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グルジア:軽犯罪処罰制度 問題だらけ

行政犯罪に適正手続きの権利 なし

(トビリシ)-グルジアの行政犯罪(軽犯罪)を処罰する法制度は、被告の適正手続上の権利を侵害している、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書で述べた。グルジア政府による同制度の改革が進行中だが、被告人の権利を保障するための迅速な措置も必要だ。

報告書「行政罰:グルジアにおける行政拘禁制度の問題」(全41ページ)は、軽犯罪を取り締まる「グルジア行政犯罪法」違反の容疑者たちが、適正手続や公正な裁判の権利を侵害されている実態について調査し、取りまとめている。1984年に導入された同法は、違反行為に対して最長90日の刑を規定しているが、被告人の権利の即時告知や、拘禁理由の開示を警察に義務づけていない。被拘禁者は多くの場合、家族への連絡も許されない。弁護人が被拘禁者がどこに拘束されているかを探し出すのは困難で、裁判も多くが形式的だ。多くの場合、人びとが刑に服するのは、72時間以上の拘禁を予定していない国際基準以下の施設である。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのヨーロッパと中央アジア調査員で、本報告書著者のギョーギ・ゴージャは、「逮捕された人の基本的権利が尊重されるのに、改革プロセスの終了を待つ必要はない」と述べる。「時代遅れの法律を改正することは歓迎だ。ただ、問題を解決するためにはもっと迅速な措置が求められる。」

グルジア政府当局は、近年、政治的緊張の高まりを受けて、抗議デモ参加者や活動家の拘禁に行政犯罪法を使ってきた。

2011年、関係政府当局は新たな行政犯罪法を起草。しかし、7月に国会の第1回聴聞会を通過した法案は、グルジア政府の人権保護義務を満たさなかった。グルジア政府は、直ちに政府の義務に則って被拘禁者の公正な裁判を受ける権利を実現するべきであり、行政犯罪法違反容疑で拘禁された個人に、第3者への通知を許可し、弁護士選任権の告知と行使を可能にするとともに、公正な裁判基準に則って裁判を行なう必要がある。

本報告書は、行政犯罪法違反容疑で逮捕された人を数十名弁護をした複数の弁護士、同罪で刑に服した6名、行政犯罪法違反で裁判所から罰金刑処分を科された2名、そして政府高官たちへの聞き取り調査を基にしている。聞き取りに応じた人のうち、行政犯罪法違反容疑で立件された人のほぼ全員が、政府への抗議デモ関連で拘禁されていた。

グルジアの司法制度において、行政犯罪法違反(軽犯罪)は、前科とならない軽微な公序違反とされている。しかしながら、国際法上、特定の行政犯罪に対して最長90日の拘禁を科すことは、刑事処罰に相当する。グルジア内務省の統計によれば2011年だけでも、行政犯罪法違反で31名に90日、132名に60日、343名に30日の刑が科されている。

しかし、行政犯罪法上の保護規定は、逮捕理由の告知や家族への拘禁通知などの基本的な事項でさえ、グルジアの刑事訴訟法上の同様の保護規定と比較して、弱いか又は曖昧な内容となっている。

また、行政犯罪法違反容疑をかけられた個人は、法廷でも、適正手続上の保護を受けられない。ヒューマン・ライツ・ウォッチが精査した複数の事案で、公判はほとんど15分以内に終了しており、ほぼ全面的に警察側の証言に依って判決が言渡された。被告人が弁護士を選任できた場合でも、効果的な弁護の準備に必要な時間を欠いていた。ヒューマン・ライツ・ウォッチが調査して取りまとめたうちの2件の事案では、被告人が負傷しているのが法廷で明らかだったにもかかわらず、裁判官がそれについて問うことはなかった。また、聞き取り調査に応じた弁護士全員が、上訴権行使に障害があり、同権利が有名無実化していると語った。

行政犯罪でも刑事罰に相当する刑が科される可能性があることを踏まえ、行政犯罪法違反で立件されたすべての人に、刑法犯罪の被疑者・被告人と同等の権利が与えられるべきだ。つまり、適正手続や公正な裁判基準、恣意的拘禁に対する保護などである。

欧州人権裁判所は、行政拘禁制度を有する国は、欧州人権条約が定める基準を満たすべく、適切な適正手続と公正な裁判上の保護規定を設ける義務を負うという判決を下している。

前出のゴージャは、「行政犯罪法を今改正することは、グルジア政府の利益になる。さもなくば、欧州人権裁判所が、グルジアが欧州人権条約に違反していると判断する可能性もある」と指摘する。

拘禁環境もまた問題だ。被拘禁者は内務省の管轄下にある一時拘禁隔離施設で服役している。主に、刑事事件の被疑者を立件後、拘禁施設に移送するまでの72時間以内の拘禁をする場合に使用される施設で、長期間の拘禁を目的として作られたものではない。

政府関係当局は近年、一時拘禁隔離施設の改装を進めている。が、国際水準を満たすには、毎日シャワーを浴びたり、外で運動ができるようにする等、一層の取り組みが求められる。

欧州拷問等防止委員会およびグルジアのオンブズマン事務所による報告書や、元被拘禁者の証言が、こうした施設内の拘禁環境がしばしば国際基準に満たないことを示している。

前出のゴージャは次のように述べる。「グルジア政府は行政犯罪法を国際基準に沿った内容にすべきだ。同時に、軽犯罪で逮捕されたすべての人びとの基本的権利を保障せねばならない。」 

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