A voter casts his ballot at a polling station in the town of Malakal, Sudan.

© 2010 Reuters

(ニューヨーク)- スーダンで20数年来初の複数政党による大統領選挙が行なわれた。しかし、横行する政治弾圧と人権侵害に加えて、選挙プロセスにおける数々の失策と不正が横行。スーダン政府当局は、ただちにこれらの人権侵害を調査するとともに、司法の場で裁くべきである。

4月26日に現職のオマル・アル・バシール大統領が再選されたと宣言された。しかし、これは、国際刑事裁判所による同大統領の訴追に何ら影響を与えない。同裁判所は2009年3月、ダルフールにおける戦争犯罪と人道に対する罪の容疑で、バシール大統領に逮捕状を発行している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチアフリカ局長のジョルジェット・ギャグノンは、「我々の懸念は、単に選挙時の技術的な不正にはとどまらない」と述べた。「政治弾圧と人権侵害が、投票の自由と公平性をスーダン全土で踏みにじった。」


4月11日から15日の国政選挙期間中、国内外の選挙監視団が、複数投票や投票数の上乗せ疑惑など、選挙手続き上の不手際や不正の蔓延を報告。特にスーダン南部での混乱は顕著で、南部のほとんどの州で深刻な不正行為があったと報告されている。

また北部では、与党・国民会議党(NCP)がいやがらせや脅しに加えて、活動家や野党メンバー、選挙監視員の逮捕といった手段を使って、選挙期間中の投票をコントロールしていたことも、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は明らかにした。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査によって明らかになった政治的権利の侵害事件は、これまでの月に比べると少なかったとはいえ、警察や治安部隊による権利侵害が引き続きなされていたのは確実。それらの行為を助長する法律の数々も有効なままで、これは2005年に元・南部反政府勢力の「スーダン人民解放運動」(SPLM)と政府間で結ばれた包括和平協定(これにより国民統一政府が成立)に反している。

一例として挙げられるのが、ハルツームで3月31日に起きた事件。覆面警官と治安部隊員が、18歳の女性活動家を逮捕した上一晩拘禁。この時、当局は与党・国民会議党に反対票を投じることを促すビラをまいたかどで、この女性に取調べを行った。

「彼らは私を何時間も暗い部屋に閉じ込めた」と、当事者の女性はヒューマン・ライツ・ウォッチに証言。「私の支援者が誰で、援助額はいくらだったのかって、しつこく聞き続けられたの。」

またヒューマン・ライツ・ウォッチは、選挙中の脅迫行為についても証言を得ている。南ダルフールでは、兵士らが投票所から監視員を追い出したり、「バシール氏に反抗する人間はみな殺す」と脅した例があった。

スーダン南部の政権を握るスーダン人民解放運動も、繰り返し人権侵害を犯しており、投票時には人びとの投票行動に圧力をかける動きがみられた。

投票期間中の暴力事件は最小限にとどまったものの、治安部隊による数々の恣意的逮捕や、投票者、野党メンバー、政党間選挙監視員、国内選挙監視員に対する脅迫行為が、西エクアトリア、中央エクアトリア、西バハル・アル・ガザール、ユニティ、ジョングレイなど、南部のいくつかの州でおきたことが調査によって明らかになっている。

たとえば4月14日、警備隊員が同国の市民社会団体「民主的選挙のためのスーダン・ネットワーク」(SuNDE)メンバー14人を、南部首都ジュバの投票所3カ所で逮捕した。

「平服の男が私を脇へ引っ張ったのは、私がSuNDEのメンバーだと気がついた後のことでした」とヒューマン・ライツ・ウォッチに証言した女性。「男は、選挙を台無しにするために雇われたんだろうと私をなじりました。そのまま車に押し込まれそうになったので抵抗したら、二度も顔をはたかれたんです。」

