(東京)日本は、ビルマにおける戦争犯罪および人道に対する罪に関する国際調査委員会の設立を公に支持するべきである。ヒューマン・ライツ・ウォッチ及び他のNGO5団体は、本日公開された前原誠司外務大臣宛の共同書簡で述べた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ、ヒューマンライツ・ナウ、日本ビルマ救援センター、ビルマ市民フォーラム、アムネスティ・インターナショナル日本とビルマ情報ネットワークの6団体は、今回の国連定期総会において、国連調査委員会の設立を含めた年次ビルマ決議を日本が支持することを強く求めた。これに先立ち、ビルマの人権状況に関する国連特別報告者のトマス・オヘア・キンタナ氏が、2010年3月、国連に対し、ビルマで起きている人道に対する罪に関する調査委員会設置の検討を勧告している。
「国際事実調査委員会の設置は、ビルマにおける不処罰の連鎖を断ち切る重要な第一歩である。」ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は述べる。「日本は、国際刑事裁判所(ICC)のアジアにおける数少ない締約国のひとつであり、アジアの民主大国。ビルマにおける正義(法による裁き)のための行動をとるよう、率先して他のアジア近隣諸国に働きかけることのできる格好の立場にある。」
国連は、長年にわたり多くの文書において、ビルマでの深刻で広範かつ組織的な国際人権法および国際人道法の違反行為を調査・記録、公表してきた。今日までに、国連総会ではビルマに関する19の決議が可決されている。
本書簡は、国連はビルマの深刻な人権状況を記録して年次決議を採択するだけの現状では十分ではないと主張している。日本政府に対し、長期化するビルマの内戦の全当事者が行った国際人権法および国際人道法の違反行為に関する国際事実調査委員会の設置を支持することで、こうした人権侵害行為に終止符を打つための積極的なリーダーシップを発揮することを求めている。
前述のNGO6団体は「今こそ日本政府、そして、考えを同じくする諸国が、こうした犯罪が確実に国際社会の関心の対象となるように確保するとともに、ビルマにおける不処罰のサイクルを絶つための方策を講じるべきである。国際調査委員会の設置はその重要な第一歩」と指摘。
イギリス、ハンガリー、チェコ共和国、オランダなどの欧州連合(EU)加盟国の一部のほかにも、アメリカ合衆国、オーストラリア、ニュージーランドといった国々が、すでにビルマでの犯罪に関する国際調査委員会の設置への支持を公にしている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、ビルマにおける国際法違反犯罪のアカウンタビリティに関して詳細に説明した「よくある質問(FAQ)」の日本語版も発表した。
「ビルマにおける国際人権・人道法の重大違反の被害者たちに、世界は注目し、正義(法による裁き)をもたらさなければならない。」土井はこのように述べる。「前原新外務大臣は、今こそビルマに正義をもたらす行動のリーダーシップをとるべきである。」