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中国政府は、想定と真逆の成果を生み出す天才です。たとえば新疆ウイグル自治区。宗教、文化、表現への弾圧があまりに過酷なため、緊張は劇的に高まっています。有益な民間団体の活動が難しくなるほどの締め付けが行われ、きわめて建設的な批判を行う人びとが投獄され、平和的な議論を行い、発展を探る機会が奪われています。

香港での最近の事態もこのパターンに当てはまります。8月31日、中国の最高行政機関である全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、次のような決定を下しました。香港に真の民主主義を近い将来にもたらすことはないこと。そして、熱烈な「香港愛と中国愛」を抱いてはいても、中国共産党を嫌う人物を香港特別行政区政府のトップにはさせないことです。

この方針により、投票権を持つ香港市民全員が香港行政長官選挙に初めて参加できるようになります。しかし一筋縄ではいきません。住民が投票できるのは中国政府が認めた候補者のみ。その候補者は、親中派で固められた指名委員会で半数以上の推薦を集める必要があります。一連の決定は、香港の憲法にあたる基本法に記された、中国政府が香港で普通選挙を実施するとの公約を揺るがすものです。

1997年の返還以来、中国政府は香港が政治的に大人しく、経済的に活発であることを基本的に望んできました。中国政府は、返還時に存在していた、中国本土よりも幅広い市民的自由を許容せざるをえないことは理解してきました。しかし香港の人びとが返還時に約束された民主的権利を求めるにつれ、本土と同じやり方で対処しました。政治的権利の尊重という国際条約上の義務を露骨に否定し、暴力を用いない自由な表現に対しては、使い古されてはいても凄みのある論法で応じて、世論を操作しました。そして結果は「多数派の声」を反映していると言い、香港の人びとが求める政治的権利の拡大を危険な「外国の影響」呼ばわりしました。まったく必要ないにもかかわらず、武器の誇示すら行ったのです。

こうした誤った対応から、中国政府が望んでいない当の結果が生まれています。民主派の統一組織「オキュパイ・セントラル」(和平占中)の活動家たちは、香港中心部の交通を非暴力的手段で麻痺させると予告し、香港の政治家たちは中国政府の提案を拒否すると宣言しました。別の言い方をすれば、中国政府は望んでもいないのに、終息しがたい危機的状況を作り出しているのです。

中国政府は、香港の民主主義にはっきりと敵対的な態度を取っています。しかし全世界への民主主義の拡大をうたう各国政府や団体・組織は、バラク・オバマ米大統領やデ-ビッド・キャメロン英首相から潘基文国連事務総長に至るまで、中国政府がもたらした結果に異議を唱える義務があります。人びとは本土と香港で政治の場を維持・拡大するため長年戦ってきました。その願いを潰えさせてはならないのです。

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