中国政府による新疆ウイグル自治区のウイグル族への恣意的な投獄、搾取、及びその他の非人道的な抑圧に対して国際的な批判が高まる中、日本の企業12社は「強制労働への関与が取引先の中国企業で確認された場合、取引を停止する方針」であると共同通信が報じた。12社には、ソニーや日立製鉄所などの大手有名企業も含まれる。
同日本企業らの新たな方針の発表は、新疆ウイグル自治区における強制労働制度の実態がより強く認識されていることの証だ。2020年2月、オーストラリアのシンクタンクは、新疆ウイグル自治区からの労働者を強制労働として働かせている可能性が「極めて高い」工場と取引をしているグローバル企業82社を公開し、うち11社は日本の主要企業であった。
同シンクタンクに名指しされた日本企業のうちほぼ全てが、強制労働のある企業との直接的な取引はなかった、もしくは取引先の実態を確認することは不可能であったと共同通信に回答している。後者の回答に関しては、中国政府は新疆ウイグル自治区に強い規制を敷いており、企業らが取引先に対して適切なデュー・デリジェンスを実施するのは厳しいため、想定範囲の実態だ。
一方で、強制労働への関与が認められる企業との取引を停止する方針が発表されたが、新疆ウイグル自治区で活動する日本企業にはより積極的な対応が求められている。強制労働の実態は明確に特定するのが困難なことから、日本企業も「ウイグル自治区の強制労働を終わらせるための連合(Coalition to End Forced Labor in the Uyghur Region)」に参加し、強制労働がないことが証明されなければ取引をしない方針へと踏み切るべきだ。
同時に日本政府は、「ビジネスと人権に関する行動計画(2020-2025)」に提示されたコミットメントを守るよう、「在外公館や政府関係機関の現地事務所等」を通じた「行動計画の周知や人権デュー・ディリジェンスに関する啓発」を行うべきである。
また、政府は日本企業が新疆ウイグル自治区で人権侵害に関与している会社と取引をしないよう、予防的措置をとるべきである。ウイグル族の人権侵害に懸念を示す議員は、強制労働によって製造された商品の輸入を禁止する法案を速やかに国会に提出し、企業がグローバルサプライチェーンにおける人権と環境デュー・ディリジェンスを徹底するよう法改正を求めるべきだ。