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離散家族の苦しみ

北朝鮮による拉致被害者、有本恵子さんの母、嘉代子かよこさんが九十四歳で亡くなった。病床でも恵子さんの救出を訴えたという。娘と離散させられた苦しみを想像するとあまりに悲しく、つらい。

拉致のほかにも多くの離散家族が生まれている。在日コリアンと日本人約九万三千人が一九五九~八四年、「地上の楽園」という宣伝にだまされて北朝鮮に渡った帰国事業のせいだ。国連が拉致などと並び「人道に対する罪」と断じている。

在日二世の川崎栄子さん(77)が帰国事業で単身、北朝鮮に渡ったのは六〇年、十七歳のときだった。「出迎えの人たちのあまりに貧しい身なりを見た瞬間、皆がだまされたと悟った」が、日本に戻る(すべ)はない。以来四十年以上北朝鮮で過ごし、二〇〇三年に命がけで脱北した。

川崎さんは訴える。「飛行機に乗れば二時間で着ける距離にいながら親兄弟の死に目にも会えない」「(北朝鮮に残る)子どもや孫と離散家族になってもう十七年近く。私が脱北した罪を連座制で問われていつ命を奪われるか不安で、強度の不眠症を患っています」。愛する家族と二度と会えずに人生を終えるのではないか、あまりに過酷すぎる―。離散家族の共通する思いに違いない。

長すぎる離散家族の苦しみに終止符を打つため、日本そして世界の力を結集しなければならない。

(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

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