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(ニューヨーク)世界20カ国の首脳は中国に対し、国内の運動体への容赦ない弾圧の停止を求めるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは参加国宛書簡で本日述べた。中国は今年のG20サミットを2016年9月4日~5日に浙江省杭州市で開催する。

A G20 summit billboard in Hangzhou, China. © 2016 Reuters


各国政府は、中国政府による市民社会組織のG20プロセスへの参加制限に抗議すべきだとヒューマン・ライツ・ウォッチは付け加えた。

「中国政府が活動家のグループを尊重しない姿勢は、活動家宅への家宅捜索や、G20サミット開催にあたっての厳しい制限措置などにはっきり表れている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ中国部長ソフィー・リチャードソンは指摘する。「重要なのは、G20首脳が中国に人権侵害行為の停止を公式かつ非公式に訴えること、あるいは、サミットに関連した活動家への劣悪な取り扱いを共に非難することである。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチの書簡は、習近平体制下の中国で、汚職の追及や労働者の権利を訴える活動家など市民への弾圧が、周到に行われている現状を明らかにした。弾圧では嫌がらせ、刑事訴追のほか、国内と国外の組織の交流を制限する「域外NGO域内活動管理法」などの規制の厳しい法律が用いられている。書簡は、杭州でキリスト教徒の信教の自由が侵害されていること、中国政府がC20(市民団体)サミットおよびL20(労働組合)サミット準備会合への独立団体の参加を制限するなど、独立した意見に敵対的な姿勢を取ることで、G20サミットの意義を弱めている現状にも言及した。

書簡は8月上旬に、アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、欧州連合、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、日本、メキシコ、韓国、英国、米国に送られた。

「G20が市民社会組織との協議を重視するならば、G20首脳は杭州の会議場ではなく、国内の刑務所を訪問すべきだ」と、前出のリチャードソン部長は指摘する。「中国に今回のサミット開催を認める一方で、人権侵害を不問に付せば、中国政府に、そして中国全土の人びとにまったく誤ったメッセージを伝えることになるだろう。」

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