(プノンペン、2017年2月7日) - カンボジア政府当局は、人権活動家アム・サムアト(Am Sam-at)氏およびチャン・プティサック(Chan Puthisak)氏に対する政治的動機に基づいた犯罪捜査を即時停止すべきだ、とアムネスティ・インターナショナル、シビルライツ・ディフェンダーズ、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際法律家委員会(ICJ)が本日共同で述べた。

Cambodian police detain protesters during a protest to free jailed activists in Phnom Penh, Cambodia May 9, 2016.

© Reuters/Samrang Pring

カンボジア政府関係者が、カンボジア人権促進保護連盟(LICADHO)で約20年間近く活動し尊敬を集めてきた人権監視者のサムアト氏と、ボンコック湖出身の土地権利運動家であり、2016年10月10日のデモ集会における暴力の扇動に関する元良心の囚人プティサック氏を告訴した。デモの制圧にしばしば派遣される準警察部隊が、首都プノンペンで行われていた平和的な集会を力づくで解散させた。準警察部隊が、あるデモ参加者からドラムを押収するのを止めようとしたプティサック氏に、4、5人の隊員が襲いかかり、繰り返し拳で彼の頭を殴打した様子がある動画に映されている。サムアト氏がこれを制止しようとすると、準警察部隊が今度は彼に襲いかかり、頭に 暴行を加えた。両氏とも治療が必要な傷害を負った。

アムネスティ・インターナショナル東南アジア・太平洋地域ディレクターのチャンパ・パテルは、「カンボジア政府当局によるサムアト氏およびプティサック氏の捜査は、あからさまで馬鹿げた司法上の嫌がらせの典型だ」と指摘する。「準警察部隊による不必要かつ過剰な実力行使があいも変わらず処罰されない一方で、人権を促進・保護しようと活動する人びとが刑事訴追の対象になっている。」

The case against Sam-at and Puthisak is part of an extensive effort by the Cambodian authorities to discredit the legitimate work of human rights organizations...

Phil Robertson

Deputy Asia Director

11月4日、準警察部隊の隊員2人がデモを解散させる最中に負傷したと主張して、プノンペン第一審裁判所に告訴。現在、関係当局がカンボジア刑法第27条と第217条に基づき、意図的な暴力の扇動でサムアト氏とプティサック

氏を捜査しており、有罪になれば最高で3年の刑となる。両氏は2月8日にプノンペン第一審裁判所のNgin Pich副検事から尋問を受ける予定だ。 一方で、2016年10月10日の事件後、サムアト氏とプティサック氏が準警察部隊に対して提出した被害届については、捜査が行われている様子はない。

10月10日のデモ集会では、約150人の参加者がデモ指定地域だった自由公園で、住宅と土地の権利を尊重するよう平和的に呼びかけた。事件が発生した当時、参加者たちは公園に隣接する通りを行進しており、ある動画はデモが平和的なものであり、準警察部隊がサムアト氏襲ったとき、彼が人権監視者の青いベストを着用していたことを映し出している。両者をめぐる事件の捜査は、カンボジアに蔓延する司法を使った威嚇行為のパターンに一致する。 現在26人もの人権・政治活動家が投獄されているが、いずれも政治的な動機の特徴をすべて備えている事件だ。この数には、準警察部隊が参加者と激しく衝突した2014年7月のデモ集会の後に続投獄された14人の政治活動家も含まれる。不法な実力行使に出た準警察部隊の責任を問うことに当局が努めているという報告は、これまでない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長代理フィル・ロバートソンは、「サムアト氏とプティサック氏の事件は、人権団体の正当な活動をおとしめ、かつ人権の促進・保護に関わる者はすべて刑務所行きだという脅し効果を強めるための、当局による広範な威嚇の一環だ」と指摘する。「こうした人権活動家に対する脅迫の動きは今すぐ停止されなくてはならない。」

一般に「郡/区の警備要員」と呼ばれる準警察部隊は、デモ集会を激しく弾圧するためにしばしば派遣される補助的な治安部隊と位置づけられているが、その機能と権限に関する規則を定めた法的文書は存在しない。法的基礎と活動を統治する規則は、政府の発言と政策の複雑なコンビネーションおよび内務省の指示によって定められており、 部隊は郡長(または区長)の権限の下、警察と並行して活動する。

国際法律家委員会の国際上級法律顧問キングスレー・アボットは、「カンボジア政府は、サムアト氏やプティサック氏のような人びとの人権促進・保護活動を威嚇するのではなく、むしろ賞賛すべきだ」と述べる。「本件は即時かつ正式に取り消されるべきであり、準警察部隊の不当な実力行使に対してこそ、真の捜査を開始する必要がある。」