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ビルマ:新選挙法に野党排除の可能性

有力国は見せかけのプロセスへの拒否を

(ニューヨーク) - ビルマでは2010年の総選挙に向けて新法が制定されているが、これには最大の反対政党を排除し、現軍事政権が必ず勝利できる仕組みが備わっている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日このように述べた。

現軍事政権の国家平和発展評議会(SPDC)は本日3月10日、政党登録法を発表した。同法には禁固刑に服している者が政党員であることを禁じる規定が存在する。同法は、最大の反対政党・国民民主連盟(NLD)のアウンサンスーチー書記長をはじめ、政治的な動機に基づいて現在も投獄中の政治囚2,100人以上を選挙から実質的に排除している。また、登録を希望する政党に対し、現在服役中の人物を党員から除名することを定めている。この措置をとらない政党は登録ができないため、選挙に参加することができない。

「新法が軍事政権に反対する政党を攻撃する内容であることは、残念ながら予想した通りだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは述べた。「この法律によって、軍政が実質的に支配する、形式的な文民政権を誕生させることを狙った、見せかけだけの政治過程が続くことになる。」

昨日3月9日、軍事政権は長年の公約だった2010年総選挙の実施準備のための5つの法律のうち、最初のものを発表した(なお総選挙日程は未発表)。政党登録法には「刑に服している者は政党員であることができない」との規定がある。また既存の政党(1990年総選挙に勝利したNLDなど)に対して、3月10日から60日以内の再登録を義務付けている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、現在投獄中のNLD党員を429人と推計している。うち1990年総選挙で当選した者は12人だ。アウンサンスーチー書記長は実質的に選挙への出馬ができない。なぜなら現在も、政治的な動機に基づいて2009年に下された有罪判決により、自宅軟禁状態に置かれているからだ。2003年以降の自宅軟禁期間中に、ラングーンの自宅敷地内に侵入した人物の滞在を許したことがその理由とされた。ヒューマン・ライツ・ウォッチはビルマ政治囚全員の無条件即時釈放を求めるキャンペーン「2010年までに2100人」に取り組んでいる。

「この法律はNLDに対して、総選挙に参加するか、同党の指導者ならびに不当に投獄されている数百人の党員登録を継続するか選ぶよう迫っている」とアダムズは述べた。「こうした選択はいかなる政党にも課されてはならない。最大の反対政党が選挙に参加することを阻止するための、見えすいた策略だ。」

今週中の発表が伝えられる他の法律には、2008年憲法で概略が与えられている国会上下院と14の地方議会に関する条項などがある。

一連の法律の発表は、軍政が作った、遅々として進まない「規律ある民主主義への行程表」の最後から2番目の段階だ。これは政党が登録を外され、その一部は非合法化され、数千人の活動家が刑務所に送られる抑圧的な過程でもある。

NLD は1990年総選挙で圧勝し、8割以上の議席と6割以上の得票数を獲得した。軍政はこの結果を無視した上で、新憲法起草計画を発表した。起草作業は1993年に始まったが、終了したのはなんと2007年9月のことだった。新憲法は2008年に発表された後、周到に準備された2008年5月の国民投票で、賛成92%という到底信じられない結果で承認されたとされており、軍政に強大な権力を与える。例えば上下院の議席のそれぞれ4分の1と3分の1が現役軍人に割り当てられており、軍人は一般の裁判で責任を問われることはなく、主要な閣僚は将校が務めると定めている。

潘基文国連事務総長は「アウンサンスーチー氏を含むすべての政治囚の釈放ならびに、かれらの自国の政治に対する自由な関与、国民和解プロセスに不可欠な政府と反対勢力、民族勢力間での対話の開始、信頼され公正な選挙につながる諸条件の設定」を求めている。中国などビルマと緊密な関係にある諸国も、包括的な政治過程の実施を要求している。

「今度の総選挙がビルマの変化を促しうるとの楽観論は、皮肉にも居場所を失ってしまう。ビルマ政府は、民主化プロセスに対して、ビルマ国民に対して、また包括的な政治過程の実現を求める中国やインド、ASEANでも見られる、包括的な政治過程の実現を求める友好的な人びとの声など、国際世論に対して軽蔑を顕わにしている。」

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