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国連:アフマディネジャード大統領にイランにおける人権危機の責任をとらせよ

処刑増加率約300%、人権活動家への迫害が激化

(ニューヨーク)-マフムード・アフマディネジャード大統領政権のもと、イランでの基本的人権の保護水準はこれまでになく悪化した、とヒューマン・ライツ・ウォッチとイラン人権国際キャンペーン(International Campaign for Human Rights in Iran)は、本日発表したブリーフィングペーパーで述べた。

同報告書「高まるイランの人権危機:アフマディネジャード大統領による弾圧の実情と実例 」は、現在のイランにおける人権活動家のおかれている困難な状況及び主な人権危機の様相についてまとめている。国連総会開会式へのアフマディネジャード大統領の到着に先立って発表された同報告書は、子どもの処刑数が世界で最も多いイランの現状を明らかにしている。イランでは2008年に入ってから、犯行時に子どもであった6名が処刑された。しかも、130名以上が死刑判決を受けて、死刑執行 を待つ身となっていることが知られている。

「子どもの時に犯した犯罪でこのように多数の人びとを処刑する姿勢を崩さないイランは、残虐、野蛮であり、恥さらしだ」と、国際人権キャンペーンのコーディネーター、ハディ・ガエミは述べた。「イランにおける子どもの死刑を廃止するべき時がきている。」

同報告書は、アフマディネジャード政権下での死刑執行総数が急上昇していることも指摘。2008年7月には、1日のうちに29名の男性が絞首刑にされたが、当局は、その内10名の氏名しか公表していない。同政権下で処刑の数は4倍近くにもなり、2005年の86回から2007年の317回へと、ほぼ300%の増加となっている。

また平和的な信念や意見に基づき政府に反対する活動家の訴追も近年強まっている。人権活動家は、人権侵害を報告したり取りまとめたりしたことが原因で、日常的に嫌がらせをうけ、刑務所に入れられている。

「イランは全ての政治囚を釈放すべきであり、反体意見への弾圧を止めるべきである」と、元政治囚のイラン人ジャーナリスト、アクバル・ガンジーは述べた。

イラン当局は、女性の権利のアドボカシーのための平和的かつ合法的な市民社会の努力を、組織的に妨害してきた。女性の権利活動家は、暴力や嫌がらせを受け、迫害され、訴追されている。

「政府の厳しい弾圧にさらされながらも、イラン人女性は、自分たちの権利の要求を益々強めている。」と、著名なイラン人弁護士で女性の権利の研究者メランギズ・カル(Mehrangiz Kar)は述べた。

アフマディネジャード政権情報省は、海外の専門家と密接に連絡をとるイラン人専門家を標的にし、イランで「ビロード革命」を扇動する西側の手先と非難してきた。米国の大学と学問的な結びつきのある3名のイラン人が、現在拘束され尋問を受けている。アラシュとカミア・アレイ は世界的に有名なエイズ医師であるが、2008年6月22日以降、恣意的に拘禁されたままである。法学者のメディ・ザケリアンは、ペンシルバニア大学で今学期教鞭をとる予定であったが、3週間前に治安当局に拘束された。当局は彼の状況について何の情報も提供していない。

「学者たちを恣意的に拘束するのは、イランとの海外との文化的、教育的繋がりを阻害するものだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東・北アフリカ局長、サラ・リー・ウィットソンは述べた。「アフマディネジャード大統領は、イラン人学者や知識人に対する迫害を止めるべきである。」

同報告書は、アフマディネジャード政権の政策の生んだ人的犠牲により、イランで最も活発な非政府セクターが大きな被害を受けていると結論付ける。アフマディネジャード大統領が国連に出席する機会を捉え、イランで悪化の一途をたどる重大な人権侵害に対して懸念を表明することは、国際社会の責務である。

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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