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 (ニューヨーク)-「ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2008年の国連人権賞を受賞した。本受賞は、過去60年の間、私たち人権運動(ムーブメント)が、人権侵害の終焉を実現するために重要な役割を果たしてきたことに対する功績を讃えるものだ。」ヒューマン・ライツ・ウォッチは、本日このように述べた。この賞は5年毎に与えられるもので、世界人権宣言の60周年記念日にあたる2008年12月10日にニューヨークで授与される。

「今回、人権運動を代表してヒューマン・ライツ・ウォッチが国連人権賞を受賞することができ、光栄だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの代表ケネス・ロスは語った。「いかなる政府も人権を侵害する誘惑に駆られるものだが、世界人権宣言の採択から60年が経過した今、私たち人権運動は、『人権侵害を行う者は大きな代償を払う』ことを確保することができるに至った。」

国連人権賞は、人権の分野で抜きん出た功績を残した個人や組織に与えられる。今年の受賞者の中には、前国連人権高等弁務官で現ヒューマン・ライツ・ウォッチ理事のルイーズ・アーバー、コンゴ民主共和国で性暴力の被害者とともに活動するデニス・ムクウェジ医師(Dr. Denis Mukwege)、2007年12月に暗殺された故ベナジール・ブット元パキスタン首相の各氏がいる。

「この受賞は、ヒューマン・ライツ・ウォッチそして我々と協力して活動している組織が行っているキャンペーン、たとえば、ダルフールでの殺戮の終焉、世界規模でのクラスター爆弾の使用の禁止、グアンタナモ収容所の事実上の米国本土への移管なしの閉鎖、子ども兵士の軍への隷従からの解放、武力紛争からの民間人の保護などのキャンペーンに力を与えることになる」と、ロスは述べた。「こうやって人権侵害の代償を高くしていくことで、自国民の人権を侵害しようとする政府は躊躇するようになる。そうやって、我々は命を救い、基本的自由を推進していくのだ。」

今年、創立30周年を迎えたヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界中の個人及び私立財団の助成で運営されている独立したNGOである。政府からの資金は直接、間接を問わず受けない。約280名の専門スタッフをかかえ、80ヵ国以上で人権侵害を調査・発表している。また、1997年にノーベル平和賞を受賞した地雷禁止国際キャンペーンの主要メンバーでもある。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、1978年、旧ソビエト圏各国のヘルシンキ協約中の人権条項(極めて画期的条項だった)遵守状況を監視する目的で、ヘルシンキ・ウォッチとして設立された。1980年代、中央アメリカの独裁政権による人権侵害を調査する目的でアメリカズ・ウォッチが設立され、当時のレーガン政権の見解「ある特定の形態の政府が行う人権侵害は、他の政府が行う人権侵害よりも、許容し得る」に異議を唱えた。こうした複数の『ウォッチ委員会』がアフリカ、アジア、中東にもでき、この5つの委員会は、1988年から、ヒューマン・ライツ・ウォッチという共通の名前を使い始めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは本部をニューヨークに置き、ベルリン、ブリュッセル、シカゴ、ジュネーブ、ヨハネスブルグ、ロンドン、ロサンジェルス、モスクワ、パリ、サンフランシスコ、トロント、ワシントンDCに事務所を有する。80ヵ国以上の人権状況を調査・記録するほか、女性の権利、子どもの権利、テロと対テロ活動、戦争における非人道兵器の使用、HIV/AIDS、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの人びとの権利、企業の人権の責任、インターナショナルジャスティス(国際的な法の正義の実現)、難民の各プログラムも実施している。

過去30年間にわたり、ヒューマン・ライツ・ウォッチは人権の尊重を推進してきた。その例としては、

  • 子ども兵士の使用を禁止する条約の採択を推進する国際的連合の主導
  • 米国が『テロとの戦い』で行ってきた、CIAによる秘密裏の拘束・尋問・レンディション(国家間移送)プログラム、イラク、アフガニスタン、グアンタナモでの被拘禁者に対する拷問、グアンタナモでの不公正な裁判などの人権侵害の調査・記録
  • 対人地雷全面禁止条約の達成に向けた活動
  • アフガニスタン、ボスニア、チェチェン、コロンビア、コンゴ民主共和国、コソボ、グルジア、イスラエル、パレスチナ占領地、イラク、レバノン、ソマリア、スーダンなど多くの紛争で行われた戦争法違反の調査・記録
  • 各国際戦犯法廷との協力、そして、旧ユーゴスラビアとルワンダの政府高官の有罪判決を立証する人権侵害の証拠の提出
  • 2008年の北京五輪に先立ち、中国での人権侵害に世界の注目を集める活動
  • コソボ、アフガニスタン、イラク、レバノン、グルジア内でのクラスター爆弾使用による死亡や負傷の調査・記録と、クラスター爆弾禁止条約採択に向けた活動

「我々は、米国を含む全ての政府に対し、新しいクラスター爆弾禁止条約に12月に署名するよう呼びかける」と、ケネス・ロスは述べた。ロスは、12月3日の署名式に先立ちオスロ入りする予定である。

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