(ニューヨーク)― カンボジアでは政府コントロール下にある最高裁判所が2017年11月16日、最大野党の解散を決定するとともに、党幹部118人に5年間の政治活動禁止を命じたと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。
「フン・セン首相による最大野党の解党と党幹部の活動禁止は、露骨な権力奪取であり、カンボジア国民数百万人の前回選挙での投票を無効にし、来年の下院議員選挙を無意味化するものだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは述べた。「今日、カンボジアの民主主義が死んだ。32年にわたり権力の座にあるフン・セン氏が首相を続ける限り、民主主義の復活は難しいだろう。事態は重大な分岐点を迎えた。国際社会は一致団結し、強い態度で臨むべきだ。今こそ言葉ではなく行動が必要である。」
今回の最高裁判決を受け、カンボジアのドナー国と貿易相手国には迅速な対応が求められている。フン・セン首相および与党カンボジア人民党(CPP)幹部、軍高官について、資産凍結とビザ発給拒否などの対象限定型制裁を科すべきだ。
最大野党カンボジア救国党(CNRP)の解散は、2018年の下院選で人民党に対抗する野党勢力が不在となることを意味する。
欧州連合(EU)や日本などドナー国は、2018年下院選に向けた経済・技術支援について、救国党が完全に元通りになって選挙参加が認められるまで、即時全面凍結すべきである。