Skip to main content

ジブチ:ジブチ人権連盟 (LDDH)代表ジャンポール・ノエル・アブディ氏起訴を取下げ 釈放を

イスマイル・オマール・ゲレジブチ共和国大統領宛の書簡

閣下、

ヒューマン・ライツ・ウォッチは世界中の人権侵害を監視し、その状況について報告・公表する国際NGOでございます。

閣下に対し、ジャンポール・ノエル・アブディ氏逮捕に関する極めて重大な人権問題上の懸念を提起したく、また、下記にご説明させて頂きますように、ノエル・アブディ氏の人権に対するセーフガードを講ずるよう、貴国行政に求めたく、本書簡を差し上げます。

ノエル・アブディ氏は2011年2月5日及び6日に起きたデモに続き、野党党員及び学生が逮捕された事に関する調査・報告後、同月9日に逮捕されました。我々は氏がガボデ(Gabode)中央刑務所に拘束されている者への面会を試み、それが当局によって阻止されたと認識しております。2月5日の大学生による教育政策に対するデモは、平和的に始まりましたが、その後騒然とした事態となり若干の略奪が起きたと伝えられております。警察はデモ隊を解散させるために催涙ガス及びゴム弾を使用、更に12名もしくはそれ以上の人びとを逮捕しております。

ノエル・アブディ氏はデモを組織した者でも、参加者でもありませんでした。また暴力行為も、略奪或いは投石を奨励したこともございません。ジブチの主要な人権団体であるジブチ人権連盟(Djiboutian League of Human Rights:以下LDDH)の代表として、とりわけLDDHのメンバーであるファラ・アバディド・ヘルディド(Farah Abadid Heldid)氏の2月5日の逮捕が恣意的であったと考え、それに対する反対を公に表明しただけであります。

ノエル・アブディ氏の容疑を裏付ける証拠がないにもかかわらず、ジブチ刑法145条及び146条第4項に基づき"暴動参加"容疑で起訴されていることに対して、私どもヒューマン・ライツ・ウォッチは重大な懸念を抱いております。

ノエル・アブディ氏は、国際法であるところの市民的及び政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約:以下ICCPR)、更にジブチ憲法でも保護されている表現の自由に関する権利を行使したことによりに、逮捕勾留されていると私どもは考えております。

ノエル・アブディ氏はこれまで何年間も、当局による嫌がらせを度々受けております。2006年にはウガンダで開催されたジャーナリストの会議に出席することを禁じられ、1994年に起きた殺人事件の遺体7名が2007年に発見された事件について、治安部隊が共犯関係にあったと主張した後、"刑事名誉毀損"容疑で逮捕され、6ヶ月の刑及び罰金10万ジブチフランの有罪判決を受けました。しかし、彼の上訴に関する公判は開催されなかったと私どもは理解しております。2009年4月には、司法の独立性が欠けていると裁判所を批判したところ、"司法当局への公然侮辱罪"で逮捕・拘束され、同年6月に釈放されたものの立件容疑は取り下げられておりません。

ノエル・アブディ氏の健康状態は思わしくありません。60代半ばで糖尿病を患っております。2007年に受けた有罪判決の後、体調不良を理由として釈放され、治療のため国外への出国を許されております。今回の拘束が彼の健康を悪化させることは疑いがなく、命の危険をもたらすものであります。

大統領閣下におかれましては、ノエル・アブディ氏が人権活動ゆえに逮捕された全体的状況を検討するとともに、氏の健康状態を考慮し、氏への刑事訴追を取り下げるべく、閣下の行政権を行使し氏の釈放を命じて頂きたく要請いたします。そうすることにより、ICCPR下におけるジブチの国際的責務が、全うされます。

この重大な問題に対する閣下のご検討に感謝申し上げます。

敬具

ヒューマン・ライツ・ウォッチ・アフリカ局長代理

ロナ・ペリガル

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

地域/国