(ニューヨーク)– 国連総会第3委員会が11月21日に行った投票で、性的指向と性自認を理由とする暴力および差別に取り組むため、新たに任命された国連専門家が、その活動を継続すべきであると僅差ながら賛成されたことは人権の勝利である、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界156カ国からの850NGO団体とともに、国連全加盟国を含む国連総会第3委員会に対して、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の権利は人権の問題であるという原則を支持するよう求めた。アフリカ諸国は、ジュネーブの人権理事会が制定したマンデートの「法的根拠」を国連が議論するまで、専門家による活動の中止を求める文言を提案していた。しかし、今回の投票でこの提案は拒否された。

Vitit Muntarbhorn, recently appointed Independent Expert on Sexual Orientation and Gender Identity, and Commissioner of the Independent Commission of Inquiry on the Syrian Arab Republic, addresses the media during a news conference at the United Nations headquarters in Geneva, Switzerland, June 23, 2015.

ヒューマン・ライツ・ウォッチLGBTの権利プログラムのアドボカシーディレクター、ボリス・ディトリッヒは、「第3委員会による投票結果は、暴力と差別から保護される権利が、LGBTの人びとにも等しく適用されることを確立するものだ」と述べる。「これはまた、 理論だけでなく行動でも権利が保護される仕組みを保障する国連のトップ人権機関として、人権理事会のインテグリティを尊重するものでもある。」

国連人権理事会は今年6月、性的指向および性自認にかかわる問題に取り組む独立した専門家のポストを新設。既存の国際人権法の実施状況を評価すること、ベストプラクティス及びギャップを特定すること、性的指向と性自認を理由とする暴力および差別の認識を高めること、各国ほかステークホルダーと対話や協議を行うことを目的としている。また、この専門家の存在により、関連する暴力や差別への助言や技術支援、能力開発、そのほか協力を提供しやすくなる。人権理事会は9月に、タイの国際法学教授ヴィティット・ムンターボーン(Vitit Muntarbhorn)氏を任命し、彼の事務所は11月からすでに活動を開始していた。

前出のディトリッヒは、「ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ムンターボーン教授とともにこれらの重要な人権問題に取り組めることを楽しみにしている」と述べた。