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「キラーロボット」:ロシアと米国が条約交渉に反対

武力行使における有意義な人間による制御を要件とする新法が必要

「キラーロボット反対キャンペーン」は、ジェネーブにある国連事務局で各国政府に向けて、人間の判断を無しに標的を定め攻撃をする兵器システムの開発をしないよう呼びかけた。 © 2018 Clare Conboy

 

(ジュネーブ)自律型兵器開発に出資しているロシア米国、その他の数カ国が、武力行使において有意義な人間による制御を要件とする新条約の交渉開始努力を妨げている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

特定通常兵器使用禁止制限条約の締約国70カ国以上が2019年8月20、21日にジュネーブに集まり、完全自律型兵器または「キラーロボット」としても知られる自律型致死兵器システムをめぐる問題等について議論する。こうした会合は2014年以来8回目となる。しかしこの会合は「口先だけで行動が伴わない」状態であり、このままではキラーロボットの脅威に対処することができない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

「大半の参加国は、武力行使において有意義な人間による制御を要件とする新条約の交渉をしたいと考えている」とヒューマン・ライツ・ウォッチの武器局局長のスティーヴ・グースは述べた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは「キラーロボット反対キャンペーン」のコーディネーターである。「しかし少数の国が一切の前進を阻んでいる現状では、こうした外交交渉をしても、キラーロボットが提示する深刻な問題に早急に取り組むのではなく、時間を稼いで世間の注目をそらそうとしているようにしか見えない」。

ヒューマン・ライツ・ウォッチとキラーロボット反対キャンペーンは、特定通常兵器使用禁止制限条約の締約諸国に、武力行使において有意義な人間による制御を要件とする新条約の交渉を11月に開始することで合意するよう求めている。この要件の下では完全自律型兵器が事実上禁止されることになる。条約という新しい国際法を作る以外に、キラーロボットに伴って生じる道徳や法、責任の所在、安全保障、そして科学技術に関する複数の問題に効果的に対応する方法はない。

特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組みの下での会合は2014年に始まり、3年後に正式なものになったが、拘束力のない原則をいくつか採択した他には未だに何も結果を出していない。3月に開かれた前回の会合では、ロシア、米国、オーストラリア、イスラエル、英国が新条約の交渉を始めようという動きに「時期尚早」だと反対した。

これまでの会合ではほぼすべての国が、武力行使においては何らかの形の人間による制御を保持するべきだと訴えた。これは事実上、人間による制御を受けない武器の禁止に等しい。現在までに28カ国が完全自律型兵器の禁止を明示的に支持している。

完全自律型兵器の開発が公共の良心の命ずるものと相容れないであろうことを示す証拠がますます増えている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。何千人もの科学者や人工知能(AI)専門家、20人以上のノーベル平和賞受賞者、様々な教派に属する160以上の宗教指導者や宗教団体もキラーロボット禁止を支持している。グーグルは2018年に、武器利用のためのAI開発をしないという誓約を含む倫理諸原則を発表した。

キラーロボットは、殺傷力の行使を決める際に思いやりも、微妙な法的、倫理的判断力も用いることができない。人間の持つこれらの性質を欠くことは、キラーロボットが他者を人道的に扱い、人の命や尊厳を尊重するのに重大な障壁となるだろう。

国際人道法によれば、キラーロボットのように具体的な関連条約がない場合には公共良心と人道諸原則の命ずる所に従わなければならない。

禁止を求める28カ国はアルジェリア、アルゼンチン、オーストリア、ボリビア、ブラジル、チリ、中国(使用のみ)、コロンビア、コスタリカ、キューバ、ジブチ、エクアドル、エルサルバドル、エジプト、ガーナ、グアテマラ、バチカン市国、イラク、メキシコ、モロッコ、ニカラグア、パキスタン、パナマ、ペルー、パレスチナ国、ウガンダ、ベネズエラ、ジンバブエである。

2013年に発足したキラーロボット反対キャンペーンは、完全自律型兵器の開発、生産、使用を先制的に禁止するために活動する56カ国の112の非政府団体の連合体である。

「標的を定め攻撃するシステムが倫理的価値を損なわず常に有意義な人間による制御下にあるようにするためには、禁止と積極的義務の両方が必要だ」とグースは述べた。「一般の人びとは、完全自律型兵器が広く拡散する前にその開発を防ぐための努力を各国政府が強めることを期待している。それはつまり法的拘束力のある禁止条約の締結にほかならない」。

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