3月27日にビルマ首都のネピドーで行なわれた軍事パレードに出席した、タンシュエ上級将軍(右)。

© 2010 Reuters

(ニューヨーク) - 「ビルマ軍事政権は総選挙を11月7日に実施すると発表したが、そのねらいは文民統治の見せかけのもとで軍政支配をさらに強化することにある。」ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。国連と東南アジア諸国連合(ASEAN)、関係各国政府は、20年以上ぶりに総選挙を行うとの軍政の今回の発表を契機として、深刻な欠陥のある一連の民主化プロセスを厳しく精査すると共に、2,000人以上にのぼる政治囚の釈放を求めて働きかけるべきだ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレーン・ピアソンは「選挙日程の発表を、軍政は自分たちの筋書き通りだと思っているだろう。しかし、これで深刻な欠陥のあるプロセスが正当化されるなどということはない」と述べる。

選挙日程が本日13日に発表されたが、1週間前には選挙委員会が、政党による選挙の対象となる選挙区の数を発表していた。議会は2院制で、両院の総議席の4分の1が現役軍人に割り当てられる(下院で440議席中110議席、上院で224議席中56議席)。4月には首相のテインセイン将軍と、内閣を構成する20人以上の軍幹部が一斉に退役し、選挙に出馬するために、軍政の政党である連邦団結発展党(連邦連帯開発党、USDP)に入党した。

「これで人の目がごまかせるわけがない。国軍幹部は軍服から平服に着替えることはできるが、総選挙は権力を引き続き軍政の手中に収めることを目的とした、周到に用意された計画の一部にすぎない」とピアソンは指摘する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、選挙日程の発表を受け、国民と一部政党への脅迫が強まることを懸念している。2008年5月に行われた憲法制定国民投票では、不正投票や脅迫、弾圧が目立った。選挙関連法や政府による規制により、表現、集会、結社に関する基本的権利は厳しく制限されている。法律により集会は5人までとされ、選挙プロセスを公に批判することは法により禁じられている。選挙に関する報道も厳しく規制され、報道審査委員会はビルマ人ジャーナリストが発表できる内容を制限する検閲機関として機能する。外国人ジャーナリストはビルマへの入国をたびたび拒否されている。

国連、ASEAN、欧州連合は軍政に対して、全政治囚の釈放、選挙プロセスの信頼性と包括性の向上、野党・国民民主連盟(NLD)やビルマ国内の多数の民族グループなどすべてのアクターとの実質的な国民和解プロセスを開始することを一貫して求めてきたが、現軍政=国家平和発展評議会(SPDC)はこれを無視してきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、3月に発表された選挙関連法が、政治囚が各政党の党員になることを禁止するなど不当な規制を課していると指摘する。新党の連邦団結発展党は、

公称会員数2,400万人の大衆社会福祉組織「連邦団結発展協会」(連邦連帯開発協会、USDA。1993年設立)を衣替えしたものだ。

「関係各国政府は、根本的に欠陥のあるプロセスでも何もないよりはましだとか、選挙を通して今後何らかの進展が期待できるのではないかとなどという誤った考え方に陥るべきではない」と前出のピアソンは述べる。「今のところ、11月総選挙は、今より少しだけ洗練された軍政支配の仕組みのための青写真に過ぎない。」