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スーダン:レトリックと乖離したダルフールの現実

スーダン政府はうわべを繕うものの、人権侵害は続く

(ニューヨーク) - スーダン政府は、ダルフールの状況は最近改善していると主張しているが現実は違う、と15の団体が本日発表された報告書で述べた。スーダン政府は「国際刑事裁判所(ICC)がオマル・アル・バシール大統領に対し逮捕状発付を審査しているが、国連安保理はこれを停止させるべき」と主張し続けており、この主張を推し進める活動の一環として、ダルフールの状況には本格的な改善がみられると強く訴えてきた。ICCの検察官は2008年12月3日、捜査の進捗状況について安全保障理事会にブリーフィングする予定である。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ、セーブ・ダルフール連合、ヒューマン・ライツ・ファーストなどのNGO連合が作成した22ページの報告書「レトリックと乖離した現実:ダルフールの状況」は、現実はスーダン政府の主張と全く異なり、この数ヶ月間、ダルフールの治安・安全状況、人道状況、平和維持軍の配備、国内裁判の状況いずれをとっても、進展がなかったことを示している。

7月14日、ICC検察官が、戦争犯罪、人道に対する罪、集団殺害犯罪(ジェノサイド)の容疑でバシール大統領の逮捕状を請求すると発表すると、バシール政権は、大統領訴追を停止するよう安保理理事国を説得する外交キャンペーンを開始。スーダン政府は、国内の裁判所で裁判を行う意思があり、そして、ダルフール和平を達成する意思もある、と数多く発表し、現地の状況は改善されたと主張してきた。バシール大統領は、ダルフールの状況は現在「きわめて正常」だと、10月17日のテレビ・インタビューで主張した。

「ダルフールの状況は、世の中の『正常』の定義からはほど遠い」と、ヒューマン・ライツ・ファーストの「人道に対する罪」プログラムのディレクター、ジュリア・フロンホルツは述べた。「数百万もの人びとが、毎日、暴力の恐怖にさらされて生きている。人びとは人道援助に依存しているが、その援助自体も、治安状況が今も悪い上に、際限のない官僚主義により妨害されるため、時には完全に阻止されている。」

本レポートは、現在もなおダルフールが安全からほど遠いことを示す。2008年7月から10月までの間に、政府による北ダルフールでの爆撃や戦闘のため、約9万人が避難を余儀なくされた。10月、政府軍及び政府軍と同盟する民兵は、南ダルフールのムハジャリヤ近郊で、少なくとも13の村を攻撃。この攻撃によって少なくとも44名の一般市民が死亡したと報告されている。11月に政府が「一方的無条件停戦」を宣言した後も、スーダン軍が北ダルフールおよび西ダルフールの村々への空爆を続けた。

「スーダン政府は、またも、ダルフールでは戦争を続けながら、外交官やジャーナリストとは和平の話をしている」と、セーブ・ダルフール連合代表のジェリー・フォウラーは述べた。「そして、今回も、暴力の犠牲になっているのは一般市民たちだ。」

ダルフールでは、400万人以上が人道援助が必要な状態におかれ続けているが、治安が極めて悪いため、9月現在、援助機関はうち25万人へアクセスできていない。この人数は、今年に入って最多人数である。今年になって新たに170名の援助要員が誘拐され、11名が殺害された。スーダン政府の官僚主義的規制や人道援助スタッフへの嫌がらせなどによっても、援助物資の供給は妨害され続けている。

国連・アフリカ連合(AU)合同ミッション(UNAMID)は、安保理で承認された兵力の50%に満たない規模のまま。しかも、繰り返し攻撃にされてきた。スーダン政府は、平和維持軍配備に協力する義務を果たすという約束を何度も破り続けててきた。今回また同じ約束をしたが、その約束は未だ実証されていない。しかも、一般市民の保護を任務とする平和維持軍の現地での活動は、政府の軍及び当局による執拗な妨害行為や官僚主義的規制、そして暴力的攻撃などによって、妨害され続けている。

また、スーダン当局は、ダルフール問題担当検察官を新たに任命するなど、ダルフールでの犯罪に対する国内の裁判を改善するための一連の措置を発表した。しかし、これは表面的な対応に過ぎず、検察官は今日までに3件の事件を検討しただけで、大規模な残虐行為に関連する新たな訴追はなされていない。

「国際社会には、過去、スーダン政府の行動ではなく、その言葉上の約束をもとに判断をした結果、判断を誤ったという前歴がある」とヒューマン・ライツ・ウォッチのインターナショナル・ジャスティス・プログラムのディレクター、リチャード・ディッカーは述べた。「国連安保理は、スーダンの現状から目を背け、スーダン政府との空約束との交換で、バシール大統領を免責するようなことがあってはならない。安保理理事国は、6月16日の議長声明に従い、すべての紛争当事者には裁判所への協力義務があると繰り返し述べなければならない。」

このレポートの作成団体は以下のとおり:

Human Rights First; Human Rights Watch; Save Darfur Coalition; Action pour les Droits Humains et l'Amitié Sénégal; Arab Coalition for Darfur; Arab Program for Human Rights Activists; Cairo Institute for Human Rights studies; Centre for Human Rights Sierra Leone; Cercle de Réflexion et d'Action pour le Développement Economique et Social Mali; Darfur Relief and Documentation Centre; Fédération Internationale des ligues des droits de l'homme; International Refugees Rights Initiative; L'Action de la jeunesse Guinéenne pour l'Aide au Développement et à la Prospérité Guinea Conakry; Socio-Economic Rights & Accountability Project Nigeria; and, West African Refugees and Internally Displaced Persons Network-Senegal.

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