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(ニューヨーク)-2009年1月2日、ベトナムの主要新聞2紙の編集長(2名)が不当に解雇された。本事件は、近年のベトナム政府による政府批判の封じ込め弾圧の一貫だ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。この12月、ベトナム政府は、政府が危険と判断する政治的に微妙な内容のインターネット・ブログを禁止する厳しい新規制を発表したところだ。

この3ヶ月間の間に、2名のジャーナリストと1名のブロガーが、刑事裁判にかけられて有罪とされた。加えて、農民の抗議運動、中国との二国間関係、表現の自由、人権になどのトピックについて記事を書いた少なくとも4名のジャーナリストが、その後、記者の資格を剥奪された。ベトナムには、国営メディア又は政府が支配するメディアしかない。

「ベトナムは、『民主的自由の濫用』などの罪で人々が投獄される、数少ない国の一つだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長、ブラッド・アダムスは述べた。「ベトナムに対して経済援助を行っている国は、ベトナム政府に対し、平和的な表現行為を犯罪として取り締まるのをやめるよう、求め続けるべきである。」

1月2日に解雇されたのは、タン ニエン新聞(Thanh Nien、「青年新聞」)の編集長グエン コン ケ(Nguyen Cong Khe)氏及びトゥオイ チェー新聞(Tuoi Tre、「若者新聞」)の編集長リ ホアン(Le Hoang)氏。各氏が発行責任者となっているタン ニエン紙のグエン ヴィエット チィエン(Nguyen Viet Chien)記者とトゥオイ チェー新聞のグエン ヴァン ハイ(Nguyen Van Hai)記者は、重大汚職スキャンダルをスクープしたため、10月に有罪判決を受けていた。この汚職事件とは、ベトナム政府高官らが、日本政府と世界銀行から受けた数百万ドルの資金をサッカー賭博のために着服した事件。ベトナム刑法第258条の「民主的自由の濫用により国益を損なった」罪により、チィエン記者には懲役2年、ハイ記者には2年の「再教育」刑が科された。

これに対し、ベトナムのこれまでのメディアの実情に反して、両新聞は、2008年5月、2名の記者逮捕を批判する記事を一面に掲載。ベトナムのジャーナリスト団体のリーダーたちも、本逮捕に反対する発言を行った。この動きに対し、ベトナム政府は、両新聞の副編集長の首をすげ替えることで対応。抗議の声は、速やかに沈静化させられた。

「世界銀行と日本政府は、調査報道をした記者そして編集長を擁護する声をあげるべきだ。世界銀行と日本政府は、ベトナム政府に対して、『良いジャーナリズムに報復で対抗するのは容認できない』と、プライベートにも、公けにも、伝えるべきだ。」とアダムスは述べた。

12月に発表された新しいブログ規制措置は、政府批判をブログに掲載したり、国家安全・社会秩序を損なう内容や国家秘密に触れる内容をブログに掲載することを禁じる措置で、こうした内容にリンクをはることも禁止する。ド クイ ドアン(Do Quy Doan)情報・通信副大臣は、ブログの内容は個人的なものにとどめるべきで、政治や宗教、社会的問題に関しての論考や意見を載せることは差し控えるべき、と述べた。ド クイ ドアン副大臣は、情報・通信当省が、グーグル及びヤフーに対し、ブログとウェブサイトの内容の「規制」・「探知」を求めるつもりであると公表した。ヤフーは、検閲国家における企業の社会的責任問題に取り組むために設立されたグローバル・ネットワーク・イニシアチブに参加している。

ベトナムにおけるインターネットの利用は、安価なインターネット・カフェが増えたことなどから、過去10年に激増。政府統計によれば、現在、全人口8400万の内、2000万人がインターネットを利用。すでに100万を超えるブログが存在するという。

「Yahoo 360」は、人気のあるブログ・プラットフォームの一つ。この5月から、ヤフーは、ベトナム語の検索エンジンや使いやすいベトナム人歌手リンク機能など、ベトナムのブロガー向けのサービスをいくつも開始した。

ベトナム政府は、オンライン活動を監視し、サイバー上で政府を批判する人びとを逮捕・脅迫し、人権団体や政権に批判的な政治グループ、ベトナム内外の独立系メディアのウェブサイトをブロックするなどして、インターネットを統制している。インターネットのプロバイダーやインターネット・カフェの経営者は、利用者に、写真付の身分証明を提出させ、オンライン上の活動を監視してその情報を保管する義務を負っている。

2008年12月、ホー・チ・ミン市控訴裁判所は、ベトナムの自由ジャーナリスト・クラブ創設者でブロガーでもあるグエン ホアン ハイ(Nguyen Hoang Hai)(ディウ カイ、Dieu Cayとしても知られる)に対する懲役30ヶ月の刑を容認。彼は、インターネット上に論文を載せたほか、中国との領有権が争われている南沙諸島と西沙諸島問題について、中国に抗議する集会に参加した。ベトナム政府は、こうした活動が中国との二国間関係に悪影響を及ぼすとしている。この件について発言した体制批判者やサイバー上での批判者らが、尋問、逮捕された。インターネットニュース通信ベトナムネット(VietnamNet)は、本件について社説を発表したのち、罰金2000米ドルを科せられた。

2008年7月、キエン ジャン(Kien Giang)県裁判所は、インターネット記者であるとともに、土地の権利活動家で、ベトナム人民党のメンバーでもあるチュン ミン ドゥック (Truong Minh Duc)に対する「民主的自由の濫用」罪による懲役5年の判決を容認した。

「人びとが罪に問われている現実は、皮肉にも、ベトナムに『民主的自由』などありはしないことを示している」と、アダムスは述べた。「ベトナム政府は、まずはそうした民主的自由をメディアに認めるべきだ。」

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