治安部隊員はその後、この女性と他の監視員を地元の警察署に連行し、そのまま1時間ほど拘束、後に立件せずに釈放した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、スーダン政府当局に対し、直ちにこうした人権侵害について調査し、関係当事者を処罰するよう強く求めた。加えて、国際機関と選挙監視団にも、各地の選挙結果の正当性をめぐって争いが起こりうる可能性を見すえ、状況を厳重に監視するよう要求。同時に、人権侵害や脅し、暴力について強く抗議するよう伝えた。実際、4月23日には、選挙結果が原因の衝突で、ユニティ州で2人の民間人が殺される事件が起きている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチはまたスーダン政府に、国連安全保障理事会決議1593に則して、国際刑事裁判所に協力するよう求めた

前出のギャグノンは、「選挙結果にかかわらず、アル・バシール大統領は、犯した罪についてハーグの国際刑事裁判所で裁かれねばならない。さもなくば、被害者たちの無念は全く報われないままになってしまう」と述べる。

 

背景

この4月に行われたスーダン国政選挙は、2005年の南北内戦終結時に結ばれた包括和平協定で定められたマイルストーンのひとつ。この選挙は、スーダンが民主主義に移行するための第一歩であると共に、2011年初めに予定されている南部の独立に関する住民投票の前哨戦と位置づけられていた。

しかしながら、選挙に至るまでのすべての歩みは、2008年の第5回国勢調査に始まり、国政選挙監理委員会(NEC)とその系列団体設立、選挙区設定、選挙民登録、選挙運動、投票と開票に至るまで、論争に明け暮れた。

選挙準備期間に、ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの国際機関は、スーダン国内の環境が自由で公平な投票に適さないと、繰り返し警告してきた。その根拠は、法制度の不備、限定的な政治的自由、ダルフールで続く暴力、並びに選挙委員会による公平な選挙環境確保の失敗など。


4月の第一週、スーダン南部を統治するスーダン人民解放運動とジュバ同盟(野党連合)が選挙をボイコットすると宣言。ダルフール危機の継続、国勢調査関連の不正、治安法改正の不履行、不公平な選挙環境、選挙委員会の政治的偏向を理由に挙げた。

米国特使とその他の国際機関による強力な後押しや激しい交渉が行なわれた結果、2つの主要野党、民主統一党(DUP)と人民国民議会党(PCP)が、再び選挙に参加することとなった。こうした状況下でも諸外国政府等がこの選挙を支持したことに対して、野党や市民団体は厳しい批判を行なった。


カーターセンター、欧州連合、アフリカ連合、東アフリカ政府間開発機構(IGAD)、アラブ連盟や、スーダン政府への経済支援国やその他の政府外交団などが、国際的な選挙監視団として加わった。カーターセンターと欧州連合は、選挙後4月17日付けの声明で、選挙過程の問題点について、一次声明を発表している。

スーダンの市民グループも選挙中、何千人もの国内選挙監視員を派遣、期間中に声明を出し続けた。選挙後、こうした市民グループと野党は、選挙結果を認めないと発表。与党・国民会議党による選挙中の不正行為により選挙の正当性が損なわれた、というのがその理由だ。

 

活動家や野党メンバーに対する北部の州での弾圧や逮捕

選挙前の数週間は、それまでの数カ月と比較すれば、集会や言論の自由の侵害事件は少なかった。一方で、与党へ投票しないように訴える団体"girifna"(もうたくさんだ!の意)の活動家に対する当局の取り締まりは続いた。


3月31日に18歳の活動家が逮捕されたのがひとつの典型例だ。首都ハルツームのハジ・ユシィーフ地域で"girifna"のビラまきをした女性活動家を私服警官が逮捕・拘禁。ヒューマン・ライツ・ウォッチに対する彼女の証言によると、私服警官と治安部隊員が数時間にわたって女性を尋問し、真実を言わなければ「処女検査」をすると脅したという。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが集めたその他の証拠では、選挙ボイコットの支持者を当局関係者が標的にしたことが明らかになっている。たとえば、共産党議長とダルフール南部ニャラのウマ革新党のメンバーは、選挙ボイコットをよびかけるビラを配布したかどで、4月8日に治安部隊員に逮捕・拘禁された。

「毎日報告のために出頭することと、"反スーダン"的活動はしないと誓う書類に署名しなければ、警察は釈放してくれなかった」と、共産党メンバーのナー・エル・サディクは当時を振り返った。


