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ビルマ:アウンサンスーチー氏を解放せよ 

ASEAN、中国、インドはビルマ軍政に圧力を

(ニューヨーク) - 「ビルマとの貿易相手国やビルマに援助を供与しているすべての国家は、民主化指導者アウンサンスーチー氏が、悪名高いインセイン刑務所に再び拘禁されたことを強く非難すべきである」と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、とりわけ、国連事務局長ならびにASEAN加盟国、中国とインドに対し、ビルマ政府にスーチー氏の即時無条件解放を迫るよう求めた。

「ビルマ軍事政権は、アウンサン氏宅への侵入者の奇妙な行動を口実として、容疑を罪に仕立て上げ、スーチー氏を最も悪名が高く、最悪の状態にある刑務所の一つに収容した。」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理エレーン・ピアソンは述べた。「軍政の有力な後ろ盾である中国とインド、そしてASEANは、今回の不正行為を非難し、自らの影響力を行使して、スーチー氏の解放を強く迫るべきだ。」 

新たに罪に仕立て上げられた容疑によれば、2009年5月3日~5日のアウンサンスーチー氏宅への好ましくない侵入に関し、スーチー氏は自身の自宅軟禁に関する規則に違反したとされている。この人物は米国人男性ジョン・ウィリアム・イェットー氏で、スーチー氏を訪問するためにラングーンのインヤ湖を泳いで渡ったと伝えられている。

5月14日、公安警察はラングーン市内のアウンサンスーチー氏の自宅で、同氏と、住み込みの家政婦として働く2人の国民民主連盟(NLD)支持者(キンキンウィン氏と、その娘ウィンママ氏)を逮捕し、3人の身柄をインセイン刑務所に移した。当局は3人を国家保安法第22条違反容疑で起訴した。条文は「訴追の対象者で、本法律に基づいて発された命令に反対、抵抗、または違反した者は、3年から5年の刑または最大5000チャット〔400円〕の罰金のいずれか、または両方の刑に服する」と定めている。公判は5月18日に予定されている。

ビルマ政府当局は、イェットー氏の身柄を5月6日の逮捕以来拘束している。米国大使館員は13日に本人と面会した。イェットー氏はアウンサンスーチー氏と同じ条文に基づき、本日15日に起訴された。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ASEAN加盟国、そして中国とインドに対し、スーチー氏ら2,100人以上の政治囚を即時無条件で釈放することを求めて、ビルマ政府首脳など高官に圧力を掛けることを要請した。


ビルマ軍事政権は、2010年に総選挙を実施すると発表し、これを自分たちの「民主化ロードマップ」(15年以上もかかっている見せかけだけの政治プロセス)の次段階として位置づけている。ビルマの主要な貿易相手国で、外交の後ろ盾になっている国の大半(中国、インド、タイ、シンガポール、ロシア)は、このプロセスへの支持をこれまでも繰り返し表明してきた。だがこの2年で、政治活動家に対する逮捕や脅迫が増加している。一例を挙げれば、政治囚の数は二倍になり、アウンサンスーチー氏が率いる反対政党・国民民主連盟(NLD)の事務所は強制閉鎖され、表現・集会・結社の自由は著しく後退している。

「中国、インドのほか、シンガポール、タイなど東南アジア諸国は、ビルマでの真の参加型政治プロセスの実現を求めるべきだ。つまり、反体制活動家の釈放を求め、本格的に公けの形で圧力を掛けるべきだ。今回のアウンサンスーチー氏の逮捕により、こうした国々の沈黙は、軍政による基本的諸権利の軽視に拍車を掛けるだけであることが明らかになった。」とピアソンは述べた。

国連は、ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー氏が率いる政党である国民民主連盟との間での「国民和解」を目指して調停を試みてきたが、その努力は実を結んでいない。現在ビルマを担当している国連事務局長特使イブラヒム・ガンバリ氏は、これまでも何度かビルマを訪問し、アウンサンスーチー氏とも面会したが、具体的な成果は一切得られなかった。潘基文国連事務総長は、本日15日に「重大な懸念」を示した上で、国民和解プロセスを「損なうような更なる措置を今後一切とらないこと」を政府側に求めた。

「アウンサンスーチー氏ら反体制活動家が獄中にいる限り、国民和解のプロセスなど存在しない。国連は長い間ビルマ軍政首脳や高官のご機嫌取りをしてきた。だが、いまこそ国連事務総長は、アウンサンスーチー氏を刑務所から釈放し、自宅軟禁を解除することをきっぱりと強く主張すべきだ」 ピアソンはこのように述べた。

アウンサンスーチー氏はNLD書記長で、1991年のノーベル平和賞受賞者である。氏は過去20年のうちの14年以上を自宅軟禁下で過ごした。2003年5月30日には上ビルマで、軍政派の暴徒が氏の車列を襲撃するディペーイン事件が起きている。氏がインセイン刑務所に拘禁されたのは、事件直後の一回だけである。

スーチー氏に対する5年の自宅監禁命令は、2009年5月の末に期限切れを迎えるが、すでに当局は2008年に軟禁期間を1年延長している。スーチー氏の健康状態は過去2年で悪化している。先週のNLD党員筋の情報によれば、氏は強い脱水症状と低血圧をわずらっている。

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