(マナーマ)-中東のバーレーンで、治安関係の容疑で逮捕された人びとの尋問の際に、拷問が行なわれてる。バーレーン政府は、拷問を止めるための緊急の措置をとるべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日公表したレポートで述べた。バーレーン政府は、全ての拷問疑惑を速やかに調査するとともに、拘禁中に人権を侵害した疑いのある治安機関要員を刑事訴追するべきである。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの最新の報告書「バーレーン:尋問における拷問の復活」(89ページ)は、逮捕された人びとに対する聞き取り調査、並びに、法医学関連の資料や裁判関係の書類に基づいて作成された。2007年末以来、バーレーン政府は、治安関係の容疑で逮捕された人びとに対し、自白を得るために繰り返し拷問を行なっている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理ジョー・ストークは「バーレーン治安機関の十八番である拷問が復活した」と語る。「バーレーンは、10年前、拷問をやめるという政治的意思を示した。それなのに今になって拷問が復活したのは、とても残念だ。」

拷問という、国家の信用を失墜させる行為が復活してしまった背景には、政治的緊張の増大がある。同国では、人口の上ではシーア派イスラム教徒が多数を占めるものの、少数派のスンニ派が政権を支配している。シーア派の若い男性たちによる街頭デモ(スンニ派が支配する政府がシーア派を差別していると訴える内容)は、政府の治安部隊との激しい衝突へ転化することが多くなっており、逮捕者も頻繁に出ている。バーレーンの治安当局は、逮捕された人びとを尋問する際、自白を得る目的で、身体的な拷問を加えている模様である。

例えば、電撃装置の使用、痛みを伴う姿勢でぶら下げる、暴行などの拷問が報告されている。逮捕された人びとのなかには、殺すあるいは強姦すると脅迫されたという人や、家族を殺害あるいは強姦すると脅迫された人などもいる。逮捕された人びとの多くは、上記のうち2種類以上の拷問の犠牲となっている。

これらの拷問手法は、単独であれ複数であれ、バーレーン国内法に違反するほか、バーレーンの国連拷問等禁止条約(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約)の締約国としての義務はもちろん、その他の国際法上の義務にも違反している。

「バーレーン政府は、速やかに、全ての拷問疑惑を調査すべきだ。そして、公正な裁判に関する国際基準に沿って、拷問をした者を刑事訴追しなければならない」と前出のストークは語る。「また、治安機関要員が、拷問を命令または実行し、あるいは拷問を容認したという信頼性の高い証拠が存在する場合、バーレーン政府は、その人物を直ちに停職処分にするべきである。」

内務省と検察庁の担当官は、ヒューマン・ライツ・ウォッチとそれぞれ別々に会見。双方とも、治安部隊による拷問はない、と容疑を全面的に否定した。拷問されたと訴える人びとの説明内容が一貫していることが、拷問の主張が捏造されたものであることを示している、と担当官は述べた。

しかし、拷問されたという人びとの訴えの内容は、人びとが以前裁判で主張した内容とも合致しているほか、弁護士に報告していた内容とも一致している。加えて、被害を訴えている人びとの中には、被害を訴え始めた当初、隔離されて独居拘禁されていた人びともおり、そうした人びとが、独居拘禁されながら拷問の内容を捏造したとは考えにくい。

特に重要な証拠として、裁判資料の中に、バーレーン政府の医師たちが作成した医学的所見報告がある。これらの医学的所見は、拷問の被害を訴えている人びとの主張に対する最も有力な裏づけである。あるケースでは、バーレーン裁判所は、全員の被告人に対し、全ての罪状で無罪を言い渡した。医学的所見報告によれば、被告人たちは物理的に自白を強制されたとみられると裁判所が判断したのが、無罪の理由のひとつとなった。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、拷問されたという被疑者たちの訴えに対し検察が適切に対応したのか、あるいは、検察官は人権侵害を容認・加担していたと評価できるのか、についても調査をするよう、バーレーン政府に強く求めた。拷問への加担に関する信頼性の高い証拠が、検察官ひとりについてでも、あるいは、他の政府機関の要員についてでも発見された場合には、バーレーン政府は、適切な処罰を追求するべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。