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中国:2010年ノーベル平和賞受賞者 劉暁波氏の釈放を

劉暁波氏と劉霞氏のノーベル賞授賞式出席を許すべき

(ニューヨーク)-中国政府は、2010年ノーベル平和賞受賞者劉暁波氏を直ちに釈放し、彼を賞賛して開催される2010年12月10日のノーベル賞授賞式への出席を許可するべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

劉氏は、中国の緩やかな政治改革を求めた08憲章の共同執筆者であったことから、懲役11年の実刑判決を受け、服役。1年が経った。妻の劉霞氏もノーベル平和賞が発表された10月8日以降、事実上自宅軟禁状態にある。それだけでなく、劉霞氏は、収監中の夫への面会が恒久的に不許可とされた件についても、公式声明を出さないよう、公安に命令されている。

「劉暁波氏の逮捕は違法であり、裁判は不公正だった。そして、彼への刑は不正義である。」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジアアドボカシーディレクターのソフィー・リチャードソンは述べる。「彼は釈放されるべきだ。そして、この歴史的な賞を授賞するため、妻とともにノルウェー行きを許されるべきだ。」

中国政府は、劉氏が「犯罪者」で、彼の有罪判決は中国の司法手続きに基づく公正な結果だったと述べ、劉氏の投獄を正当化しようとしてきた。中国当局は、他国政府は中国の法制度を尊重するべきであると主張する。しかし、その司法そのものの無視と適正手続の無視が、劉氏に対する訴追にも多く見られただけでなく、中国の中の小さいながらも活発な人権活動家コミュニティに対してノーベル平和賞受賞者発表以来行われている迫害にも顕著に見られる。

2008年12月の拘束以降2009年6月23日まで、北京公安は劉氏を隔離拘禁するとともに、中国法に違反して、弁護士との接見もないまま北京の秘密の場所で「住宅監視」と呼ばれる拘置方式に彼を置いた。2010年10月8日のノーベル平和賞受賞発表以来、北京公安は劉氏の家族・友人・支援者にも弾圧を行なっている。劉霞氏の自宅軟禁に加え、08憲章の主たる署名者と共同執筆者全てが、公安の厳しい監視下に置かれ、お互いに面会することを禁止されているほか、メディアからのインタビューや外国への出国を拒否されている。

中国全土にいる多くの人権活動家が公安局(Public Security Bureau)や州の治安関係者からの嫌がらせを受け、尋問に召喚されたり拘禁されたりしている。加えて世界的に高名な芸術家アイ・ウェイウェイ(艾未未)氏や、優れた法律学者であるフー・ウェイファン(賀衛方)氏、中国の刑事弁護士として有名なモー・シャオピン(莫少平)氏、80歳の経済学者であるマオ・ユーシー (茅于軾)氏などの著名人たちも、ノーベル賞授賞式に先立ち「国家の安全のため」に旅行を禁じられている。あるインターネット・ユーザー、モウ・ヤンシー(牟彦希)氏は、ツイッター上で劉暁波氏を支持するメッセージを送信した容疑で、強制労働所に2年間送られる刑を言い渡された。もう1人、ダイ・ドンピン(泰董平)氏は、中国で人気のインターネット・メッセージ・サービスであるQQに、1989年に起きた天安門広場でのデモの写真を掲載したために、「国家安全危害罪」の容疑で立件されている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国の人権活動家や法律家などとともに、刑法第105条「国家政権転覆罪」の廃止を長い間求めてきた。刑法第105条は共産党批判を犯罪としており、劉氏も本条に違反したとして投獄されている。この条文は、非暴力の批判を無差別に処罰するのに利用されてきた。

中国における政治犯や思想犯の数を推定するのは困難だが、数千人規模と考えられる。司法部の正式な統計によれば、毎年数百人が「国家安全危害罪」の判決を宣告され、現在少なくとも18名の著名な政治犯が、「国家政権転覆罪」の刑に服している。中国政府は、「労働を通しての再教育」という行政制度で、公安が、裁判や弁護士なしに、抗議運動参加者や宗教的政治的反体制派および人権活動家などに対し、3年以下の刑を科すことを認め続けている。

「劉氏は犯罪者であるという中国政府の主張は、中国の法律が表現の自由を侵害し、国際的基準や中国国民の願いから逸脱していることを示すだけである。」とリチャードソンは述べる。「ノーベル平和賞に反発した中国政府が抑圧をエスカレートさせている実態は、中国における人権の現実に光を当てようとするノーベル賞委員会の正当性を示している。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国政府が各国政府に対して、12月10日のノーベル賞授賞式に各国代表を送ることを止め、劉暁波氏のノーベル賞受賞への支持を表明しないよう威圧したと述べた。11月5日、中国外務次官サイ・テンガイ(崔天凱) 氏は、「"選択を誤った"国は、その結果を負担しなければならない[だろう]。」と述べた。こうした脅しは、別の中国外務次官であるフー・イン(傅瑩)氏が、2010年8月、彼女がオスロに出張した際に、ノーベル賞委員会に中国政府がノルウェー政府に対する外交的報復措置を取る可能性について警告をしたやり方と同じである。

「ノーベル平和賞授賞式に出席する政府は、人権の普遍性への支持を表明するとともに、国際社会において平和と人権尊重の間には強い関係性があることを想起させたノーベル賞委員会の決定の重要性に対し、支持を表明することとなろう」とリチャードソンは述べた。「オスロの授賞式に出席する政府は、その出席自体によって、中国政府の恣意的介入を拒否することを示すと同時に、中国の世界における影響力が一層拡大するにつれて、中国政府が国際基準や法的義務を遵守することに対し、国際的な期待も高まっていることを示すという点でも重要である。」

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