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EUは、ガザ地区攻撃の被害者たちのため、法の正義を要求せよ

ゴールドストン報告書の内容を全体として承認すべき

(ブリュッセル)-EUとその加盟国は、先のガザ地区攻撃に関する国連事実調査団(団長はリチャード・ゴールドストン(Richard Goldstone)氏、南アフリカの裁判官)が率いる報告書を全体として承認すべきである。そして、国際人道法の重大な違反行為によって犠牲になった人びとのため、法の正義を実現するよう求めるべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、本日、EU加盟国外相に宛てた書簡を公表。EUとその加盟27カ国に対し、「如何なる国家も、法を超えた存在とは成り得ない、という国際秩序の普及を促進すること」を強く求めた。

「EU加盟国は、今回のガザ地区攻撃で、イスラエル軍とハマス軍の双方とも重大な違反行為を犯したと受け入れなければならない」とヒューマン・ライツ・ウォッチのEUディレクターであるロッテ・リヒトは述べた。「ゴールドストン調査報告書が提案した段階的なアプローチの履行こそが、紛争の犠牲となった民間人たちのため、法の正義を実現するのに必要だ。」

本書簡において、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、EU及びその加盟国に対し、事実調査報告の内容を全体として承認するとともに、フォローアップのために同報告書を関係する国連機関に送付することを支持する内容の国連人権理事会決議をサポートするように求めた。国連人権理事会(ジュネーブ)は、来週、このガザ報告書について審議を行なう。

今回のガザ地区攻撃では、戦争犯罪が犯された疑いが存在する。それにも拘わらず、EU加盟国が、法の正義の実現に向けてのプロセスを進める力となるのではなく、逆に、事実調査団に人権理事会以外の機関に対しても勧告を行う権限があるかという手続論でもって、ゴールドストン報告書を批判するのではないか、とヒューマン・ライツ・ウォッチは懸念を表明した。

「戦争犯罪などの国際人道法違反の行為が不処罰のまま放置されてきた結果、イスラエル・パレスチナ紛争における平和への可能性が蝕まれ続けてきた。こうした不処罰の連鎖を断ち切るため、ゴールドストン報告書は、またとない機会を提供するものだ」とリヒトは述べた。「EUはこの機会を無駄にすべきでない。」

ガザ地区攻撃に関する国連の事実調査団は、9月15日、調査報告書(575ページ)を公表。イスラエル軍とパレスチナ武装勢力の両方が、国際人道法の重大な違反行為を行なった実態を詳細に取りまとめた報告書となっている。イスラエル軍による違反行為の一例を挙げると、計画的な大量殺人、民間目標物への意図的な攻撃、民間財産の大量破壊、無差別攻撃、人間の盾の使用、封鎖措置の継続によるガザ地区民間人住民に対する集団懲罰など。こうした人道法違反行為は、戦争犯罪に該当するほか、人道に反する罪に該当する可能性もある。

また、ハマスなどのパレスチナ武装勢力によるガザ地区からのロケット弾発射は、民間人の生命を奪ってイスラエルの人びとを恐怖に陥れるために、意図的に計算された戦略だったとゴールドストン報告書は認定。よって、こうしたロケット弾発射行為は重大な戦争犯罪に該当するとともに、人道に反する罪に該当する可能性もあると報告書は述べている。

ゴールドストン調査団は、報告書において、イスラエル政府とハマス当局に対し自国軍による違反行為についての公正な調査を行なうための6ヶ月の時間を与えるべきだと提言。同時に、国連安全保障理事会に対し、イスラエル政府とハマス当局が調査のために誠実に努力をしているかモニターするための独立専門家たちを任命し、この専門家たちの報告を受けるように、とも提言している。

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