4月8日、検察庁は、国家治安当局を代理し、反体制派新聞Ajras al Huriya(自由の鐘の意)の編集者とコラムニストのアルハジ・ワラグ氏を訴追。これは、スーダン人民解放運動(SPLM)の候補ヤッサー・アルマン氏及びSPLMの選挙ボイコット決定を同紙が4月4日付の記事で支持したことによる。


4月9日、5人の共産党メンバーが、ポートスーダンの市場で同様のビラをまいたかどで治安部隊員に逮捕され、短期間拘束された。同日にコスティでも共産党メンバー8人が拘禁され、また4月11日の投票日初日には、マナギル、ジャジーラでも同党党メンバー1人が警備隊員に4時間拘束された。いずれも、ボイコット支持のビラ配布が拘束の理由とされた。


4月11日、警官と治安部隊員がハルツーム郊外の2地域で、抗議を行うグループを逮捕。複数の目撃者がヒューマン・ライツ・ウォッチに伝えたところによると、正午ごろにハジ・ヨセフに警察のバン7台が到着し、市場に集まる人びとに向け、催涙弾を発砲したという。反政府リーダーのアブドル・ワヒド氏と連帯するダルフール学生グループである統一国民戦線(UPF)のメンバーが主催した集会とのことで、同グループは、人びとに棄権を訴えるチラシを配布していた、とのこと。2人の学生を含む10人が逮捕・拘束され、翌日釈放された。

 

北部の州における選挙監視員に対する脅し

バシール大統領は、選挙の数週間前、センナール州とジャジーラ州で扇動的なスピーチを行い、選挙は延期する必要があると提案する国際選挙監視団の"鼻を切り落とす"と威嚇した。スーダン選挙法に違反するこのような威嚇は、野党による選挙の11月への延期要求や、3月17日のカーターセンターによる「選挙委員会が直面している選挙体制欠陥の是正に延期やむなし」との提案に対抗した形だ。


3月中旬、政府当局はカーターセンターのあるスタッフに国外退去を命じたが、これは監視員の研修期間中に彼が反政府的な発言をしたためと伝えられている。3月28日、2人の治安部隊員が、同センターのスタッフで有名な人権活動家アブドルマジード・サリー氏を拘束して尋問。ダルフールの学生を煽動し、外国人と仕事をしたというのが、その理由だった。「私はただの監視員研修の責任者だと説明しようとしましたが、彼らは私に関する報告書を引用し続けました。」続けて同氏は、「彼らはその分厚い報告書のファイルを見せて、私を毎日尾行していると言い、旅行を禁止するとともに、メディアとの接触を禁止したのです」と述べた。

警察と治安部隊員は投票期間を通して、監視員への脅迫・攻撃・逮捕を続けた。4月11日にはハルツームで、投票用紙記入の手助けした選挙スタッフをとがめた監視員を、警官が投票所から追放した。ジャジーラ州ハッサヒッサ近辺の村では同日、国民議会党の監視員でもある2人の女性候補者を警官が短時間ながら逮捕した。選管担当者が、2人には監視員としての資格がないとみなしたためだ。

西ダルフール州のケレニクでは4月12日、投票権のない人びとに投票を許可した選挙スタッフをとがめた民主統一党(DUP)の監視員を、警察が投票所から締め出した。14日には、兵士らが「自分たちはいかなる反バシール派をも殺す」と公言していた南ダルフール州で、兵士がアディラの投票所から監視員らを追放し、人民国民議会党の監視員1人を棒で殴った。ツルスでも12日、与党支持者が複数回投票するのをとがめた監視員が、警備員に逮捕された末、数時間拘束されたと自ら証言している。

 

ダルフール地方での暴力

治安問題と、国内避難民の大多数が選挙をボイコットしたことから、ダルフール地方では選挙に行った人の数は低かった。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調べで、治安部隊やその他武装した者らによる暴力、または暴力をにおわせる脅迫が、選挙活動を一部妨害・中断させるに至ったことが明らかになっている。


2月に政府と反対勢力による武力衝突と民間人への攻撃が起きたジョベル・マラ東部では、多数の民間人が犠牲になり、村々が破壊された末、大規模の避難が余儀なくされたため、投票が行われることはなかった。

