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米国:たばこ生産者が児童労働の保護政策を導入

ノースカロライナ州で危険な労働を無くす取組みに進展

(ニューヨーク)-米国の主要なたばこ生産者組織が児童労働に関する新たな政策を発表した。米国内のたばこ農場における有害危険な労働から子どもをまもるきっかけとなる動きであり、ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれを歓迎する。

ノースカロライナ州ほか隣接州で2,300戸超のたばこ生産者を代表する「ノースカロライナたばこ生産者協会」は2014年10月1日に、「児童労働を容認しない」政策を発表。たとえ保護者の承諾があっても、たばこ農場は16歳未満の子どもを雇用すべきではないとした。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ子どもの権利アドボカシー・ディレクターのジョー・ベッカーは、「ノースカロライナたばこ生産者協会は、米国内のたばこ農場における子どもの有害危険な就労の防止に向け、重要な一歩を踏み出した」と述べる。「この政策を実施することで、たばこ生産者は真の危険から働く子どもたちをまもることになる。」

今年5月にヒューマン・ライツ・ウォッチは、ノースカロライナ州をはじめとし、ケンタッキー州、テネシー州、バージニア州のたばこ農場における有害危険な児童労働の実態を調査・検証した。これら4州は米国内のたばこ生産シェアの実に90%を占めている。たばこ農場で働く子どもたちは嘔吐や吐き気、頭痛、めまいなどを訴えており、これらすべては急性ニコチン中毒と一致する症状だ。子どもたちの多くが残業手当もないまま長時間労働に従事していると話す。炎天下で直射日光を浴びて作業し、十分な休憩もない。保護具は一切ないか、あっても不十分だという。

米労働法では、保護者の承諾があれば農場側はその規模にかかわらず、わずか12歳の子どもでも学校の課外時間に雇うことができる。労働時間に上限はなく、小規模農園での就労については最低年齢の制限もない。16歳になると、子どもの農業労働者は米労働省が有害危険と認める職に就くことができる。農業以外の産業分野での最低年齢は18歳であるにもかかわらず、である。

たばこの葉がもつ有害危険性にもかかわらず、既存の法律および規制では、たばこ農場における子どもの就労に制約を課していない。

ノースカロライナたばこ生産者協会の新政策は、たばこ農場が16歳未満の子どもを雇用することにきっぱりと異を唱えるものだ。16歳~17歳の採用についても、確実に有害危険ではない労働にのみに従事させるべく「採用に慎重になるよう」、たばこ生産者に勧告している。

とはいえ、子どもは特に有毒な暴露に脆弱であり、保護具も農作業の有毒危険を防ぐのには十分でないことから、同協会はこのたびの政策の適用範囲を18歳未満に広げるべきである。国際労働法は18歳未満の子どもによる有毒危険な労働を禁じている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは世界の大手たばこ企業10社に対し、自社のグロバール・サプライ・チェーンに属する農場について、18歳未満の子どもによる危険な労働(たばこの葉への直接接触を伴うすべての作業を含む)を禁止させる働きかけを行っている。

世界的なたばこ企業や生産者協会といった業界組織は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」にのっとり、そのサプライ・チェーンにおける労働者の人権を尊重・保護する責任を負っており、これには児童労働の防止も含まれる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチと50以上のNGO団体は、オバマ政権にも当該問題について働きかけており、たばこ農場における子どもの有害危険な就労を禁ずる規制措置をとるよう求めている。そんななか、世界最大のたばこ企業のひとつ、フィリップ・モリス・インターナショナル広報担当者の発言がニューヨーク・タイムズ紙の9月6日付け記事に引用された。「わが社は米国の規制枠組み強化を歓迎する」というものだ。9月20日には米連邦議会の下院議員35人が米労働省のトーマス・ペレス長官に書簡を共同で送付し、同省がたばこ農場における子どもの有害危険な就労を禁ずる通知を出すよう要請している。

9月上旬にはもうひとつの主要なたばこ生産者組織「バーレー種たばこ評議会」が、「16歳未満の労働者は、米国だけでなく全世界のたばこ生産現場で雇用されるべきではない」との立場を示す決議を採択した。

前出のベッカー アドボカシー・ディレクターは、「業界団体はたばこ農場で働く子どもの危険を認知しており、その危険から子どもたちをまもるのに必要な政策を採用しつつある」と指摘する。「今度はオバマ政権が動く番だ。たばこ農場で働く子どもを危険な状況に陥れている法律および規制の抜け穴対策が求められる。」

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