(東京)安倍晋三首相の中央アジア歴訪は、域内全体の劣悪な人権状況に懸念を示し、改善の重要性を強調する好機だと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。不当に投獄された人びとを釈放し、人権団体やジャーナリストが妨害されることなく活動することを認め、拷問の責任者の不処罰を改めることは、中央アジア各国首脳が行うべき仕事に数えあげられるべきだ。

2015年10月22日からの訪問に先立ち、ヒューマン・ライツ・ウォッチは安倍首相宛に書簡ブリーフィングメモを送り、各国政府高官との会談で特に憂慮を示すべき分野を提示した。具体的には、政治的動機に基づく人権活動家や市民運動家の訴追や投獄、NGO活動への弾圧、報道・集会・結社の自由への締め付け、拷問の不処罰などだ。

「中央アジアの抑圧的な指導者、そしてこの地域の多くの被害者たちも、日本の対中央アジア政策の中で人権は重要な要素であるとの発言を耳にする必要がある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのヨーロッパ・中央アジア担当アドボカシーディレクター ヴェロニカ・スゼンテ・ゴールドストンは述べた。「安倍首相は各国訪問にあたり、人権状況の改善が良好な両国関係には欠かせないことをはっきり伝えるべきだ。」

安倍首相は2015年10月22日から28日までの日程で、中央アジア5ヶ国すべてを訪れる。まずトルクメニスタン、その後タジキスタンウズベキスタンキルギスタンカザフスタンを訪問する。安倍首相の中央アジア訪問は初めてで、日本の首相としては2006年以来となる。

報道によれば、企業、団体など50社を伴う今回の訪問では投資促進が最重要課題の模様だ。安倍首相は5ヶ国の首脳とも会談する。

今回の歴訪で人権問題を中心課題とすることは、政府が「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値に立脚」した外交を展開するとした、安倍首相の2013年1月の所信表明演説とも軌を一にするものである。

「投資家にとっては、透明性とアカウンタビリティを持ち、人権を尊重する国家のほうがはるかに魅力的である。今回の訪問は中央アジア各国首脳に対し、長年放置してきた人権改革に着手することが自分たちの利害にかなうだけでなく、日本にとっても優先順位の高い課題であると知らせる上で極めて重要である」と、前出のゴールドストンは指摘する。