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 6月19日、国連安全保障理事会は、紛争下の性暴力を国際安全保障問題とし、レイプを戦争手段であるとする米国首唱による決議を全会一致で採択しました。今日まで安保理は、揺るがし難い性暴力の実態にも拘わらず紛争下にある女性や女児の恐怖と苦しみについてほとんど関心を払ってきませんでした(例えば最近ではコートジボワールやスーダンなどの実態)。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国連、米国政府、並びに他の政府組織に対し、紛争下での性暴力の実態を認めるよう粘り強く説得しました。また、主要な当局関係者に対し、世界の平和構築や女性の安全と健康への深刻な脅威であるレイプ犯罪に対し積極的に取り組むことを強く求めました。今回の決議は安保理にとっての大きな前進です。例えば、本決議には、効果的政策を判断するための具体的基準(ベンチマーク)、紛争下におけるレイプなどの性暴力犯罪の監視、また性暴力の加害者への制裁措置の可能性などが条項に盛り込まれています。また同決議は、本来国連平和維持軍が保護すべき対象たる女性たちに逆に同軍が危害を加えているという実態に対処するために国連が打ち出した"ゼロ・トレランス政策"を強化するものでもあります。本決議が効果的に実施されれば、今後、紛争地域で性暴力の恐怖に脅える数多くの女性たちの保護につながると期待されます。

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