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カンボジア:野党指導者たちの有罪判決の無効化を

政治家や活動家の集団刑事裁判の終結が求められている

Sam Rainsy talks with media at Kuala Lumpur International Airport, Malaysia, November 9, 2019. © 2019 AP Photo

(バンコク)–カンボジア政府は、政治的動機に基づく野党政治家の裁判を即時終結させ、かつ近時の有罪判決を無効にすべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。フン・セン首相の政府による嫌がらせや訴追は、最大野党カンボジア救国党(CNRP)が将来の選挙や政治に参加することを未然に阻止しようとする継続的な画策の一環だ。

2021年3月1日にプノンペン都裁判所は、カンボジア刑法第27条および第451条に定められた「重罪未遂」および「攻撃」の罪で、既に解散を命じられている救国党幹部で国外追放させられている9人を欠席裁判で有罪とした。事案は、2019年11月9日にカンボジアへの帰国計画を発表したことで、9人がクーデターを起こそうとしたという根拠のない疑惑に関連したものだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長代理フィル・ロバートソンは、「政治的動機に基づくサム・ランシー氏をはじめとする野党幹部の裁判、そして数十年という有罪判決により国内政治から永久追放しようとする手法は、独裁者の手本そのものだ」と述べた。「日本、欧州、米国はカンボジアの人権危機の重大さを認識し、これらに責任を負っている政府関係者に的を絞った制裁措置を発動すべきだ。」

裁判所は、救国党の現党首サム・ランシー氏に懲役25年、副党首のケム・ソカ氏とEng Chhayfh Eang氏にそれぞれ22年の刑を言い渡した。同じく救国党の幹部であるTioulong Saumura氏、Men Sothavrin氏、Ou Chanrith氏、Ho Vann氏、Long Ry氏、Nuth Romduol氏はそれぞれ20年の有罪判決を受けている。加えて裁判所は、計18億リエル(44万米ドル)の罰金を科し、9人全員の投票権や被選挙(立候補)権、公職就任権を剥奪した。

Mu Sochua speaks during an interview in London, November 16, 2017. © 2017 AP Photo

裁判所は、裁判を監視している地元のNGOに不正確な判決公判日を知らせた。監視団体は実際の日付を把握できなかったため、3月1日の法廷には誰も監視者がいなかった。

適正手続きの権利に違反するかたちで急速に進められた野党幹部9人の裁判とは対照的に、2017年9月から政治的動機に基づいた根拠のない反逆罪に直面しているケム・ソカ氏の裁判は延期されたままになっている。プノンペン都裁判所は、党内の役職に復帰することを禁じられているソカ氏に、当該事案は優先事項とみなされていないため、2021年以内に裁判が再開される可能性は低いと通達した。Kouy Sao裁判長はソカ氏の弁護人に宛てた書簡内で、裁判所は「過密な刑務所に収監されている刑事事件の容疑者・被告人の対応に忙殺されている」としている。

しかし、今回有罪判決を受けた9人は全員カンボジア国外におり、ソカ氏の裁判延期の理由であった勾留されている容疑者の審問を優先しているという裁判所の主張は矛盾している、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

欧州連合は9人の野党幹部に対する評決を非難。「被告人が法廷で弁護するために帰国を許されなかった事態は、国際人権法が断固保障する適正手続きの権利に対する違反行為であると見受けられる」と指摘した。

近年、カンボジア当局は救国党の活動を禁止し、数十人の党幹部に対する政治裁判を企ててきた。2021年には、野党に所属する反体制派や平和的な活動・表現にかかわる活動家たちを多数、一連の裁判にかけた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、野党党員、青年活動家、環境活動家、労働組合幹部、ジャーナリストを含む75人超の政治犯の事案を調査・検証してきた。これまでに多くの活動家が逮捕を恐れ、外国政府の庇護を模索し国外脱出している。

追放されていた野党幹部がカンボジアに帰国する意向を2019年11月9日に発表する前から、関係当局は、幹部の帰国に支持を表明していた元救国党党員を少なくとも125人逮捕。2019年12月に保釈金付きで少なくとも74人が釈放されたが、根拠のない訴追が取り下げられることはなく、その後さらに多くの人が再逮捕され、公判前勾留下にある。

ロバートソン局長代理は、「野党幹部の訴追は、政府に批判的な人々に対するフン・セン首相による取り締まりの最新の動向だ。今後さらに多くの裁判が予定されており、有罪判決と長期刑が当然の流れになるだろう」と指摘する。「世界各国の議員がサム・ランシー氏や彼の同僚に対する不当な訴追を非難し、カンボジアの民主主義と人権を支持すると明言する必要がある。」

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