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カンボジアは、人権を侵害する国家インターネットゲートウェイを廃棄すべきである

私たち、以下の32の人権団体は、カンボジア当局に対し、国家インターネットゲートウェイ(NIG)設立に関する政令sub-decreeを撤回することを求める。2021年2月16日に下位法令が可決されて以来、政府は市民社会団体や テクノロジー企業が提起した深刻な人権上の懸念に未だ対処していない。同時に、政府はNIGの支援に関わるインフラ、実施、資金調達、協力企業・エージェンシー・組織に関して、まったく不透明なままである。 

NIGの政令では、カンボジアに出入りするすべてのインターネット・トラフィックを管理するデジタル・ゲートウェイの設立に道筋をつけている。政令では、政府が任命したNIG運営者がオンライン接続をブロックまたは切断すること(第6条)、当局の要求に応じてトラフィックデータを1年間保持し、その他のネットワーク情報を提供すること(第14条)、コンプライアンス違反の電気通信事業者に過大な罰則を課すこと(第16条)などが規定されている。 

政令によれば、NIGの目的は、収入の徴収を強化し、国家の安全を守り、また、広範かつ曖昧で誤用されやすい表現だが、「社会秩序、文化、国家の伝統を守る」ために、インターネット接続の促進と管理を行う、とされている(1条)。 

正確な技術的インフラとその運用方法はまだ不明だが、NIGの真の目的が、カンボジア政府が同国に残るインターネットの自由への締め付けを強化することにあるのは疑いようがない。 

2021年4月、国連人権理事会が任命した3人の独立専門家は、政令が「個人の基本的自由、すなわち表現と意見の自由、プライバシー権にリスクをもたらし、個人情報を本人の同意なしに暴露する可能性があり、国際人権文書やカンボジア法に違反する」と懸念を表明した 。 彼らは2022年2月1日、政府に対してこの要求を繰り返し、NIGが「同国のインターネットの自由、人権擁護者、市民社会に深刻な悪影響を及ぼし、すでに制限されているカンボジアの市民空間をさらに縮小させるだろう」と警告している。 

カンボジアは市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)の締約国である。ICCPRの第17条は、個人のプライバシーに対する恣意的または不法な干渉から、すべての個人の権利を保護している。ICCPRの第19条は、表現の自由に対する権利を保護している。この権利には、「あらゆる種類の情報や 考えを求め、受け取り、伝える自由」が含まれる。 これらの権利を妨げるような国家のいかなる措置も、法律で規定され、非差別的であり、他者の権利、国家の安全、公共の秩序、公衆衛生や道徳を守るために厳密に必要かつ比例性のあるものでなければならない。 

政府は、NIGに関する人権上の懸念を繰り返し否定してきた。 また、NIGによる表現の自由や情報へのアクセスの制限が、正当な目的のいずれかを達成するために必要な理由を説明せず、その措置の比例性の欠如にも対処していない。それどころか、インターネットゲートウェイは、明らかに何の制限もなく、これらの権利を過度に幅広く規制する態勢をとっている。国連の専門家、テクノロジー企業の代表者、人権擁護団体が指摘しているように、政令には手続き上の保護措置、独立した監督、データとプライバシーの保護が欠けている。 

ゲートウェイが政府の検閲能力を強化し、ウェブサイトのブロッキングを拡大させるという重大な懸念がある。また、ゲートウェイはオンライン・コミュニケーションに萎縮効果をもたらし、監視、嫌がらせ、報復の増加を恐れる批判的な声や独立系メディアの間でオンラインにおける自己検閲を生み出す可能性が高い。 

政令では、政府のゲートウェイ運営者にメタデータの保持と共有を義務付けており、データ保護とデータプライバシーにリスクをもたらす。カンボジアには、インターネットユーザーをデータの悪用から保護し、データがどこで、どのくらいの期間保持され、誰がそれにアクセスできるかについて明確化するデータ保護法がないため、NIGは、当局がユーザーのインターネット活動や習慣を特定する能力を助長し、最終的にユーザー自身を特定するリスクをもたらすことになる。データセキュリティの十分な保護がないままのデータ保持は、第三者による干渉やハッカーによるデータセキュリティのリスクを高めることになる。また、インターネットトラフィックとデータをNIGの下に集中させることは、結果として増大するデータセキュリティのニーズに適切に対処するサービスプロバイダーの能力を確保することなく、悪意ある行為に対する脆弱性を生み出すことになる。 

カンボジア外務省は2022年2月15日に発表した報道声明で、「世界各国のインフラモデルについて幅広く調査した結果、ほとんどの国がインターネットゲートウェイを持っていることが分かった」と主張した。当局がどのインフラモデルを検討したのか、そのメリットとデメリットは何か、様々な国際人権条約に基づくカンボジアの人権義務を参照しながら調査を行ったのかなど、この大げさな主張を裏付ける情報は一切提供されていない。 

カンボジアでは、NIGを設立する政令を政府が急遽採択するために、透明性の欠如を被ることになった。当局はいかなる協議も行わず、ましてや広く包括的な協議を行うこともなく、政令採択前に専門家、市民社会グループ、民間団体、企業グループ、その他の利害関係者からの情報提供を求めなかった。NIGは、オンラインでもオフラインでも、表現の自由、結社、プライバシーを抑制しようとする政府の取り組みを後押しし、市民社会のメンバー、独立メディア、野党によるオンライン表現を狙い撃ちする権威主義の道具として機能するように設計されているように思われる。 

2022年2月15日の報道機関向け声明で、政府は翌日から開始される予定だったNIGの実施を延期することを明らかにした。NIG実施の新たな日程は設定されていない。郵政省の報道官は2月15日、ニュースメディア「日経アジア」の取材に対し、この延期はCovid-19の大流行が原因であると述べた。しかし、別の省の報道官はニュースメディア「VOD」の取材に対し、NIG導入の技術的困難が延期の原因であるとし、「ゲートウェイを準備し作成するために、機器の設置や注文を準備しなければならないからだ。ゲートウェイを構築する能力があると政府が理解した企業には、ライセンスを与えなければならない」と述べた。 

カンボジアのインターネットゲートウェイは、カンボジアと世界の間の自由な情報の流れを大幅に規制する一方で、国全体に広範な監視の網をかけるシステムを確立するリスクをはらんでいる。外国政府、テクノロジー・通信企業、インターネット・サービス・プロバイダー、企業グループ、国連機関、その他関係者は、情報コントロールのこの大規模な試みを阻止するために結束する必要がある。 

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Amnesty International 
ARTICLE 19 
ASEAN Parliamentarians for Human Rights (APHR) 
Asia Democracy Network (ADN) 
Association for Progressive Communication (APC) 
Bangladesh NGOs Network for Radio and Communication (BNNRC) 
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Centre for Civil and Political Rights (CCPR Centre) 
CIVICUS: World Alliance for Citizen Participation 
Civil Rights Defenders 
Committee to Protect Journalists (CPJ) 
Digital Reach Asia 
Electronic Frontiers Foundation (EFF) 
ELSAM: Institute for Policy Research and Advocacy 
Freemuse 
Foundation for Media Alternatives 
FORUM-ASIA 
Japan Computer Access Network (JCA-NET) 
Human Rights Watch 
International Commission of Jurists (ICJ) 
International Federation for Human Rights (FIDH) 
International Freedom of Expression Exchange (IFEX) 
Lawyers’ Rights Watch Canada (LRWC) 
Manushya Foundation 
Open Net Association 
PEN America 
Ranking Digital Rights 
SAFENet – Southeast Asia Freedom of Expression Network 
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