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ビルマ:国軍は人権侵害の停止のため行動を

国軍法務部長は国連調査委員会を支持すべき

(ニューヨーク) - ビルマ軍事政権首脳部は、人権侵害行為の停止と責任者の確実な処罰を実現する方策を採用すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日付のビルマ軍政法務部長ヤーピイェ少将宛書簡で指摘した。

この書簡は2011年3月27日の第66回国軍記念日に合わせて送付されたもの。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこの中で、国軍の法務責任者である同法務部長に対し、国軍の全構成員に国際人権法と国際人道法(戦時国際法)を遵守するよう正式な命令を下すことを求めた。ビルマ国軍は、民族反政府武装勢力への作戦行動で、広範かつ深刻な人権侵害を引き続き行っていることをヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。具体的には、超法規的処刑や拷問、強かん、強制労働、食糧と資産の破壊や窃盗などだ。

「ビルマ国軍は、同国政府とは異なり『一新され、改善された』という身振りさえしていない。陰惨な人権侵害の事例がその証拠だ」とヒューマン・ライツ・ウォッチのジェームズ・ロス法務・政策ディレクターは述べた。国軍指導部は人権侵害の停止を命ずるべきであり、その指示には実行者の処罰によって強制力が与えられるべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ビルマ国軍には、戦闘行為の間に民間人(非戦闘員)の損害を最小にするために必要なあらゆる措置をとり、かつ人権侵害行為の実行者すべてに対して、確実に完全な形での調査を実施した上で、適切な形で処罰あるいは起訴を行う義務があると述べた。さらに、国軍は兵士による民間人への犯罪行為の訴追への文民監視を強化すべきであり、実際の犯罪行為で訴追された非国家武装勢力の構成員について、その裁判を必ず軍事法廷ではなく一般法廷で行うべきだと指摘した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ビルマ国軍(タッマドー)が、ビルマにも適用される戦争法の違反行為に関与した軍人について詳しい捜査と訴追を怠っていることを、依然として深く憂慮している。

2010年11月以降、国軍の軍事活動が同国東部カレン州中部で活発化しており、ビルマ・タイ国境の両側で数万人の避難民が発生している。民間人は対人地雷や簡易爆発物 (IED) が敷設された地域を通過する形で負傷兵の運搬を強制されている。全国各地の複数の刑務所から大量の囚人が強制的に動員され、軍事作戦中には国軍のためのポーター(荷運び役)として使われている。ポーターの役目の一つに、部隊の前方を歩いて地雷探知をする「非道な地雷除去」と呼ばれる行為がある。

ヒューマン・ライツ・ウォッチはビルマ国軍法務部長に対し、国際人権法ならびに国際人道法の侵害行為に関する国連調査委員会の設置を求める意見を支持するよう強く求めた。調査委員会設置を求める意見は、ビルマの人権状況に関する国連特別報告者トマス・オヘア・キンタナ氏が国連人権理事会に2010年3月に提出した報告書の中で、その設置を勧告したことで高まっている。

今回の軍法務部長宛書簡には、調査委員会に関する最新のQ&Aがビルマ語と英語で付されている。現時点でこの提案を公的に支持する16カ国は次の通りだ。オーストラリア、ベルギー、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フランス、ハンガリー、アイルランド、ラトビア、リトアニア、オランダ、ニュージーランド、スロバキア、英国、米国。

「ビルマに関する国連調査委員会が設置されれば、国内の軍事衝突の当事者による人権侵害行為を減らすことに役立つ」と前出のロスは述べた。「また、人権とアカウンタビリティに関する真剣な議論がビルマ国内で行われるきっかけにもなるだろう。」

2010年11月の総選挙は、軍政が支援する連邦団結発展党 (USDP) に大多数の議席をもたらした。事前段階から投票に至るまで脅迫が行われ、大規模な不正行為が存在し、反対勢力の大半を周辺化させる複数の法律が制定されたことで、選挙に関わる一連の過程は損なわれた。2011年1月に国会の上下両院と計14の地方・州議会が開催され、議会と行政府のほぼすべての主要な役職が選挙直前に退役した元軍高官に割り当てられた。国会と地方議会の総議席の4分の1ずつが現役の軍高官に予め割り当てられており、かつUSDP所属議員が議会の圧倒的多数派であるため、国軍は法律の成立に必要な4分の3以上の議席を有している。少数の野党または無所属議員の存在は完全に周辺化されている。

「2010年11月に総選挙が行われたが、ビルマの軍政支配の権威主義的な本質も、国軍の紛争時の人権侵害への関与のあり方も変わっていない」と前出のロスは指摘する。「ビルマ国軍は、日常的に行われる民間人への人権侵害行為を停止させる方策をとり、従来の路線を180度転換すべきだ。」

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