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クラスター爆弾:妥協なき完全禁止を

各国は、妥協案を拒否し、クラスター爆弾禁止条約へ加盟を

(ジュネーブ)-ヒューマン・ライツ・ウォッチは、本日発行した書籍で、クラスター爆弾による人類の惨禍を止める唯一の有効な方法は、「クラスター弾禁止条約」 (Convention on Cluster Munitions)である、と述べた。現在ジュネーブでは、クラスター爆弾禁止条約よりも義務の緩い代替案について外交官が論議を行っている。しかし、非人道兵器・クラスター爆弾の被害を食い止めるには、同条約によって、クラスター爆弾を全面的かつ絶対的に禁止することが必要である、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが出版した書籍「クラスター爆弾禁止条約:民間人保護の実現のために」(224ページ)は、ヒューマン・ライツ・ウォッチがこれまで10年間行なった調査研究の集大成である。クラスター弾が引き起こした人的被害を詳細に明らかにするとともに、クラスター弾の禁止を義務付けた条約の成立に至るまでの国際的経過を分析、さらに条約署名国が約束を果たすために取るべき措置を提起している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ武器局の上級調査員ボニー・ドハティは「現地調査によって、クラスター弾が民間人を不可避的に殺傷している事実が明確になった」と語る。「被害発生を防止しようと本気で考えているすべての国は、この禁止条約に加盟するべきであり、効果のない中途半端な妥協をしてはならない。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチはクラスター弾が民間人に及ぼす惨禍について現地調査を行うとともに、クラスター弾禁止条約成立にむけた国際的取り組みにも積極的に関与。2008年に同条約が採択された。本書籍「クラスター爆弾禁止条約:民間人保護の実現のために」は、ヒューマン・ライツ・ウォッチのこうした経験をまとめている。

約50年前、ベトナム戦争で初めて大規模に使用されて以来、クラスター弾は多数の民間人を殺傷してきた。またそれに加えて、不発弾が、地雷と同様、数十年間にもわたって広大な土地を汚染してきた。クラスター弾があまりに拡散し、再三にわたって使用された結果、世界的な問題となった。

クラスター弾は、数十から数百発もの子弾を散布する大型兵器で、人口密集地での攻撃に使用される場合、特に多くの民間人被害をもたらす。子爆弾が広範囲にばらまかれるため、兵士のみならず民間人にも命中してしまうのだ。さらに、子弾の多くは着弾時に爆発せず、その後長期間、地雷のように残存。子どもや農民の死傷の原因となっている。

クラスター爆弾禁止条約はこのような問題の全てに対処する、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べる。同条約は、クラスター弾の使用・製造・移譲・備蓄を全面禁止するとともに、備蓄廃棄・不発子弾処理・被害者支援をも義務付けている。現在108ヵ国が署名、うち46ヵ国が批准を果たし、すでに条約規定に拘束されている。

2007年、一般的な国連外交の枠外で、各国政府と市民社会が協力を開始。わずか15ヵ月でこの強力な条約を実現させた。2010年11月12日、ラオスのビエンチャンで終幕したクラスター爆弾禁止条約の第一回締約国会議では、代表者たちが、全条約義務を迅速に履行するための大胆な行動計画66項目に合意した。

しかし、数カ国の軍事大国は、クラスター弾を禁止するのでなく、制限する代替案作成に向けて活動を続けている。特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons: CCW) の議定書が、11月22日から26日にかけて議論され、クラスター弾の幅広い例外規定と併せて長期の移行期間を設定すると見られる。

前出のドハティは「骨抜きの議定書は、クラスター爆弾禁止条約の影響力を削ぐ可能性がある」と語る。「各国政府はこの提案をきっぱり拒否すべきである。」

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