Aerial view of “Maekelawi” compound, the main federal police investigation center, in Central Addis Ababa, on February 18, 2013.

© DigitalGlobe 2013; Source Google Earth

(ナイロビ)-エチオピア政府当局が首都アジスアベバの拘留施設で、政治犯に拷問その他の虐待を加えている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日公表した報告書で述べた。エチオピア政府は、通称マエケラウィとして知られる連邦警察犯罪捜査部における不法行為を抑えるための緊急措置を取ると共に、人権侵害疑惑を公平に捜査し、その張本人の責任を追及しなければならない。

の報告書「彼らは自供を望む:エチオピアのマエケラウィ拘禁施設での拷問と虐待」(全70ページ)は、2010年以降、劣悪な拘留環境のマエケラウィで、重大な人権侵害と不法な尋問手法が行われている実態を取りまとめている。マエケラウィで拘留されている人々は、多数の野党政治家・ジャーナリスト・デモ主催者・民族反乱を支援したと疑われた者など。ヒューマン・ライツ・ウォッチは35人以上の元マエケラウィ被拘留者とその家族から聞取り調査を行った。当局者が情報や自白を引き出すために、被拘留者の基本的なニーズさえ認めず、拷問その他の虐待を加え、弁護士や親族と連絡を取ることも許さないでいる実態が、聞き取り調査からはっきりしてきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局長代理レスリー・レフコウは「エチオピア政府当局は情報を集めるために、首都のど真ん中で、日常的に拷問を行っている。暴行、拷問、自白の強制で、ジャーナリストや野党関係者を処遇してはならない」と指摘する。

大規模弾圧がおきた2005年選挙以降、エチオピアは非暴力の反体制派への弾圧を強めた。政府反対派と見なされマエケラウィに拘留され尋問された人々が、同国の厳しいテロ対策法上の犯罪で、頻繁に恣意的逮捕や訴追にさらされている。

マエケラウィ当局者、主に警察の尋問担当者は、拘留中の人々に様々な拷問と虐待の手法を使ってきた。元被拘留者はヒューマン・ライツ・ウォッチに、主に尋問の際、平手打ち・蹴り・ムチや銃の台尻を含む様々な物での暴行を受けた様子を詳述。また多くの場合暴行を受けながら苦痛を伴う姿勢を終了まで数時間を取らされる、手首を縛られて壁から吊るされる、といった虐待についても語っていた。

オロミヤ州出身のある学生は、隔離拘禁中に数ヶ月にわたり手かせ足かせをされていた経験を以下のように語った。「立とうとすると大変でした。頭と足とそれに壁を使って立つんです。食事の時も鎖に繋がれていたんですよ。看守はボクが食事の間、ボクの体の前で、ボクの手に鎖を繋ぎ、食事が済むと、また後ろ手に鎖を繋ぐんです。」

主に4つに分かれているマエケラウィの拘禁ブロックの環境は劣悪だがその内容はかなり多様だ。通称「チャラマ・ベット(エチオピアの公用語アムハラ語で暗い家)」として知られる最悪のブロックでは日光浴とトイレ使用を厳しく制限され、被拘留者の一部は隔離拘禁されていた、と元被拘留者は話していた。「タウラ・ベット(アムハラ語で木の家)」の元被拘留者は、房の外の中庭に出るのを制限され、蚤に寄生された不満を訴えていた。捜査官の要求に被拘留者が従ったかどうかに応じて、ブロック間の被拘留者の移動を含む、最低限の基本的人権や施設利用の許可が、懲罰あるいは褒美として使われた。多くの被拘留者は、釈放の次に、国際ホテルにちなんで名づけられた「シェラトン」として知られる、移動が自由なブロックへの移転を熱望していたそうだ。

「チャラマ・ベット」と「タウラ・ベット」の元被拘留者は、弁護士や家族と連絡を取るのを、特に拘留初期段階ではほとんど許されなかった。何人かの家族がヒューマン・ライツ・ウォッチに、マエケラウィを毎日訪問したが、長期にわたる捜査段階が終わるまでは、被拘留者への家族の面会を許されなかったと話していた。尋問中に弁護士が不在だと、人権侵害の可能性を増大するともに、人権侵害の調査と救済策の獲得の機会を制限する、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

「被拘留者を弁護士や親族から切り離せば、人権侵害の危険性を増すばかりでなく、捜査官要求を受け入れろという極めて強い圧力を生じさせる。マエケラウィで拘留されている人々は、尋問を受ける時の弁護士と家族の面会を必要とし、さらに速やかに裁判に向け起訴されるべきだ」と前出のレフコウ局長代理は指摘する。

捜査官が被拘留者に供述調書への署名や自白を強いるために、暴行や暴力の脅しなどの強圧的手法を行使していることを、ヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。それらの供述調書は、被拘留者が釈放された後に当局に協力するよう圧力を掛けるのに使われたり、法廷での証拠として使われたりしていた。

2011年にマエケラウィで拘留されていたスウェーデン人ジャーナリスト、マーティン・シブビーは、自白を引き出すために掛けられた圧力について、以下のように語った。「マエケラウィにいる殆どの人々は、諦めて自白するまで放って置かれる。3週間何も聞かれないことがある。ただ待つだけなんです。全ては自白を巡って構築されています。裁判所が仕分けするって、警察は言いますが、裁判所は選別しませんよ。」

被拘留者には虐待への救済に繋がる手段が殆どない。エチオピアの裁判所は、とりわけ政治的に微妙な事件に関し、独立性に欠ける。テロ対策法の下で拘留されている人々を含む被告たちが極めて多数の虐待を受けたという異議申し立てをしているにも拘らず、裁判所はそれらの申し立てを捜査するため、あるいは虐待を受けたと申し立てた被告人を報復から守るための、不適切な措置しか取ってこなかった。

裁判所は虐待申し立てに、もっと積極的に対応すべきだが、それは政府が裁判所の独立的な行動を認め、裁判所の判決を尊重するようにならなければ不可能だ。

エチオピアは近年、独立した人権侵害の調査と報道を厳しく制限してきており、マエケラウィの拘留環境監視を阻んでいる。政府のエチオピア人権委員会は、2010年以降3度マエケラウィを訪問し、隔離拘禁に対する懸念を公表した。しかしながら元被拘留者は、マエケラウィ当局者が上記の訪問の際にもついて回り、委員と被拘留者が個人的に会話するのを妨げたと話し、訪問の効果について疑問を呈した。

マエケラウィや他の拘留施設の人権状況監視の改善には、弾圧的な2つの法律、つまりCSO法とテロ対策法を改正する必要がある。それらの法律は、独立した人権監視を大きく減少させ、拘留中の拷問や虐待を防ぐ基本的な法律のセーフガード条項を撤廃した。

エチオピア憲法と同国の国際法への責務は、当局者に全ての被拘留者を拷問や虐待から守るよう義務付けており、全てのエチオピア当局は、人権侵害を伴う行為をなくすと共に、人権侵害を行った者を訴追する責任がある。エチオピア政府は、被拘留者の処遇改善の必要性を認めた人権行動3ヵ年計画を作成したが、同計画は、日常的に行われる人権侵害をなくすために必要な、具体的な政治行動よりも能力強化に焦点を当ており、身体的な虐待や拷問に対処していない。

前出のレフコウ局長代理は「より豊富な資金や能力強化だけでは、マエケラウィや他の拘留施設でまん延している虐待はなくならない。本当の意味での変革には、根っこにある不処罰文化を根絶やしにするため、人権侵害を行った全ての者に対する政府高官レベルからの行動が必要とされている」と指摘する。