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東京新聞・中日新聞 2020年3月6日 © 東京新聞・中日新聞
 

東京五輪・パラリンピックまで五カ月を切った。人権とスポーツは関係ない?十年前まではそう答える人ばかりだったろう。でも最近は違う。

「メガスポーツと人権」という分野が勃興したのは二〇〇八年北京五輪。天安門事件の記憶が生々しいころで、中国政府は人権状況の改善を約束して開催を勝ち取ったが、記者はネットが検閲されていることに気づいた。会場建設に伴う大規模強制立ち退き、批判の声を上げる人の拘禁、チベット族弾圧―。一四年ソチ五輪でも、賃金不払いや死亡事件が発生。反同性愛法も成立した。

メガスポーツイベントがメガ級の人権侵害を引き起こす実態を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は一四年、「オリンピズムの根本原則」に、性的指向による差別禁止を加えた。一七年には開催都市契約を改訂し、人権保護義務を盛り込んだ。スポーツ界の人権改革が始まったのだ。

五輪は社会を大きく変えてきた。アパルトヘイト(人種隔離)下の南アフリカや、女性を差別するタリバン政権下のアフガニスタンにIOCは五輪参加を許さず、差別との闘いを支援した。

これからの五輪には、人権侵害に加担しないことはもちろん、「社会を変える」力になることが期待される。東京五輪で作り出される人権のレガシーは何か。世界が注目している。

(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

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