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日本政府がミャンマー国軍の総選挙の計画に懸念を表明

日本政府は、他国政府が選挙支援を実施しないよう働きかけるべき

東京の国連大学前で「WeLoveMyanmar」グループ主催のミャンマー軍事クーデターに抗議する人々、2021年2月11日。 © 2021 AP Photo/Hiro Komae

岩屋毅外務大臣は3月21日の衆議院外務委員会で、ミャンマー国軍が来年1月までに総選挙を実施する計画であることについて「深刻な懸念」を表明した。国軍のミンアウンフライン総司令官は今月ベラルーシを訪問の際に同計画を公表した。

「日本政府としては、アウンサンスーチー氏を含む被拘束者の解放や事態打開に向けた対話などの政治的進展に向けた動きが見られないまま総選挙を実施しても、かえってミャンマー国民によるさらなる反発を招いて、平和的な解決が困難になることを深刻に懸念している」と岩屋外務大臣は立憲民主党の源馬健太郎議員の質疑に対して答弁した。

国軍は2021年2月に軍事クーデターを起こし、超法規的殺人、拷問、「人道に対する罪」や戦争犯罪である民間人に対する無差別攻撃など、広範かつ組織的な人権侵害を犯してきた。また、国軍は野党を解党して野党議員らを恣意的に拘束しており、恐怖の風潮を作り自由かつ公平な選挙の実施を不可能にした。その上、国軍は、少数民族武装勢力や反国軍武装勢力と戦闘している地域でも人権侵害を頻繁に犯している。

総選挙の信憑性に対するさらなる懸念は、国軍がミャンマーのほとんどを支配下に置けていないことだ。昨年10月、国軍は国勢調査を実施した。有権者をリスト化することが目的だとされていたが、実際には反国軍の活動家の特定や徴兵が狙いだったとみられる。最終的に、330郡区の内145郡区でしか国勢調査を完成できなかった。

国軍の総選挙の計画に懐疑的なのは日本政府だけでない。マレーシアのモハマド・ハサン外務大臣は国軍に対して総選挙の実施は「プライオリティではない」と伝えたとしており、国連の人権専門家らは国連加盟国に対して同計画を「詐欺だ」と切り捨てるよう呼びかけた。

日本政府が懸念を表明したことは良いスタートだが、まだやるべきことはある。日本政府は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国や韓国、そしてインドを含む各国政府が、国軍による総選挙の計画を公な形で批判し、自由かつ公平でない上信頼できない選挙を支援しないよう働きかけるべきだ。

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