b項)と定めている。

3人には3月9日に家族との短い通話が許可されたと家族は話している。家族の依頼を受けているイラン人弁護士マスード・シャフィーイーはヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、3人との面会を繰り返し要求しているが許可が出ていないと述べた。電話での短いやりとり、スイス政府の外交官による3回の訪問、そしてこの9カ月間に家族が出した数通の手紙が、この米国国民3人が外の世界と行ったコミュニケーションのすべてだ。バウアーとファタルは数カ月間独房拘禁状態にあったが、現在は同じ房で生活している。シュルドは現在も独房拘禁されている。

シュルドの家族と弁護士によれば、シュルドは重い婦人科系の病気を患っており、健康状態が特に懸念される。シャフィーイー弁護士はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、4月28日朝に司法当局者と面会し、シュルドは「病気に掛かっていて、命を落としかねない」と伝えたと話した。また同弁護士は依頼人を治療するか、ただちに釈放するべきだと強く求めた。この1週間前に母親のノーラ・シュルドはAP通信に対し、娘の身体面での状態が悪化しているだけでなく、持病のうつが「独房拘禁によって悪化している」ことも懸念していると述べた。

4月9日、ヘイダル・モスレヒー・イラン情報相はイラン政府が出資する英語メディア「プレスTV」に出演し「昨年イラン国内で逮捕された米国国民3人は西側とイスラエルの情報機関と関係があることは、我々にはきわめて明らかだ」と述べた。同情報相はまた政府として3人を拘束した理由をすぐに明らかにするとも話した。だがこの発言はイラン国内のペルシア語メディアでは報道されていない。つまりこれは国際社会向けの発言と思われる。

3月16日、ヒューマン・ライツ・ウォッチはアーヤトッラー・サーデグ・ラーリージャーニー司法権長官と、アッバース・ジャアファリー=ドウラトアーバーディー・テヘラン検事長宛に書簡を送り、米国国民3人が依然拘禁されていることに懸念を表明すると共に、司法当局と刑務所当局が3人に対して家族や領事からの定期的な電話連絡と面会を認めるよう要請した。この書簡でヒューマン・ライツ・ウォッチはまた、この件を早急かつ公正に取調べた上で、拘束中の3人を起訴するか釈放するか結論を出すよう求めた。

「勾留中のこの3人の米国国民に対し、イラン政府が基本的な法的保護を与えたことを示す証拠は一切ない」と前出のストークは述べる。「イラン政府は、この3人を不法入国以外の罪でも起訴しようと9カ月も身柄を拘束している。しかし、この9ヶ月間にイラン当局がやったことといえば、イラン国内法と国際法が定めた基本的権利を侵害しただけだ。」

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