来る第34回国連人権理事会(HRC)会期での北朝鮮決議において、同国における大規模かつ組織的な人権侵害行為の責任追及を推し進めるための強い対応をご支持いただきたく、本書簡にて貴国に強く要請いたします。

背景

昨年、人権理事会は決議31/18に基づき、北朝鮮における人権侵害の責任追及に関する独立専門家グループを設置しました。同専門家グループに対する任務としては、北朝鮮における「人道に対する罪の被害者のために、真実と法の裁きを確保する責任追及についての実行可能なメカニズム」の提言などが与えられました。

 報告書の中で独立専門家グループは次のことを強調しています:

「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)の報告書に詳述された犯罪の数々は、何十年にもわたって続く人権侵害制度などによるもので、その重大性においてほぼ類をみない。これら犯罪は国際的に憂慮すべき問題であり、不処罰は許されない」(A / HRC / 34/66 / Add.1、76項)

さらに専門家パネルは同報告書内の77項でも、これらの犯罪に対処するには、「国際社会が今後の刑事裁判に向けた足固めの努力を強化することが必要」だと指摘しています。

主要提言/勧告

専門家グループは、国連安全保障理事会が北朝鮮の事態を国際刑事裁判所に付託することを支持しています。加えて、国連人権理事会に対し具体的な勧告も行いました。特に国連人権高等弁務官事務所のソウル事務所の人員を補強し、北朝鮮における人権侵害の責任追及の準備を加速する、というものです(95項)。

専門家グループはこれによって、「将来のあらゆる責任追及メカニズムで活用可能な情報を一箇所に独立集積でき、もって、北朝鮮における人権状況の情報や証拠を受け取り保存・整理する」国連人権高等弁務官事務所の能力強化に繋がると指摘しています。

専門家グループまた、強化されたソウル事務所が、犯罪、指揮命令系統、関係性などの情報及び証拠の「国際刑事法専門家によるアセスメント」を支援するように提言。アセスメントの目的は、足りない証拠の特定、実行可能な捜査・訴追戦略の立案、ならびに適切な国際法廷又は国際支援法廷の青写真を策定することであります。

国連・ソウル人権事務所の強化について

国連人権高等弁務官事務所のソウル事務所は、脱北者から定期的に聞き取り調査を行い、人権侵害に関する重要な証拠を継続的に収集しています。しかし、同事務所のマンデート(任務)が北朝鮮の人権侵害状況の監視および文書化、エンゲージメントとキャパシティビルディング、そしてアウトリーチなどと幅広い一方、最小限の職員・予算しか与えられていないという制約ゆえ、刑事責任認定に向けた情報分析能力には限界があります。現在の同事務所の任務の中心は、証拠分析や立件に向けた準備ではなく、人権侵害状況の監視と文書化にあるといえます。

このような背景を踏まえて、ソウル事務所が責任追及に関するマンデイトを果たせるよう、事務所強化を国連人権理事会に求めます。犯罪情報、指揮命令系統を含む加害者情報、被害者や目撃者の証言などを分析するため、少なくとも2人の検察専門家を現地に常駐させることが必要です。

さらに貴国政府に対し、上級「国際刑事法専門家」1名の任命を支持いただきたく、要請いたします。すべてのプロセスを監督し、情報をアセスメントし、かつ捜査・訴追戦略の策定を担う専門家です。

人権侵害に責任を負う被疑者を特定する動きは、北朝鮮内の人権侵害者に重要なメッセージを送ることになりましょう。つまり、行動には結果が伴うというメッセージにより、今後加害行為を抑制するという影響を与える可能性があります。

責任追及に向けたモメンタム継続が必要

国連人権理事会への報告書の提出をもって、専門家グループの任務は終了いたします。専門家グループは、北朝鮮の責任追及のオプションを示すのが任務でした。次に求められるのは、こうしたオプションを実行に移すメカニズムです。私どもの見解では、上記のやり方でソウル事務所の能力を強化することは、現実的な対応です。

加えて、上級「国際刑事法専門家」が、北朝鮮の人道に対する罪に関する責任追及に向けて、精査された包括的戦略の立案に貢献するでしょう。そのため、専門家グループの勧告の実施状況やさらに必要な対応などについて、上級専門家に対し定期的報告を求めることが考えられます。

北朝鮮の無数の被害者のため、貴国が引き続き責任追及に向けてご支援くださることを心より期待しております。