A Facebook user in Uzbekistan uses mobile internet to access information about an ongoing trial. As Uzbekistan opens after a long period of isolation and internet usage steadily increases, the country’s media environment is in a period of growth and increased competition. 

© 2018 Human Rights Watch

(タシケント)— ウズベキスタンでは、自由な議論や政府に批判的な報道への扱いに改善が見られるものの、政治的動機に基づく訴追や検閲によって、国内の報道機関やジャーナリスト、政府を批判する人びとは依然として自己検閲を行い、抑圧を受けていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した報告書と映像資料で述べた。こうした事実はシャフカト・ミルジヨエフ大統領が掲げる改革の目標を損なうものだ。

今回の報告書『「奴らは見えないけれど、いつもいる」:ウズベキスタンの検閲と報道の自由』(全37頁)は、2016年9月のミルジョエフ大統領就任後に、ジャーナリストや報道機関が置かれた状況や言論の自由の実情を調査したものだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチが明らかにしたところによれば、言論の自由に関する規制が一部緩和されるなどの前向きな動きはあるが、検閲が依然として幅をきかせており、当局は、政府を批判したとしてジャーナリストやライター、一般市民を選択的に訴追している。

「ウズベキスタンで実効性のある、後戻りしない改革が実現するには、政府がすべての市民に対して言論の自由を完全に保障したうえで、政府批判が社会的に保護されるとの態度を示すことが必要不可欠だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中央アジア調査員スティーブ・スワードローは述べた。「そのためには、検閲を廃止し、ジャーナリストを厳しい訴追の対象とせず、真に独立した報道機関の成長を支援することが求められる。」

Politically motivated prosecutions and censorship keep Uzbekistan’s media outlets, journalists, and other government critics self-censoring and under pressure, despite an improved landscape for open debate and critical reporting. 

人権侵害を繰り返したウズベキスタンの権威主義的指導者、故イスラム・カリモフ ウズベキスタン大統領の遺産から完全に決別するためには、報道機関への検閲を即時停止し、ジャーナリストへの訴追を今すぐ取り下げ、インターネットを含めた情報への自由なアクセスを直ちに認めるべきだ。

2017年11月、ヒューマン・ライツ・ウォッチは報道機関(政府に認可された媒体、政府から独立した国外報道機関や出版社など)17社のジャーナリスト、編集者、メディアのオーナー22人から話を聞いた。多くの人が報道の自由に若干の改善が見られると答え、ウズベク語とロシア語の出版物が新たに発行されるような活発かつ競争的な環境について説明があった。政府認可済と独立系の報道機関双方の記者からは、政治的に微妙な問題を報道することが以前より自由になったとの指摘もあった。具体的には、カリモフ大統領時代なら逮捕されたのではないかとジャーナリストらが考える、汚職や綿花産業での強制労働に関する記事だ。その一方、秘密警察による弾圧の恐怖によって、仕事のやり方が大きく左右されているとも指摘した。

ミルジヨエフ大統領は少なくとも27人の政治囚の釈放を命じており(うち9人はジャーナリスト)、表現の自由についても規制を一部緩和した。2月22日、当局は世界で最も長く収容されていたジャーナリストYusuf Ruzimuradov氏を19年ぶりに釈放した。ミルジヨエフ大統領は、同国で恐れられている秘密警察を統制すべきと公言したうえで、ほぼ23年にわたって権力の座にあり最も恐れられてきたRustam Inoyatov長官を解任したほか、人権侵害に関与した複数の高官について捜査期間中の拘束を支持した。こうした動きは、ウズベキスタン政府が人権侵害を繰り返したカリモフ前大統領の遺産から決別し、国内の人権状況の実質的な改善に向かう意思を示すという期待を生じさせる。

しかし、秘密警察によるジャーナリストへの脅しは広範なかたちで続いており、警察の行動によって報道機関は自己検閲を余儀なくされている。ジャーナリストはほぼ異口同音に、政府が容認する(現在では不明確な)限界を超えてしまえば、職を失うのではないかという恐れは今も変わらないと述べた。また複数のジャーナリストからは、1つの媒体には最低1人の秘密警察職員が監視役として配置され、報道内容が一定の枠を超えないようにしていると指摘する。「姿も声も聞こえないけれども、でもいつもそこにいるのがわかるのです」と、政府の認可を受けている雑誌のオーナーは述べた。

政府はまた、ジャーナリストや政府を批判する人びとの訴追を続けている。容疑は「過激な内容」というきわめて広範かつ曖昧なものだ。少なくとも2人のジャーナリスト、Bobomurod Abdullaev氏とHayot Nasreddinov氏がこのような政治的動機に基づく容疑で拘束されている。昨年9月から拘束中のAbdullaev氏は親族と弁護士に対し、秘密警察職員から丸裸にされ、極寒の居室に3日間放り込まれたほか、殴打され、6日間にわたり座ることも寝ることも許されなかったと話している。

当局はまた、Facebookの投稿で首相を批判した市民1人を「侮辱」の容疑で訴追したほか、ある医学生の殺害事件の捜査を訴え、6月に非暴力の抗議行動を主催した活動家2人を拘束した。政府は一部のウェブサイトのブロックを解除したが、Radio OzodlikやFergana Newsといった政府に批判的なニュース・サイトは依然として閲覧できない。

ウズベキスタン政府は、インターネット上を含め、政府に批判的な見解の自由な表明、享受、拡散にかんする不適当な規制をすべて解除すべきだ。きわめて広範なウェブサイトのブロックを解除し、ジャーナリストへの嫌がらせ、脅迫、政治的動機に基づく訴追を、「過激な内容」容疑事件も含めて停止するとともに、被拘禁者への拷問など虐待行為の全面的禁止をただちに実施すべきだ。政府は国内外の報道機関に対し、これまでウズベキスタン国内で活動停止を命じられた媒体を含め、登録を受け付けるとともに、外国人ジャーナリストの登録も許可すべきだ。

ウズベキスタンと関係する、米国やEU(ヨーロッパ連合)をはじめとする外国政府・国際機関は、同国への関与の度合いと人権状況の具体的な改善とをはっきり結びつけ、拘束されているジャーナリストや反政府派の釈放、報道機関への不適当な規制の解除、検閲の停止をまず求めるべきだ。

「秘密警察が見せる報道機関への厳しい態度と、過激な内容を口実としたジャーナリストの拘束は、ウズベキスタンの表現の自由に大きな悪影響を生み出している」と、前出のスワードロー調査員は述べた。「ミルジヨエフ大統領は、自らが掲げる改革の主眼にあるのは、政府が行う政策に対して、人権活動家、ジャーナリスト、宗教の信者といった人びとが行う非暴力的な批判を容認することはもちろん、積極的な価値を認めると、はっきりと表明すべきだ。」