マイアミの連邦陪審員は、10月30日、米国外で行われた拷問犯罪たるテイラー・ジュニア被告事件について、米国内の裁判で初の有罪の評決を下しました。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、テイラー・ジュニアの訴追を実現するため、積極的に取り組んで参りました。
チャールズ・"チャッキー"・テイラー・ジュニアは、父のチャールズ・テイラー・シニアがリベリア大統領だった間の1997年から2003年まで民兵集団を率い、その間に、リベリアで行われた拷問の責任者として起訴されていました。テイラー・ジュニア(米国国籍)は2006年に米国に入国しようとした際、パスポートの不正使用により逮捕されました。その際、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、米国政府に対し、テイラー・ジュニアの捜査を開始し、国外で行われた拷問に関する連邦法(1990年代半ばに成立、過去に適用の実績は無し)に基づいて訴追するよう要請。米国司法省の担当者らと会ってテイラー・ジュニアが関与した犯罪についてのヒューマン・ライツ・ウォッチの事実調査結果を提供し、リベリアでの捜査も行うよう求めました。
また、このリベリアでの拷問事件を捜査する政治的意思が米国政府に欠けていることを懸念したヒューマン・ライツ・ウォッチは、本件の重要性について何度も公けの場で発言するとともに、非公式の場でも繰り返し本件の重要性について説いて参りました。テイラー・ジュニアに対する公判の最中、ヒューマン・ライツ・ウォッチの報道発表やインタビューが国内外のメディアから取り上げられたほか、ヒューマン・ライツ・ウォッチは法廷傍聴も行い、結果、この訴訟の重要性がメディアで大きく取り上げられ、また、米国・リベリア両国での更なる訴追の必要性が社会に認識されることになりました。テイラー・ジュニア被告に対する量刑判決は、2009年1月に出される予定です。