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(ボゴタ)-アルバロ・ウリベ大統領率いるコロンビアの現政権は、コロンビアの民兵組織とその共犯者たちが犯した犯罪に対し法の正義を実現する努力を脅かしていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは今日発表された報告書で述べた。

140ページの報告書「闇の支配を打ち砕けるか?コロンビアのマフィア民兵組織の犯罪に対する正義実現の妨害に関する報告」は、民兵組織と有力者たちのマフィア的ネットワークの捜査及びその解体の進展について評価する報告書。また、同報告書は、進展が続く中、政府がこれを著しく妨害する行動に出ていることも記述している。同報告書は、検察官や捜査官からの聞き取り、事件記録、目撃者の証言、その他コロンビアで一年以上行った調査で収集した資料に基づく。

「コロンビア司法は、民兵組織及び民兵と協力関係をもつ有力者たちへの捜査を目覚しく進展させた」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアメリカ局長ホセ・ミゲル・ヴィヴァンコは述べた。「しかし、ウリベ政権は、調査を妨害し続けている。」

コロンビアの民兵組織は、人道に対する罪その他の残虐行為を犯してきた。たとえば、何千もの殺害、大虐殺、脅迫、強制失踪、そして一般市民の強制追放などだ。そして、民兵組織は、マフィア的ネットワークを駆使して、軍の関係者、政治家、そしてビジネスマンと提携し、莫大な富と影響力を蓄積してきた。

過去2年間、コロンビアの最高裁判所は、民兵組織と共犯関係にあるコロンビア議会の議員らに対する容疑の捜査を進め、これまでにない成果をあげてきた。調査の対象となった議員60人以上。ほぼ全員がウリベの連立政権内の議員たちである。また、民兵組織の司令官たちは、検察官に対する自白の中で、自分たちが行った残虐行為に関する詳細を明らかにし、政界と軍部内の共犯者たちの名前を挙げ始めている。

このような進展は、以下の要素が偶然組み合わさった結果であると同報告書は述べる。

  • コロンビアの正義と平和法の解釈について、非常に改善された解釈を憲法裁判所判例が示したため、民兵組織の司令官たちに、自らの犯罪の真実を打ち明ける動機ができた。
  • 最高裁判所の判事と検事からなる精鋭グループが、民兵組織が政治システムに入り込んでいる現状を鋭く捜査する独立性及び勇気を有していたこと。コロンビアの市民社会メンバー及び一部のジャーナリストたちも、隠されていた情報を明るみに出すことに尽力し、捜査の前進を促した。
  • 民兵組織の共犯者たちを捜査から免れさせようとする政府の画策を、国際的な圧力(アメリカとコロンビア間の自由貿易協定の進展の遅れなど)が阻止したケースも存在。

しかし、ウリべ政権は、こうした進展を阻止するため、以下のような脅迫行為などを繰り返してきた。

  • 最高裁判所とその判事等に対する度重なる公の個人攻撃。全く根拠のない非難であったことが後から明らかになるケースもあり、裁判所の信用を落とすキャンペーンの一環であることが益々明らかになっている。
  • いわゆる「パラポリティックス」の調査を、最高裁判所の管轄外とする憲法改正案を提案。
  • 民兵組織の影響を排除するための議会改革にむけた重要な努力に対する対抗・妨害。

また、民兵組織の最高司令官たちの米国への引渡しが、彼らが人権侵害の犯罪行為及びその共犯者について自白を始めた時期に行われたため、当時コロンビアで行われていた捜査を中断させる結果になった。民兵組織の指揮系統を破壊し、司令官たちが麻薬犯罪ゆえの長期刑を受ける可能性が高まったという点では、この引渡しは肯定的なものだ。しかし、他の残虐行為に対する法の正義が実現できなくなると考えられる点で致命的であろう。

コロンビア最高裁判所とその他の司法機関の手続きの進展が阻止されないよう、コロンビアに対する国際的な圧力が未だかつてないほど重要になるとヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘。

「しっかりした監視と国際社会からの圧力なしには、コロンビア裁判所と検察官らが民兵組織の共犯者たちの責任を追及するために費やした多大な努力は、簡単に無駄になってしまう」と、ヴィヴァンコは述べた。

民兵組織が犯した犯罪の多くには、国際刑事裁判所の管轄権が及ぶ可能性もあるとヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘。民兵組織の共犯者たちも、コロンビア当局が裁かなければ、国際刑事裁判所の捜査対象となりうる。

「民兵組織とその共犯者たちに対し、同人らが犯した犯罪に関する法の下の責任追及を確保できるかどうかは、今、ウリベ政権及びコロンビアの司法機関の肩にかかっている」と、ヴィヴァンコは述べた。

同報告書は、米国司法省に対しても、民兵組織の責任追及び解体を促すため、手段を取るよう勧告している。米司法省は、コロンビアで行われた拷問行為について、民兵組織の指導者たちの一部を訴追する権限を持つ。司法取引の際には、こうした指導者たちが、麻薬犯罪のみならず自分たちが犯した残虐行為そして共犯者たちのネットワークに関する情報をも自白するよう、動機づけすべきである。

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