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G7は化石燃料補助金を止めるべき

気候危機に対処し権利を保護するために具体的な計画が必要

A Uniper coal-fired power plant and a BP refinery steam beside a wind generator in Gelsenkirchen, Germany on Jan. 16, 2020. © 2020 Martin Meissner/AP Photo ©

(ロンドン)主要7カ国(G7)は化石燃料補助金を終わらせるため、直ちに具体的な行動を取るべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表されたQ&A資料で述べた。化石燃料補助金の廃止は、各国が温室ガス排出を減らすことで気候変動に取り組むという人権義務を果たす鍵となる。

温室ガス排出量が世界でもっとも多い国々を含むG7の首脳は、2021年6月11日から13日の間に英国で開かれる首脳会議で、気候変動について共通の優先事項を確立させる予定である。2016年以来、米国、カナダ、日本、フランス、イタリア、ドイツ、英国は2025年までに「非効率な」化石燃料への補助金を段階的に廃止することを約束しており、この約束は5月に開かれたG7気候・環境大臣会合でも繰り返された。しかし、G7が化石燃料のために毎年調達する何十億ドルもの資金はほとんど減っていない。

「2025年までに化石燃料補助金を段階的に廃止するというG7のコミットメントは気候危機に対処するために決定的に重要だが、G7は以前にも同じ約束をした際はその後必要な行動を取らなかった」とヒューマン・ライツ・ウォッチの上級環境調査員であるカタリナ・ロールは述べた。「もし今回本気で取り組もうとしているなら、G7はこの期限に間に合わせるための具体的な計画を立てるべきである。」

化石燃料を補助することで、各国政府は化石燃料の探査、生産、運搬、使用にかかる費用を人工的に減らしている。その結果、化石燃料から風力や太陽光などクリーンで再生可能なエネルギーに迅速に転換するべきときであるにも関わらず、化石燃料への依存を助長しているといえる。そうすることで、各国政府は世界中で気候変動に関連して起きている悪影響や人権侵害への取り組みを怠っていることにもなる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、何が「非効率な」化石燃料補助金に該当するかの定義がないことを利用してG7が一定の形の支援を監視対象から除外し、国内外での必要な段階的廃止を遅らせ続ける可能性があることを懸念している。持続可能な開発に関する国際研究所(IISD)が2017年から19年までの平均値に基づいて先日出した推定によると、G7は少なくとも毎年877億ドルを化石燃料支援として提供している。中でもフランス、英国、カナダがもっとも多くの資金を出している。新型コロナウイルス感染症流行の最中、G7並びに今年の首脳会議に招かれているオーストラリア、インド、韓国、南アフリカの4カ国は化石燃料への巨額の財政支援の提供を続けた。ティアファンドの報告によれば、これらの国は2020年1月から2021年3月の間でクリーンエネルギーには1,470億ドルしか提供しなかったのに対し、石炭、石油、天然ガス支援には1,890億ドル以上を投入した。

5月21日にG7気候・環境大臣が排出削減対策の講じられていない石炭火力発電設備への国際的な投資を2021年末までに止めると宣言した(コミットした)のはよいことだが、すべての石炭火力発電への出資の停止にコミットするためには十分ではない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。気候・環境大臣会合で発表された共同声明では、石油または天然ガスへの国際的投資の停止は約束されておらず、海外での化石燃料開発への補助を続けるかどうかは各国の幅広い裁量に任されている。

気候変動はすでに世界中で人権に多大な悪影響を及ぼしている。2020年にヒューマン・ライツ・ウォッチは、カナダでの気候変動が先住民の伝統的な食料源へのアクセスを枯渇させ、深刻化する食料貧困問題の一因となっていることを記録した。コロンビアでは、より頻繁な干ばつによって先住民の子どもの間で栄養失調が悪化しているという現状も示された。米国では、極端な暑さが早産などを含む、出産に関わる悪影響に関係していることをヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。これらは世界中で増えている影響のほんの数例にすぎず、こうした影響は今後の気温上昇に伴ってますます強まると予想されている

Q&A資料の中でヒューマン・ライツ・ウォッチは、G7を含む各国政府が気候変動により引き起こされるだろう悪影響を防ぐための人権義務を果たすには、化石燃料補助金を段階的に廃止するべきであることを説明している。Q&A資料に基づくと、現在の気候危機の中で政府が新たな化石燃料補助金を導入すれば、それは人権侵害に該当する恐れがある。

すべてのG7諸国は、石炭、石油、または天然ガス事業への新たな国際的な公的投資をしないよう直ちにコミットするべきである。また、G7は2025年までに国内外を問わず既存の化石燃料補助金を廃止するための、期限付き且つ透明性のある行動計画を2021年内に発表するべきである。この計画には関連インフラ、助言業務、技術支援、金融仲介への支援を通じて生じる間接的な補助金の廃止も含まれるべきだ。

「化石燃料補助金の続行を認めることで、G7は気候変動問題への自らの取り組みを妨げ、地球温暖化による世界中の悲惨な人権侵害を回避できる可能性を低めてきた」とロールは述べた。「化石燃料補助に毎年使われている何十億ドルもの資金を、持続可能なエネルギーインフラや、地域社会が自分たちの権利を守り、すでに経験している気候変動による影響に適応するために必要な資源の提供に投資できるだろう」。

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