(ニューヨーク)-イランが2008年8月26日、犯行時に18歳未満の子どもだったベナム・ザレを処刑したことに重大な嫌悪感を表明しつつ、ヒューマン・ライツ・ウォッチはイラン司法当局に対し、ザレと同様に子どもの時の犯行により死刑判決を受けた130名以上の囚人に対し、直ちに減刑するよう強く求めた。
イランが、犯行時に子どもだった者を処刑したのは今年だけですでに6人目。イラン以外の国で、今年、犯行時に18歳未満の子どもだった者が処刑されたという報告はない。2005年1月以来、イランでは、少なくとも26名が、子ども時代の犯行ゆえに処刑された。同期間に、犯行時に子どもだった者を処刑したと報告されているのはわずか4カ国で、サウジアラビア、スーダン、イエメン、パキスタンだけだ。この4カ国で同期間に計6名が処刑されたと報告されている。
イランが、犯行時に子どもだった者を処刑したのは今年だけですでに6人目。イラン以外の国で、今年、犯行時に18歳未満の子どもだった者が処刑されたという報告はない。2005年1月以来、イランでは、少なくとも26名が、子ども時代の犯行ゆえに処刑された。同期間に、犯行時に子どもだった者を処刑したと報告されているのはわずか4カ国で、サウジアラビア、スーダン、イエメン、パキスタンだけだ。この4カ国で同期間に計6名が処刑されたと報告されている。
「イランが、世界で最もたくさん、犯行時子どもだった人びとを処刑している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東子どもの権利調査員、クラリサ・ベンコモは述べた。「全世界が、子どもの犯罪に処刑で臨むというおぞましい実務を廃止する方向に向かっている中、イランでは、死刑判決が増加していると見られる。」
市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約)及び子どもの権利条約の締約国として、イランは、犯行時に18歳未満の者の処刑を禁止する義務を負っている。
2005年11月13日、ファールス州刑事裁判所第5部は、当時16歳のザレが2005年4月21日に犯した殺人に対して死刑判決を下した。2007年5月14日、最高裁判所第33部は当該判決を容認。シーラーズ刑務所当局は2008年8月26日、ザレを処刑した。
イラン法では、死刑執行の48時間前までに弁護人にその旨通知することが義務付けられているが、ザレの家族及びモハメッド・モスタファイ弁護人が処刑の事実を知ったのは、死刑執行の後だった。ザレの家族及び弁護士は、ザレが処刑されたとき、被害者の家族との示談を試みている最中であった。
ザレの処刑は、同じように、犯罪を犯した時に子どもだったセイイェド・レザ・ヘジャジが、イスファハン中央刑務所で2008年8月19日に処刑された直後に行われた。イスファハン一般裁判所は2005年11月14日、2003年におきた複数名のケンカにおけるヘジャジの行為に対し、殺人罪で有罪判決を言い渡した。ヘジャジは犯行当時15歳、しかも、犠牲者を殺害するつもりはなかったと当局に対して繰り返し述べていた。
ザレのケースと同様、当局はヘジャジの弁護人モハメッド・モスタファイ氏(ザレも弁護した)に対し、処刑48時間前までの通知をしていない。それどころか、モスタファイ弁護士は、処刑が差し迫っていることを、あるジャーナリストを通じて前夜に知った。死刑執行の日の朝、モスタファイ弁護士はヘジャジへの面会を求めたが、刑務所当局はこれを不許可とした。刑務所高官が、同弁護士に対し、死刑執行は停止されたと告知したため、モスタファイ弁護士は刑務所から引きあげた。しかし、その一時間後、ヘジャジの死刑は執行された。
「18歳未満の子どもが犯した犯罪に死刑を科しても、イラン社会の法の正義や安全は実現されない」とベンコモ調査員は述べた。「弁護士に嘘をつき、愛する者との最後の面会の機会を家族から奪う。そんなことを平然と行うイラン当局の態度は、こうした処刑の邪悪さを強調するものでしかない。」 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2008年7月8日、23の主要な国際団体・地域団体と共に、イランに対し、犯罪時に未成年の者の処刑を停止するよう求めたばかりだった。