(ベルリン、2022年4月8日)ロシアの法務省は2022年4月8日、ヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルなど計14の外国NGOおよび財団の団体登録を取り消したと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは30年にわたりロシア事務所を設置していた。今回の発表がなされる数日前、控訴裁判所はロシアの人権団体「メモリアル」の解散決定を維持したところだった。
「ヒューマン・ライツ・ウォッチは、旧ソ連時代からロシアの問題に取り組み、同国内で活動してきた。今後も止めるつもりはない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのケネス・ロス代表は述べた。「新しい鉄のカーテンがこうして引かれたとしても、私たちはこれまで通り、ロシアのあらゆる人びとの権利を守り、ウクライナの民間人を保護するための活動を続けるつもりだ」。
ロシアの法務省は声明の中で、団体及び財団らによるロシア国内法の違反があったと曖昧な形で主張しているが、今回の措置はロシア国内での政府批判を封じ込めようとする長年の動きの一環であることは間違いない。しかも、その動きはロシア軍によるウクライナへの全面侵攻以来加速していると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。団体登録抹消の数時前には、国連総会が国連人権理事会でのロシアの理事国資格を停止する決議を採択した。
ロシアでは3月に、独立した戦争報道だけでなく、戦争に反対する抗議行動も処罰する法律が成立した。この10年間に定められた抑圧的な法律や措置の目的は市民社会を弱体化させることであり、活動家やジャーナリスト、評論家、人権弁護士など数百人が亡命を余儀なくされている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチはロシアでのさまざまな課題を取り上げている。政府から独立した意見の弾圧だけでなく、DVや障害者の権利、高齢者が適切な支援を受けて自宅で暮らす権利、施設収容者の権利、労働者の権利、難民や庇護申請者の権利などだ。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは今後もロシアに対し、国連の人権システムが課す基準を遵守するよう求めていく。
「事務所を無理矢理閉鎖されたことで、権威主義に傾倒するロシア政府を告発する私たちの決意はかえって強まった」と、前出のロス代表は述べた。「ロシア政府が自国民の権利を尊重する日を目指して、私たちは今後も活動を続ける。」