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レソト:HIV検査での個人の権利の保護必要

全国民アウトリーチHIV検査プログラムは、結局、資金不足・不完全・効果不十分

(ヨハネスブルグ)-「12歳以上の全国民にAIDSの原因となるウイルス検査を行うというレソト王国の試みは、プログラムの実施についても、検査を受ける人々の権利保護についても、目標に達していない。」ヒューマン・ライツ・ウォッチと南部アフリカのエイズと人権のための団体連合(the AIDS and Rights Alliance for Southern Africa:ARASA)は、本日発表した報告書でこのように述べた。

60ページの報告書「HIV検査の障壁:レソトでの普遍的HIVカウンセリング・検査キャンペーンに関する報告書」は、2005年に同国で始まった「自分のHIV状態を知ろうキャンペーン(KYS)」が、130万人にHIV検査をすることを目標としていたにもかかわらず、実際は資金不足のため2007年8月(同キャンペーン終了の4か月前)の時点で2万5千人に検査を実施したのみと報告。非専門家カウンセラー数千人を訓練し給与も支払う、そして、HIV陽性者の支援団体を増やすという当初の大目標も、二の次になってしまった。カウンセラーの監督も、検査後のHIVの予防又は治療のための紹介サービスも、満足に実施されなかった。インフォームド・コンセントや秘密保持など、検査にまつわる人権保護関係の措置が適切にとられるよう確保する取り組みも不十分だった。

「このキャンペーンが失敗に終わったのは、人々の権利を十分に保護できなかった結果でもある」と、ARASAのミカエル・クレイトンは述べた。「このプログラムに対する人々の信頼を得られれば、HIV検査を受ける人は増え、人々は必要な治療を受け、HIVによるスティグマと対峙できたろう。」

HIV検査へのアクセス拡大は、HIV陽性者たちが必要な治療を受けるため、そして、人々をHIV感染から守るため、急務である。レソトは、国中の各コミュニティで大規模なHIV検査プログラムを実施した最初の国の一つである。同国のプログラムは、すばらしい目標を掲げていたが、実施には不十分な面が多かったとヒューマン・ライツ・ウォッチとARASAは述べた。

「コミュニティベースでHIV検査プログラムを行うことで、それまでは検査を受けることができなかった人々にも、検査サービスが行き届く可能性がある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのHIV/AIDSと人権プログラム局長ジョセフ・アモンは述べた。「これは単純なアプローチのように聞こえる。しかし、コミュニティベースのプログラムが真に成功するためには、政府は、カウンセリングを実施し、秘密保持を徹底し、人々がHIV予防サービスと必要な治療のサービスを実際に受けられるようにせねばならない。もし各国が、HIV検査プログラムを人権保護にも配慮したプログラムにできなければ、重大な人権侵害が引き起こしてしまうだろう。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチとARASAは、2007年10月と2008年2月に、レソトで、政府当局、コミュニティベースのカウンセラー、医療従事者、その他の主要な情報提供者に対し数十回に及ぶ聞き取り調査を行った。

効果的かつ権利ベース(ライツ・ベース)のHIV検査キャンペーンを行うために必要な事項として、2団体があげた5項目は以下のとおり。

❑ プログラム参加の可能性のある者に、十分に情報を与え、HIV検査を受けるか否かについて任意に意思決定する機会を提供すること。そのためには、HIV、AIDS、そしてHIV検査に関する十分な情報提供が必要。

❑ 検査結果の秘密保持が徹底されること。

❑ 人びとが、自己の健康を維持するために必要な手段とスキルを身につけられるように、検査に同意した人々が、検査結果に拘わらず検査後にも必要なサービス(HIV予防、ケア、治療など)にアクセスできるようにすること。

❑ 政府が、人権侵害の可能性があればすぐにこれを認知し、そして、間違いを正すステップを取れるよう、しっかりしたアカウンタビリティーのメカニズムを導入すること。

❑ 検査でHIV陽性反応が出た人々を、HIV陽性であることに起因する差別と暴力から保護する法律と政策を整備すること。

「人権保護は、すべてのHIV検査キャンペーンで不可欠な要素だ」と、アモンは述べた。「レソトでは、人権が保護されなかったことが、キャンペーンの効果を損なってしまった。」

レソトと同様のコミュニティベースのHIV検査プログラムは、南部アフリカ地域で急増していることをヒューマン・ライツ・ウォッチとARASAは指摘。世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画(UNAIDS)に対し、各国向けのコミュニティベースの検査についてのガイドラインを作成するよう求めた。WHOは、レソトがKYSキャンペーンの計画を起草する際に支援をし、プログラム参加者の人権保護につながる措置をキャンペーンに組み入れる上で重要な役割を果たしてきた。しかし、WHOは、レソト政府が実際にこうした人権保護措置を実施するかについてフォローアップをしなかった。

「WHOとUNAIDSは、HIV検査を拡充するこの新しい手法の実施について、リーダーシップを取るべきだ」と、クレイトンは述べた。「各国にガイドラインを示し、人権を保護するセーフガードをしっかりと実施するよう、もっと積極的に各国政府に働きかけるべきだ。」

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