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カンボジア:不正選挙に対する独立調査を

民主主義の本質を曲げて仏・豪・日本が選挙結果を承認

(ニューヨーク)-選挙不正が争われている2013年7月のカンボジア総選挙について、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、フランスオーストラリア日本の首相に書簡を送付。カンボジアの援助国・機関及びその他の国々がカンボジアに対し、国際的な支援を受けた独立調査を始めることを公式に求めるよう提言した。

不公正な選挙システム、結果に影響を与える可能性のある重大な違反行為、与党カンボジア人民党が異議申立てに真摯に対処する意志を見せない問題など、信頼性の高い不正の報告が多数存在するにもかかわらず、野党国会議員不在の中で、人民党国会議員がフン・セン氏を首相に指名。これを受けて、フランス・オーストラリア・日本の各首相は、氏への祝辞を伝える書簡を送付した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは「フン・セン氏は、根本的な欠陥を抱えた選挙を行った。民主主義国家の指導者は、祝辞ではなく、選挙不正に対する独立調査を強く求めるべきである。」

カンボジア選挙を監視する独立系の複数の団体、国際的なNGO、そして国連のカンボジアの人権状況に関する特別報告者は、選挙プロセスが著しく損なわれたと結論付けている。有権者登録に関する重大な構造的欠陥と不正行為、不正投票、選挙実施機関の党派的偏り、野党を報道しない偏向報道、現与党カンボジア人民党による国家の人的・物的資源の不公正な使用、国治安機関によるカンボジア人民党への協力などがあったためだ。

7月の選挙についてヒューマン・ライツ・ウォッチも、公表結果が実際の投票を反映しているか重大な疑念があると結論付けている。人民党が支配する選挙管理委員会と憲法評議会は、野党のカンボジア救国党による異議申し立ての検討を事実上拒否するなど、十分な証拠がある問題に対しても真摯な調査の実施を拒否、欠陥選挙の問題を更に拡大した。

フランス・オーストラリア・日本は1991年パリ協定の署名国であり、カンボジアにおける民主主義に対する条約上の責務を負っている。日本の安倍晋三首相は今年1月に、「外交は・・・自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値に立脚し、戦略的な外交を展開していくのが基本であります」と宣言している。

同じく1991年パリ協定の署名国である米国と英国をはじめ、フン・セン氏に祝辞を送っていない国は多い。

前出のアダムス局長は「フランス・オーストラリア・日本は、長年にわたり抑圧されてきたカンボジア国民の民主主義に対する熱望を支持しないで、28年間も権力の座にいる独裁的指導者の友人であり続けることを優先するのだろうか。多くのカンボジア国民が自由で公正な選挙を求め、国際社会の支持に望みを託している。選挙を経た指導者たちがこうした時期尚早な祝辞を送ったことは、カンボジア国民の希望を打ち砕くものだ」と述べる。

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