南ダルフール州では、カス周辺で3月と4月に起きた民族グループ間の武力衝突によって、投票所へのアクセスが制限された上に、投票所は早めに閉鎖された。ヒューマン・ライツ・ウォッチも、治安部隊や軍隊、その他武装集団がニャラで監視員を脅していたという報告を、多数受けている。

また、ヒューマン・ライツ・ウォッチが一般市民から得た証言によると、西ダルフール州のサーバでは、選挙に反対する反政府勢力「正義と平等運動」が、投票するなと人びとを脅していた、という。

 

スーダン南部における対立候補や党メンバー、並びに選挙監視員への暴力、恣意的逮捕、脅し

投票期間中、治安部隊は多くの野党側選挙監視員を恣意的に逮捕。ヒューマン・ライツ・ウォッチが明らかにしたケースの多数は、法を無視した恣意的な逮捕で、選挙監視活動を妨害しようとして行なわれた逮捕と見られる。ほとんどのケースで短時間の拘束の後、釈放に至っている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、西及び中央エクアトリア州における、野党メンバーや選挙監視員の恣意的逮捕について、複数の証拠を得た。これは、西及び北バハル・アル・カザール州、ユニティ州、レイク州、ジョングレイ州でも同様である。

中央エクアトリア州のテレケカ郡では、北部与党の国民会議党、南スーダン民主フォーラム(SSDF)並びに統一民主戦線(UDF)の監視員数名を、治安部隊が逮捕。南スーダン民主フォーラムの候補は次のように証言する。

午後1時ごろ、私の投票所スタッフのひとりが逮捕されて、クダという場所に連行されたと伝えられました。釈放は拒否され、逮捕の理由も説明されませんでした。他の投票所のスタッフが気になって確認しに行ったところ、国民会議党や統一民主戦線のスタッフが治安部隊に連行されるのを目撃しました。無党派候補のスタッフたちも同様で、皆車に押し込まれました。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国民会議党や無党派候補、並びに国内選挙監視員らからも、テレケカ郡における逮捕や脅しに関して同様の報告を受けている。たとえば4月12日、中央エクアトリア州の知事候補で無党派のアルフレド・ゴア氏の監視員5人を、治安部隊員が逮捕。その後訴追されることなく、翌日釈放された。


4月13日、中央エクアトリア州ジュバで治安部隊が、9人の野党選挙監視員を投票所で逮捕した。その内5人はゴア氏のスタッフで、4人はスーダン人民解放運動=民主的チェンジ(SPLM-DC)と国民会議党のスタッフだった。当事者のスーダン人民解放運動のスタッフは、治安部隊が投票所に入ってきて、監視員認定書を提示するよう求めたと証言。警備隊は野党と無党派のスタッフ全員をその場で逮捕したという。

西エクアトリア州都ヤンビオでは、南部政府軍であるスーダン人民解放軍の兵士が、多くの脅迫行為や暴力、いやがらせを野党メンバーや監視員に行った。たとえば、4月14日、無党派知事候補のジョセフ・バコソロ氏の監視員を兵士数名が暴行。その二日前には、同氏のスタッフ2人が殴られた末に拘束されていた。


4月11日に同州トレで、政府軍が、スーダン人民解放運動の監視員ドミニク・フンダ博士と他2人の監視員を殴ったうえに拘束。彼らはそのまま、ラソロと呼ばれる兵舎に2日間拘束された。

フンダ博士は、「彼らは兵舎のほったて小屋に私たちを連行して、1人ずつ入るように命じました」と証言。「前かがみになったところで、2人の兵士が後ろからむちで打ち始めたんです。お前たちに命はないかもしれないといいながら。」

なお、ヒューマン・ライツ・ウォッチ調査員は、被害者2人の背中に、むち打ちが原因とみられる傷跡を確認している。

ジョングレイ州では4月12日に、兵士が南スーダン民主フォーラム(SSDF)の候補者を殴った末、拘束。兵士が人びとの投票登録書を押収するのを、その女性が写真に収めようとした時のことだった。女性は、「携帯電話も没収されて、終日つかまっていました」と証言。「縛った挙句にトラックに押し込まれて...。トラックの中で体中を蹴られて意識を失った私を見て、彼らはあわてて医療所に連れて行きました。」

