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アフガニスタン:タリバンの人権への取組み 全く不十分

開始される和平交渉、継続する人権侵害と貧弱な保護

Two boys pass members of a Taliban Red Unit, an elite force, in Laghman province, Afghanistan, March 13, 2020. © 2020 Jim Huylebroek/The New York Times/Redux

(ニューヨーク)―アフガニスタンのタリバンは改革を主張しているにもかかわらず、支配下地域で人びとの人権を厳しく制限している、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。住民は、タリバン批判が許されていないこと、女性や少女の権利が侵害されていること、表現や報道の自由が厳しく制限されていることなどを訴える。タリバンおよびアフガン政府軍双方による人権侵害の実態に照らせば、米国ほか各国が支持する和平交渉において、人権へのコミットメントおよび執行メカニズムが確保されることが必須であることを示す。

報告書「『お前に文句を言う権利はない』:タリバン支配地域のアフガニスタンにおける教育、社会的制限、そして司法の実態」(全69ページ)は、タリバンの支配地域に住む人びとの日常、そして教育・情報・メディアへのアクセス、移動の自由を関するタリバンによる規制に焦点を当てた報告書。タリバンの広範な人権侵害に照らせば、何らかの和平合意に達したとしても、その後の権利保護に対する意思・能力が憂慮される。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長代理パトリシア・ゴスマンは、「タリバンは支配地域下で特に厳格だった措置のいくつかをやめた。が、人びとがタリバンを批判することは依然として困難かつ危険なままだ」と指摘する。「タリバンは支配下にあるコミュニティに対しての説明責任(アカウンタビリティ)を負う気はなく、恐怖支配を行うとしているようだ。」

本報告書は2019年1月以降、タリバン関係者、指令官、戦闘員ならびに教師、医師、長老、生徒をはじめとする、ヘルマンド、クンドゥズ、ワルダック各州の地元住民ほか全138人に対面式で行った聞き取り調査に基づく。

タリバン軍は現在、アフガニスタンの国土と人口の相当部分を支配下に置いている。 こうした地域の多くで住民は、アフガン政府の法律に従うと同時に、タリバンの定めた教育、司法、その他の公共サービスのルールにも従っている。タリバン支配地域でも少女と女性の教育へのアクセスは進んでいるが、表現・情報・結社・報道の自由およびプライバシー権はほとんど考慮されていない。

タリバンの公式な声明では、少女の教育にもはや反対していないとしている。しかし現実には、ほとんどの地方で思春期を過ぎた少女の通学は許可されておらず、少女の教育を全面的に禁じる地域もある。方針は明らかに個々の指令官の見解に基づいているため、住民は不安な状況におかれている。

ある教師は、「今は6年生までの少女に教育が許されていますが、明日誰か代わりが来れば、それが白紙に戻ってしまうこともあります」と語る。教育を求める地元住民たちの意見を組み入れてタリバン当局がより柔軟なアプローチをとった地域もあるが、住民たちが少女の教育問題を持ち出せずに躊躇している地域もある。

「美徳推進・悪徳抑圧省」の「道徳」警察は、タリバンの定めた服装、ふるまい、ひげの長さ、金曜礼拝時の男性の出席などの社会規範の遵守をタリバン支配地域の住民に強制している。

タリバン当局は、こうした社会誓約はコミュニティの規範を反映したものだと主張する。たしかに社会的制約は政府支配地域でもタリバン支配地域でも存在するが、一部の住民、特に若者は自由を求めてこれらに抵抗してきた。タリバン当局は禁じられた社会行動にでた住民を処罰している。タリバン支配地域の司法制度では処罰に重点が置かれており、有罪の決め手は多くの場合自白で、暴行などの拷問によって自白を強制されることも多い。

タリバン支配地区の住民たちは、不満や懸念を表明できないと訴える。タリバン当局は、司令官などの高官が人権侵害を行えばその責任を問うと主張するものの、一般市民が死亡した違法攻撃など戦争犯罪に該当する行為について、タリバン当局はほとんど違法とみなさない。

ゴスマン局長代理は、「タリバンは表向きには一般市民に危害を加えないと主張する。しかし、政府軍攻撃のためとして自宅にタリバン軍が侵入してきたことに不満をもらした住民たちを罰している」と指摘する。

タリバンとアフガン政府の代表団による和平交渉は、今後数週間で始まる見通しで、政府代表団には女性数名を含む市民社会の代表者も含まれている。交渉が進められるなかで、女性と少女の権利を含む基本的人権の保護の問題についても話し合われるべきだ。

2002年以降に制定された現在のアフガニスタン憲法および国内法には、男女平等をはじめとし、多くの人権保護条項が含まれているが、政府の支配地域における施行状況は芳しくない。政府軍は拷問を含む重大な人権侵害を犯しており、しばしば女性の権利を守ることにも失敗してきた。タリバンならびに(元)政府指導者たちは、戦争犯罪などの人権侵害への関与が問題視されているものの、違反の重大性にもかかわらずほぼ完全な不処罰状態が続いている。

ゴスマン局長代理は、「アフガン和平合意には、広範な人権原則の支持はもちろん、政府とタリバンの双方が、多様なコミュニティの容認、反対意見の許容、女性と少女の権利をはじめとする基本的人権の保護に向け用意があるとしっかり示すことが肝要だ」と述べる。「交渉両者ともに人権へのコミットメントをしっかり実行させるためには、明確かつ詳細な人権の保障の規定としっかりした監視が必要だ。」

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