 

スーダン南部における国内選挙監視員への暴力、脅し、恣意的逮捕

中央・西エクアトリア州における、国内監視員に対する逮捕や脅しのケースについても、ヒューマン・ライツ・ウォッチは多数の証言を得た。監視員らは同様の証言を、西・北バハル・アル・ガザール州、ユニティ州でもしている。

今回の選挙では、市民団体SuNDE からはほぼ2000人の監視員、またスーダン国政選挙監視と監察プログラム(SuDEMOP)からは772人の監視員が国中に配置されたが、両団体の監視員共々、逮捕や脅しに遭っている。警備隊が投票所から彼らを追い出したり、監視員認定書を没収した事件がこれまでに報告されている。

たとえば4月14日、中央エクアトリア州カトール南選挙区にある3カ所の投票所から、治安部隊員が14人のSuNDE監視員を力ずくで連行。監視員は短い尋問受けた後、最寄りの警察署に拘禁された。


4月16日には、治安部隊員がSuNDEの監視員一人を、西バハル・アル・カザール州のワーウで逮捕。翌日釈放するまでの間、この監視員を殴ったうえ、監視中に目撃したことは報告しないよう警告した。同団体の監視員は他にも、西エクアトリア州マリディ郡、中央エクアトリア州テレケカとジュバ郡、ユニティ州リア郡で同様のいやがらせや脅しについて報告している。

 

投票時の選挙違反や不正行為の蔓延

国中に配置された国内外の選挙監視員はこれまで、選挙制度のあらゆる不備について報告している。投票に必要な物品の欠如、まがいものの投票用紙、不正確な有権者リスト、選挙必需品供給の遅延、投票用紙の配布ミス、投票所における身分証明証提示基準のばらつきと、不手際の枚挙にはいとまがない。これらの問題が原因で投票が中止になったり、投票所が閉鎖されたケースもあり、結果として選挙管理委員会は、投票期間を2日間延長した。選管は33の選挙区で再投票を実施するつもりであると発表している。

北部の州では、複数投票や非有権者による投票、票の買収、選挙登録地域以外(ハルツームのコバー刑務所を含む)での投票の画策、投票用紙や投票箱の処理ミスといった疑いが、監視員によって指摘されている。インターネット上で広がったあるビデオでは、スーダン東部の選管スタッフが投票箱に用紙を詰め込んでいる様子が写っており、違法な票増し行為を示唆している。なお、選管はこのビデオをでっちあげと一蹴した。

また、南部の多くの州においても同様に、政府関係者及び治安部隊らによる違法行為が蔓延。西バハル・アル・ガザール州では、政府軍のスーダン人民解放軍(SPLA)が投票者や投票所担当官を脅した例が、監視員によって多数報告されている。他州でも、「兵士が投票所に押し入って、地元監視員及び党監視員を追い出した」とか、また、兵士や治安部隊員が人びとに"星"(南部政府の党シンボル)に投票するよう強制したという目撃談も、監視員により多く報告されている。

いくつかの州では、郡政府役人と治安部隊が投票所にやってきて、投票者や選管担当者を脅した上、開票作業をのっとったケースも報告された。たとえば、4月17日に中央エクアトリア州のある郡では、郡委員長が治安部隊と共に投票所に来て、監視員全員を追い出した。同州の他の郡でも、開票時に治安部隊や無関係の政府役人が投票所にいることに疑問を呈した国内監視員が拘禁された。

西エクアトリア州では、南部政府の与党と治安部隊員が6カ所の投票所を抑え、国内や党監視員を追放した。同州マリディ郡では、野党監視員が投票所に入るのを政府軍(SPLA)の兵士が妨害、代わって全投票過程を掌握した。監視員らによると、同郡委員長もまた、投票所で誰に投票するかを人びとに命じたという。一方で、野党の監視者も、人びとを脅して投票させたケースがいくつもの州であったとの報告がある。